映画『ふたりはプリキュアMH2 雪空のともだち』のネタバレ感想

まず、自分が感じたのは、この映画のキーワードは「ともだち」であるということ。

ひとつは、なぎさとほのか…ふたりの「ともだち」
もうひとつは、本来この映画の主軸である、ひかりたちと鳳凰ひなたの「ともだち」
映画を見た限りでは、メインとなっているのは前者。後者はバックグラウンド化して、ストーリー
をしっかりと支えていきます。

前作で見せたプリキュアとしてのキュアブラック&キュアホワイトの活劇メインの物語以上に、
今回は「ふたりはプリキュア」という作品の根幹であるなぎさとほのかの友情部分にスポットライ
トを当てたかったのだと感じました。
雲の園でバトルが始まってからも、プリキュアではなく、なぎさとほのかに関わる日常人物(志
穂莉奈、アカネさん、さなえさん、…藤Pはオマケだ)の姿が時折挿入されています。これによ
り、キュアブラック&キュアホワイトの活躍よりも、プリキュアに重なるように強く浮かび上がる
なぎさ、ほのかの「ともだち」同士としての姿。それこそが今回の映画で一番重要なものであっ
たと思います。

喧嘩がきっかけでギクシャクとした関係に陥る二人。目に見えない友情の糸が二人を結び付
ける力は非常に強くも、素直になれない二人が手探りでそれを手繰りながら元の鞘(さや)に収
まるのはなかなか難しく……。
そして中盤、キュアブラックvsキュアホワイト戦を経て、二人の本当の気持ちの再確認しあう姿
は、スーパープリキュア以上にこの映画のウリであったと思います。
フローズンに心を凍てつかされ、ブラックと闘うことを強制されたホワイト。
しかし、初回の戦闘でプリキュアが渾身で撃ち出したマブスクMAX・スパークを「その程度」呼
ばわりした敵でさえ、ホワイトの心の中にある「なぎさへの想い」を完全に凍りつかせることは
出来ず。
さらには、フリーズンによってブラックまでもが心を凍らされてしまいますが、やはり彼女の心の
中にある「ほのかへの想い」に対し、氷の呪縛は完全ではなく……。
闘ううちにホワイトの口からこぼれ出す言葉「なぎさ…なぎさ…なぎさっ…」
やがて、ブラックも「ほのかっ」と意識を覚醒させる。

まぁ劇場版というだけあって、ダイナミックな動きと共に細やかな攻めも織り交ぜ、アクション的
にはここが一番の見せ場。
ちなみに、キュアブラックの脳にフラッシュバックしたほのかの姿、怯えるユリコらを後ろに置い
て嬉々としながら何かを調合しようとしているんですが…(笑)

そして、随分と遠回りしましたが、ようやく二人の心が本来あるべきポジションに戻ってきまし
た。
二人が目に涙を浮かべつつゆっくりと顔を近づけていくシーン。初めて見たときは、このままキ
スまでいくんじゃねーかと(笑)
いや、ホントそういうカンジの動きでしたから。
意識を完全に取り戻してなお冷えきって凍えている心を、お互いに正直な気持ちを交わしなが
ら暖め合った後は、氷のスノボーで一気に駆け滑って、バックグラウンド化していた主軸へ「プ
リキュア」として帰還していきます。

この映画で思ったのは、
なぎさとほのかにおいては「友情<愛情」「ともだち<恋人、夫婦」ではないということ。
なぎさとほのかが使う場合の「友情、ともだち」という言葉には、もはや元来の意味は当てはま
らず、何よりも強固にお互いの心を結び付ける言霊、つまり「二人の魂そのものを直結する
絆」という言葉へと進化しているような気がします。
そして、これこそがなぎさとほのかが『デュアル・オーロラ・ウェーブ』を飛び越えた先にあるプリ
キュアの姿へと変身できる理由なのではないかと、ヨグ=ソトース様がおっしゃっておられまし
た。


……やっぱ映画は面白かったですね。映画スタッフの皆さんには、ステーキを奢ってあげた
い。
つか、エンディング(Berryz工房の『ギャグ百回〜』)が意外に油断できない。
無印30話での草むしりで、なぎさが「ふたりでやるのーっ!」って叫んでるシーンに「世界で一
番好き♪」なんて歌詞を被せてきたりとかするからな(訂正・スイマセン、この部分は「あなたも一番
好き? 好き? 好き!」でした 2006.1月1日追記)。まるでなぎさがほのかに向かってそう叫んで
るように見えた…。

<ちなみに、なぎさ、ほのか以外の映画に出てた人々>
●九条ひかり(シャイニールミナス)
今回はルミナリオンも無く、戦闘では主としてサポート役に。
前回同様あまり活躍は出来ないが、ラストの『ひなたへ……』のシーンはルミナスの独壇場。
声の色調は儚げ&可憐なままで、口調がクイーンとしての力強さを帯びていく辺りは、何度聞
いても感動的です。心を打たれます
つか、ルミナス役の田中理恵さんの声が輝きを放ってましたよ。

●久保田志穂
莉奈と一緒にスノボーやってる時の笑顔。帽子のお下げ紐をフリフリさせながら「サイコー×3」
って、もうこれだけでお腹いっぱい。
温泉から部屋に帰ってきた後、うつ伏せでバタンキューする姿も可愛い。たぶん、莉奈と一緒
に温泉でのぼせてしまうようなことをやっていたに違いない!

●高清水莉奈
さりげなくこの映画の鍵となるセリフを口にして、ほのかと喧嘩した事を悔やみながらも、謝り
にいくことの出来ないなぎさを焚きつける。
この時、ちょっとイジワル気味な表情をしていたが、志穂と温泉で色々やってた時はもっとイジ
ワルな表情をしてたんだろうなあ。

●藤田アカネ
劇中では、ひかりのミスを素早くカバーに入る粋な女店主ぶりを披露。出番も少なく、それ以上
の見せ場は無かったが……。
よく見ると、なぎさたちの部屋に置いていた荷物は全部で5つ。だが、うち1つはどうみても小さ
すぎる。
つまり、部屋割りは、なぎさ・ほのか・志穂・莉奈で一室、アカネ・ひかりで一室。
とゆーことは、アカネさんの見せ場はひかり帰還後の深夜、布団の中でということに!
「ちょっとひかり! どうしたのっ? カラダ冷え切ってるじゃない! 風邪引いたらどうすん
の! さっ、早く服脱いでこっち来て、アタシが素肌で暖めてあげる…」

…30分後。
「はぁ…はぁ…、あの…アカネさん…、もう充分暖かいです……」
「じゃあ、もっと……このまま熱くしてあげるっ」
「あっ、そんな……急に激しく……ッ!」

●雪城さなえ
おっとりとした性格に隠されているが、卓越した洞察力の持ち主。
雲の園でのバトルからはずっとほのかたちを案じながら、遠く離れた雪城邸より忠太郎と共に
見守っていた。

●雪だるまザケンナーくん
単純に巨体からパンチを繰り出すだけでしたが、一発一発がキング・コングでも沈められそう
なほどの威力があったように見えました(つか、そのパンチをとめてしまうキュアブラック…)。こ
れを連続でえんえん休むことなく繰り出すんだから迫力はありましたよ。
俺はこーゆーパワータイプは結構好みだな。

<以下、オマケ>
●藤P
なぎさにスノボーの乗り方をアドバイスする、一応なぎさの憧れの先輩。しかし、ラストでは、な
ぎさはすっかりほのかと滑ることに夢中で、彼は見向きもされてなかった。

●木俣
ほのかと一緒にスキーをやって気を引こうとするも、完全見事なまでに空気扱いでスルーされ
てしまう。多分、ほのかは脳内のNGワードに「木俣」を登録してあるんだろうな。

●フローズン&フリーズン
「髪型(?)が爆発してるほうがフローズン」
「?」
「スマートにツン立っているのがフロ……フリーズン」
「?」
「映画見てる最中、ちょっと二人がごっちゃになるねん」
「はぁ…」
「わかってるねん、わかってるねんで? バカにしたらあかん。スマートにツン立っているのがフ
ローズン。それがごっちゃに…」
「スマートにツン立っているのはフリーズンです」
「わかってるねんで!?」