『ふたりはプリキュアSplash☆Star チクタク危機一髪!』の感想

(ネタバレです)

とりあえず、オープニングの、下り坂道での咲ローリング。
あれはメッチャお気に入りのシーンです。

さて、映画の内容はというと、
咲と舞のケンカ→心のすれ違い→仲直り、以上です。ハイ。

ケンカの原因は、咲。
まず朝寝坊から始まり、舞を連れて危なっかしい近道を強行。カラオケ大会の出場受付の締
め切りを大幅に過ぎた時間に到着したが、受付係のおじさんの温情で何とか出場可能となる。
しかし、咲はこの受付係のおじさんの温情をラッキー扱いして「絶好調ナリーッ」
あまりにも身勝手な咲の態度に、温厚なはずの舞も眉をひそめ、ついには二人が言い争う展
開に……。

猫塚の考察としては、咲の身勝手な振る舞いは、舞のことを思う気持ちからきた部分もあると
思います。
うー、まぁ、咲のことだから、興奮した感情に任せて、というのが9割くらい占めてそうな気がし
ますけど。
でも、上北センセのコミック版では明らかにされてますが、今回のカラオケ大会までの二人の
道のりって、かな〜り苦労があったんですよね。
カラオケ大会前日の二人のテンションを想像するに、
舞の方は「咲と一緒に良い思い出を作れたら幸せ」ぐらいなのに対し、咲は熱血に燃えまくって
「二人で優勝を決めて、舞に最高の思い出をプレゼントしてあげたい!」と、こんな感じかな?
なかよしの連載2話目では、舞を守ろうとするあまり、ブルームが一人で突っ走ってイーグレッ
トとの連携を乱してましたが、今回も咲の行動の根底には、頑張ってきた舞のためにも是非優
勝を…っていうのがあって、またまた一人でハリキリ過ぎて空回り……と、こうじゃなかったので
はないかと思いました。
上北センセのコミック版を読んだ感想を元に、随分と補完を入れた考察ですが。

時計の郷の精霊、アワーズとミニッツについてですが、
短針の方のアワーズが小っこくて、長針のミニッツの身長が高い、というのは時計の針の見た
目通り。
でも、なぜか「分の単位」を表す精霊であるミニッツの性格はのんびり屋さん。それとは逆に、
アワーズはせわしい性格の精霊……なのです。

時間が止まるという異変の元凶であるサーロインとの第一戦は、目まぐるしいほどのハイスピ
ードバトル……で、確かに見ごたえはあったのですが、正直、戦闘シーンに関しては43話の満
&薫vsキントレ&モエの方が迫力あった気がします(一撃の痛さや、満&薫のキレのある反
応、とかにおいて)。
プリキュアもカラオケ大会前のケンカを引きずっているために、連携に齟齬が出て、実力を出
し切れずに敗北。サーロインによって、無限の迷宮へと送り込まれ……。
そこでも二人はまたケンカします。その結果として、迷宮の空間移動に阻まれて二人は離れ離
れに。
そして、咲も舞も、自責の念から「二人の絆」を信じられなくなってしまったところで変身解除。
咲は舞に嫌われたのではないかと思い、また舞も同様の事を想像し、二人とも立ち上がれなく
なります。
心底、お互いのことを大切に思ってるからこそ、「そんな相手に嫌われる=自分の心を砕かれ
る」ぐらいのダメージだったんでしょうね。
ちなみに、この部分の心情描写で、咲の前に5年前(夏祭りで初めて出会った時)の舞が、そし
て舞の前には5年前の咲が現れ、見知らぬ人を前にしたときの反応を残して去ってしまうという
演出は、二人の心の恐れを上手く表現してましたね。
もし、咲(舞)とばったり出会って、胸に抱いている恐れが現実になったら……と思うと、前に進
む勇気もなくなってしまいます。
この心情描写は、後の絆修復のシーンでも活きてて、ようやく並んだ咲・舞(5年前バージョン)
のちっちゃな後姿はかなり泣かせてくれます。

アワーズの励まし(?)もあって、咲は再び立ち上がる気に。
しかし、舞を探しに行こうとした咲へ、フラッピの鋭い一喝が!
「誰一人こっちから迎えに行く事は、フラッピが許さんラピ」
意外にも厳しい言葉を吐くフラッピです。
「いざって時に、咲を立てられねェ様な奴は、プリキュアにゃいねェ方がいいラピ…!!
夫が"威厳"を失った夫婦は、必ず崩壊するラピ!!!」
咲やアワーズの反論を許しません。
「今回の一件に何のケジメもつけず、うやむやにしようってんなら、それはフラッピが絶
対に許さんラピ!!! ――その時は、舞はこの迷宮に置いていくラピ!!」
まさに漢(オトコ)です。亭主関白です、フラッピ。
「舞の第一声が深い謝罪であればよし…、それ以外なら、もう奴に帰る場所はないラピ」
でも、そんなことを言うフラッピは、砂の中に埋められてしまいました…。

あー、とりあえず、ギャーギャー言うアワーズがちょっとウザかったかな。でも、咲が立ち上が
って走り出すシーンは、2アウト2ストライクから逆転に乗り出すみたいで、スッゲーカッコ
いいよ!!

その頃、
ムープとフープが時計部品のような精霊たちを組み立てて、「ハイパーゼクター」を作製。
皆既日食を抜けて、咲と舞は再び時計の郷へ!

迷宮からの脱出には成功したが、サーロインの攻撃で咲と舞はピンチに……と言っても、二人
にとっての最大の危機は乗り越えちゃったワケでして。
月の淡い光が咲のカラダをなぞり、そよ風の優しさが舞のカラダを撫でる。取り戻した「二人の
絆」を核に、精霊の力が二人を包み込む。
プリキュア、再臨。そして反撃開始。
キュアブライトの光閃でサーロインの目を眩ませて、キュアウィンディがハイパーウィンディキッ
ク。
倒したかに見えたサーロインが正体を現した。牛頭人身 ―― 牛頭天王と同一視されるスサノ
オ神の眷属が、神々との戦に破れ、ダークフォールへ堕ちた姿。荒ぶる力を凝縮した『爆砂』
の一撃は、神威を以って世界を砕く。
対するプリキュアは、「二人の絆」が無限無窮に聖なる力を紡ぎ続ける精霊砲撃『ファイナルス
ター・スプラッシュ』
さらに時計の郷の精霊たちの加護で、二人の周りに圧縮時空圏が発生。
『爆砂』を打ち破った『スパイラルスター・スプラッシュ』に併せ、時計の郷の力を結集した『十二
支爆滅の陣』がサーロインに炸裂、邪悪な野望を抱きし神の眷属を焼き尽くした。

緑の郷に戻ってきてからは、なんと、コミック版にあった告白シーンがすっぽり丸々と抜けて、
咲&舞の歌うガンバランスに合わせてあっさりとエンディングに移ってしまうワケだが。
あの衣装でのオリジナル振り付けのダンスは全部見たかったなぁ。
「プリッキュアの魔法♪」のトコだったと思うんですが、咲舞が非常に百合百合とした雰囲気で
良い。


以上にて、『チクタク危機一髪!』の感想はお終いです。
あと、同時上映のデジモンなんですが、
贅肉部分を一切つけず、あくまでデジモンたちのバトルを中心としたテンポの良いストーリー捌
き。
まさしく堂々と王道を突っ走っています。
「ここは俺に任せて先へ行けっ!」なんてお約束のシーンもありましたしね。
そして、クライマックスの究極体同士のバトルシーンは、シャイングレイモンのメタリックな風貌
のせいもあって、まるで巨大ロボットの戦闘の如き。
スクリーンいっぱいに映し出されるバーストモードは非常にカッコいい!

(補足)
といっても、今回の映画の見所は、ララモン(CV:ゆかな)の活躍ぶりだろう。
この映画のヒロインであるリズムちゃんを守るため、通常の120パーセント増しで燃えてます。
ウインナーのヌンチャクを手に暴れまわるわ、空中で白兵戦するわ。
かつて、パートナーの淑乃(よしの)の貞操を賭けて、ギズモン軍団率いるイワンと闘った時も
異様に燃えていたが、やはり、そっちの趣味なのか。
ラストで、リズムがアグモンの鼻先にキスをするシーンでは、えらくショックを受けていた……よ
うに見えた(笑)

ちなみに、リズムのCVは矢島晶子さんです。ゆかなさんと並んで、久々に、ほのか・ミップルの
競演ですね。