『プリキュアオールスターズ NewStage みらいのともだち』のネタバレ感想


(3月25日・追記分)

さて、今までに書いてきた感想を見返して自分が思ったことは
「リセット!」である。いやマジで。

子供向け映画とは、子供に見てもらうための映画。
子供にとっては、見たり触れたりする何もかもが成長の糧であるとするならば、
この映画もまた子供にとっての糧です。
脚本を書いた成田良美氏も、この辺をしっかり意識しているからこそ
ただ、面白おかしいだけの映画にはしなかったんだと推測します。
例えるなら、
子供が楽しみにしている夕食に、わざわざ子供の嫌いなニンジンをメニューに入れるお母さん
の心境。しかも、少しでも食べやすいように工夫した上で、です。

坂上あゆみのパートがニンジンっていう訳じゃないけど、基本、坂上あゆみの「普通らしさ」を
紹介するシーンだから、子供が目を輝かせてスクリーンに釘付けっつーこともなかろう。
しかし、
プリキュア活躍→坂上あゆみパート→妖精たち→坂上あゆみパート→スマイル組……
と、子供たちにとって楽しいシーンをどんどん挟みこんでくるので、退屈しきるということも無か
ったと思う。

また、今回のMH・S☆S・5轟々の活躍縮小についても、
猫塚が坂上あゆみという「知らないキャラ」を(最初は)あまり楽しめなかったのと同様の理由な
んじゃないかと思います。
なにせ、幼い子がメインに見にくる映画です。上記三作が放送されていた時代には、まだ生ま
れてなかった子も多いでしょう。
どうせなら知ってるキャラ同士がコラボしたほうが、子供たちも楽しいはずです。

3月20日の追記では
>フーちゃんに会いに行くと決意した瞬間には、もう既にプリキュアだったんだ
…と書きましたが、ごめん違った。
フュージョンの闇に呑まれた時の「絶対に伝えるんだ!」って、このセリフだ。
「絶対に〜〜」というのは、プリキュアへの変身トリガー。
身体を丸めた状態から→四肢を美しく伸ばすという変身演出は、
羽化をイメージしたんだろうか。

一番最初の感想で書いた、フーちゃんvsスマイル組についても軽く追記。
まず、サニーファイヤーが吸収されたところでビューティは、フュージョンのパワー吸収性質に
気付きます。
次に、フュージョンがマーチシュートを口からゴックンしたことで、吸収経路を確定。
ならば、ビューティたちがフュージョンを空中で足止めした状態で、背後からピースサンダーを
食らわせます。……がフュージョンの首が180度回って、今回も口から吸収。
続く、ビューティのビューティブリザードは、やはり後ろから。
しかも顔のない背中に至近距離で……、しかし、フュージョンの頭部が体内を移動して背中に
出現、吸収。

この攻防は、マジカッコよかったっス。


(3月25日・追記分ここまで)

(3月20日・追記分)

本日の観賞で、ようやく自分で、自分のための答えが出せました。
まず、映画のキャッチである「女の子はだれだってプリキュアになれる!」の意味。
坂上あゆみというキャラクターを通して猫塚が得た答えは、

「プリキュアとは、心から勇気を振り絞って一歩前に踏み出した普通の女の子」

彼女たちが見せる、通常の肉体ではありえない戦闘スペックがプリキュアなのではない。それ
は、あくまで彼女たちの想いを応援するための付随物。
自分が一番大好きなMHの最終回でも、ブラック・ホワイトの性能が凄かったからジャアクキン
グに対抗できたワケじゃない。

坂上あゆみは、キュアエコーに変身する前から、フーちゃんに会いに行くと決意した瞬間には、
もう既にプリキュアだったんだと個人的に思いました。
キュアエコーの姿になったのは、フージョンに呑み込まれそうになるという、常人にはどうしよう
もない危機に陥ったから。

正直、自分は、
オープニングの超戦闘を見て「これぞプリキュアだぜヒャッハー」な人間でしたから、最初の鑑
賞でキュアエコーが一切戦闘せずに終わったのを見て、なんか拍子抜けしました。
でも今回の鑑賞で、これは坂上あゆみというキャラクターの気持ちを大切にした上での製作側
の判断なのだと思いました。
誤解が生じているとはいえ、フーちゃん(フュージョン)とは、すでに友だち。
プリキュアが友だちと戦うことは、絶対にありえない!
(劇場版MH2や、フレッシュの桃vs東みたいなこともあるけどね…)
これまでTVシリーズも映画も、プリキュア=戦闘という視点で楽しんできましたが
本当に戦う必要性がない場合は、キャラクターに無理に戦闘をさせなくてもいいんだと思いまし
た。

あとね、
タイトルの「みらいのともだち」について悩んでたんですが
これもようやく自分なりに答えが出ました。
フーちゃんがラストで言うセリフ、「未来も、ずーっと友だち」。
これは、フーちゃんがああゆう結果になったとはいえ、
あゆみとの『友だち』という名の絆は絶対に消えてなくなったりしないよ、という意味なのかなと
思ったりしてます。
……なので、そっち方面から「みらいのともだち」という言葉の意味を探っていたのですが、的
外れでした。

主人公の坂上あゆみとは、どこにでもいそうな普通の女の子。
つまり、映画を見にきた幼女たち=普通の女の子たちが中学生になった時の姿。
そして、あゆみは今回、スマイル組をはじめ、たくさんのプリキュアと友だちになりました。
「みらいのともだち」というタイトルに込められた意味は
「きっといつか君たちもプリキュアになれる。そしてプリキュアと友だちになれる」
……こういう感じの製作サイドからのメッセージではないでしょうか?

(3月20日・追記分ここまで)

(3月18日・追記分)

自分なりに考えてみたんですが、プリキュアに変身する目的っつーかゴール地点が、
DX=「敵を倒すこと」から、NewStage=「伝えること」に大きくシフトしたんだな。
自分の本当の気持ちをフーちゃんに伝える ――― あゆみが心を決め、
フュージョン殲滅作戦を予定していたスマイル・スイート組も、そっちの方向へ大きく舵をきっ
た。
駆けつけたハト〜MHたちも、事情も聞かずに協力してくれます。

ハト組「言葉は不要だ、ここは我々が食い止める。先へ行け」
新鮮組「じゃあ、こっち方面のフュージョンは俺たちの担当だな」
轟々組「こちらプリキュア5。火力支援を開始」
SS組「新たな増援を確認。こちらで対応する」
MH組「衛生兵…衛生兵はいないかっ? 調子に乗って一緒に船を止めようとしたルミナスが
手首をくじいた!」

あゆみは、フーちゃんに自分の想いを届けるためにキュアエコーへと変身し、
そしてフーちゃんと分かり合えた時点で、戦うことなく変身が解除されます。

スマイル組のクライマックスが「友だちを守り抜くこと」だったのも頷けます。
敵を倒すことの、その先へと進んだ。
ヒロインの「あゆみ(=歩み)」という名前には、もしかしてこういう意味があったのだろうか。
プリキュアオールスターズの新しい一歩は、どこにでもいるような平凡な女の子から始まったの
でした……的な?

↑(3月18日・追記分、ここまで)


例えば、
『映画ハートキャッチプリキュア!花の都でファッションショー…ですか!?』は、
オリヴィエとサラマンダー男爵の物語であったが、
花咲つぼみ(キュアブロッサム)の想いが大きく物語を突き動かして、帰結させる。
つまり主役は、花咲つぼみ。
対して、今回の『プリキュアオールスターズNewStage』は、
プリキュアオールスターズの物語ではあったが、
坂上あゆみ(キュアエコー)が物語のメイン軸であり、キュアハッピーたちの助けはあったもの
の、彼女自身のフーちゃんへの想いが物語を動かして、帰結させる。
つまり、坂上あゆみが実質の主役。
ここが問題なのだと思う。

坂上あゆみは、普通の中学生である。
いや、本当にもう、普通の良い子なのである。
あえて悪く言えば「突き抜けない位置で、おとなしくまとまってしまっている」感じでした。猫塚個
人としての印象ですが。
歴代のプリキュア主役は、一年間東映アニメーションとバンダイと幼女たちの期待を背負って
戦い抜くために、「コイツだ!コイツしかいねえ!」と選び出された最高戦士である。
彼女たちは一応普通の女の子という設定ですが、
しかし主役として、どこかに、何かに、ズバッと突き抜けた魅力(ファンタジー)を備えている。

果たして、映画のメインターゲットである観客(幼女と大きなプリキュアファン)は、
坂上あゆみという主役に、どこまでハートを鷲掴みにされたのであろうか。
映画上映中、皆の心を惹きつけていたのは、星空みゆきを初めとしたテレビシリーズの主役た
ちではなかっただろうか。
(注:間違ったことを書いていたらごめんなさい)

上映時間70分という短い時間の間に、オールスターズの主役として皆の心を鷲掴むには、
来海えりかみたいな爆弾を投下した方が良かったんじゃないだろうか。
えりか並みの性格なら、プリキュアが百人いても一番目立てそうな気がするし。
フーちゃんとの和解シーンでも、ウザさを一気に翻して観客の涙腺を緩ませてくれるだろうし。
 (←オールスターズ3のこれみたいに)

いや、マジで、えりかは空気読めよ?
変身前の「やるっしゅ!」と、変身後の謎のバック走、
そして、あゆみ・フーちゃん和解後の「すごいっしゅ…」で、キュアブロッサム置いてきぼりにし
て、くそっ、HC組で一番輝いてるじゃねーか。


オールスターズDXからNewStageに変わったことで、
MH・S☆S・5轟々のメンバーのセリフが無くなりました。
正直、本名さんやゆかなさんたちの声が聞けなかったのは残念です。
それでも、過去にあの人たちがいたからこそ今のオールスターズがあって、
能登さんや福圓さんたちのセリフに繋がってるんだと思う。
いつまでも時間が続く限り、プリキュアの絆は繋がっているんだ。
あと、
キュアピースを除くスマ組とスイ組・計8人がかりで何とか食い止めた船体特攻を
たった二人でビシィィッッ!と止めてしまったキュアブラックとキュアホワイト。
まさに初代ファンが誇り、パワー・オブ・ザ・パワー。
(ルミナスはアレだ、船の表面に両手を添えてただけだろう、きっと)
ここでかかる今回のオールスターズの主題歌…うお、なんか泣きそうだ……。

これぞプリキュアオールスターズだぜ!

(その他の感想)
オープニングのフュージョン戦は熱かった!
ブンブン動くぞ、これ。
キュアミントの男前な決め顔が凛々しすぎる!

なぜ頭にカモメを乗っけてるんだろう、響は。
日野あかねなら瞬間でツッコむシーンですが、スイプリ組は、そんな響を延々と生温い目で見
守るばかり。
中華街での合流時、「フュージョンを捜していれば奏たちに会える」という響のセリフに、頬を赤
らめる奏の心境は如何に?(笑)
ハイハイ、ラブラブっスね。
フュージョンとの戦闘に入ると、先輩プリキュアとして歴戦の格を見せ付けるスイート組。

一方、スマイル組は、サニーファイヤーが吸収されたのを見て、ビューティがそれを指摘してい
るのに、マーチシュートをぶっ放すキュアマーチ。完全に脳筋です、この娘。
ビューティはフュージョンが口から必殺技を吸収しているのを確認して、背中にブリザードをぶ
ち込もうとしますが、フュージョンの顔が体内を移動して背中に現れたために結局吸収。
打つ手が無くなったスマイル組の前に登場する、スイート組の皆さん。この頼もしさは凄い。必
殺技が通用しなくとも、メロディたちなら何とかなりそうな気がしてしまう。

あゆみと一緒にフーちゃんの元へ急ぐシーンで、触手で捉えられた挙句、ポンポンと遊ばれて
しまうキュアピース。こやつ…あざとい。
なおはオカンキャラとして認定されてしまいました。……旦那さんは誰だ? あかね…?

オープニングが一番の見せ場かと思っていたら、
ラスト、フュージョンの残留部分の暴走を光のシールドで食い止めるスマイルプリキュアのシー
ン、個人的にはココが燃えの最高点。

歴代プリキュアのヒロイン全員集合の所では、
あかねとなぎさがしゃべってる……。体育系ということで話も弾むだろうけど、
でも、個人的にはせっかくだし、あかねとひかりで……。