『ハートキャッチ プリキュア!花の都でファッションショー・・・ですか?!』のネタバレ感想
(11月7日 書くだけ書いてみた追記分)
これで最後のつぶやきになると思いますが…
●サラマンダー男爵について
ハートキャッチ世界では、プリキュアは他者を直接救えません。
あくまで背中を押して、その人の手助けをするのみ。
だから、キュアアンジュには、男爵を救えなかった。
(ちなみに、この時のプリキュアの放送タイトルは『ロボトミープリキュア』で
キュアアンジュは毎回こわい手術で敵を社会回帰させていた)
キュアアンジュは、可能性を後世に託すカタチで封印という手段をとる。
その封印の中で際限なく増幅されていく男爵の憎しみ。
あくまで私見ですが
砂漠の王に存在を否定された男爵の行動の根っこにあるのは、<強がり>なんだと思う。
「痛いですつらいです助けて」って言葉は人によってはなかなか出てこないもので
結果、心で抑え込んでしまって、どんどんツラくなってゆく。
他人に触られそうになると、より強い殻を被せて覆い隠してしまう。
誰かが、よっぽどうまく背中を押してくれないと心から排出されません。
男爵の場合、これが憎しみの素(もと)になってるんじゃないだろうか。
ブロッサムたちが憎しみを全部受け止めてくれたおかげで、
そしてオリヴィエが(プリキュアのおかげもあって)心折れずに男爵の傍らに居続けたため、
ついには彼自身、救いの一歩を踏み出す機会を得られたんじゃないでしょうか。
キュアアンジュは今頃きっと「計画通り」と夜神月みたいな邪悪な顔で言ってることだろう。
●キュアムーンライト
オリヴィエの手刀一発で軽く沈んだキュアムーンライトですが
キュアムーンライトのスペック自体はブロッサムと同じなんじゃないだろうか
…なのに、あんだけ強いのはプリキュアの力の根源が「心の在り方」にあるからだと思う。
最強のプリキュア・キュアムーンライトは、月影ゆりの心一つが生み出す戦士像なんだと思う。
この時、オリヴィエの言葉に心の構えを崩されたムーンライトは、
あっさりと防御レベルを落として気絶してしまう。
クライマックス直前で、男爵の一撃を食らった時も、
崩壊してゆく男爵の肉体に心を動揺させたからだろうし、
TVシリーズでダークプリキュアに負けたのもコロンの消滅が響いていたんだろう。
(11月3日 追記分)
10月31日の補足メモに
>今回の映画では、ブロ子の堪忍袋の緒が切れてない。
…と書きましたが、
今日買ってきた劇場版のサントラを見ると、
VSサランマンダー竜態のクライマックス、
ダイダラボッチを呼び出す直前の四人集結シーンでかかる音楽のタイトルが、
「30.堪忍袋の緒がきれました!」でした。
ごめんなさい。
ブロッサムは映画でも、たっぷりとキレてたらしいです。
いつもみたいに「キレました」って自己申告しないから油断してたわ、くそ。
38話、プリキュアパレスでの最終試練で
シャイで引っ込み思案な自分と向き合った彼女ですが、
簡単にキレる自分とも向き合うべきだったんじゃないでしょうか。
(10月31日 補足メモ)
ハートキャッチは、仮面ライダーで例えるとディケイドなんだと思う。
ちょっと違うけど。
ディケイドがライダーたちの世界を旅するのに対し、
ハートキャッチは、誰かの心にある悩みを旅する。
毎回わかりやすく、月影ゆりが柱にぶつかったり、
転んだ拍子に顔面で瓦を叩き割ったりした衝撃でドン!とタペストリーが落ちてきて、
「ふ〜ん。次は〜〜の心の悩みか」なんていうセリフがあってもいいんじゃないかと思う。
つまり、オリヴィエと男爵の心が今回の舞台。
家族向けの映画ということで、あえて親子モノで狙ってきたんだろうな。
今回の映画では、ブロ子の堪忍袋の緒が切れてない。
毎週30分に一回の間隔でぶち切れていた彼女も成長したもんだ。
個人的なクライマックスは、劇場でのサラマンダー戦。
キュアムーンライト(久川綾さん)の「悲しみをぶち抜いた力強い声」、キレのある戦闘。
ラストのサラマンダー戦は、
正拳突きが何度見ても反則過ぎるっ、! 反則過ぎるっ!
キュアアンジュの声優さんは、たぶん小清水亜美さん。
セリフはなかったけど、たぶんそう。
(10月30日 筆記分)
大塚隆史氏に続く東映アニメーションの注目株・松本理恵さんの初監督作品。
泣く・笑う・戦うという要素をキレイに無駄なく詰め込んで、キレイにクライマックスを盛り上げ
て、ラストもキレイにまとまった作品だな、というのが印象。くそっ、そつがねえぜコイツ…。
映画の芯となるのは、パパマンダーと狼少年オリヴィエ、擬似親子たちのドラマ。
この部分は映画の途中途中でしっかりと布石が敷かれているのが効いて、最後にはほろりとさ
せられます。
パパマンダーの飄然とした風の口調と、強者的な余裕。やり方はどうであれ、オリヴィエを孤独
から救い上げていたこと。キャラ的に観客の嫌悪感を誘わない作りというのも作用したかな。
これでムシバーンみたいに全身穴だらけにされて消滅してたら、軽くトラウマものでした。
個人的には、お父さんお母さん ――― お子さんの付き添いで来てるだけでプリキュア本編見
たことねーよという客層のために、
主人公つぼみの脇を固める三人、えりか・いつき・ゆりに関して、オリヴィエとの対話を通じて、
わかりやすくキャラの立ち位置をアピールするあたりは、気配りがきいてるなと思う。
(庭でのモデルレッスン後、洋裁してるえりか → いつき → 翌朝のゆりの順ですね)
同時にオリヴィエのドラマも掘り下げられており、
この一連の流れが、盛り上がるクライマックスシーンへ向けて観客の感情移入を誘導しつつ、
しかし竜化したパパマンダーに、ビルよりも巨大な聖女が正拳突きを繰り出
すという謎の光景に全部持っていかれてしまったので、
あのラストシーンの感動を高めるのに役立ったのかどうかはオレは知らん。
なんてゆーか……、なんで正拳突き(笑) 間違った方向にインパクトを走らせているとしか。
ストーリーを簡単に追ってゆくと、
アバンタイトル1。
ルーガルーことオリヴィエと、パパマンダー男爵。奴はとんでもないものを盗んでいきました。あ
なたの"力"です。
アバンタイトル2。
狼男の噂にかこつけて、つぼみを押し倒すえりか。階段に隠れてうまく見えませんでしたが、昼
間から公衆の面前で思いっきりハグハグ。
ももか&ゆりのハイスチューデントカップルも健在です。
(日本出国前)
「ねえ、ゆり、パリでファッションショーやるんだけど一緒にどう?」
「ええッッ、パリでケッコンしようですって!?」
長い間、耳掃除をしていなかったゆりは、
『ファッションショー』が『ケッコンしよう』に聞こえたそうで。即OKしましたとさ。
オープニングは、なめらかな流れでグイグイ動いてる最初の部分でハートキャッチ。
天の道を往き、総てを司る男が豆腐を買ってるシーンがあったようななかったような。
本編では、「花の都」という言葉をそのまま信じ込んでパリまでやってきたつぼみが、
実際のパリの姿に絶望。花なんてどこにもありゃしねえ。
「花畑」と書いて「ヤク」と読む花咲つぼみは、禁断症状のままパリの街をさまよう。
「うぅ〜、お花畑〜、お花畑はどこですか〜〜、うひひ…」
こいつはヤバいぜ。奴を放置しておけば、花畑を作るためにトラクターでアスファルトを
耕しかねない!
つぼみ、ルーガルーを拉致。デザトリアーン。マント着たーッ。変身シーン、えりかの頭ぐりぐり
はやっぱカワイイ。妖精たちの全部パーンチっ。
つぼみには年下趣味はないのか、オリヴィエに対しては母性が暴走。「ああ、オリヴィエ、オリ
ヴィエったらオリヴィエーーっ」
ハッハー、パリで飲むキュアフルミックスはフレンチだぜチューチューチューチュー。
色々あってキュアムーンライト vs パパマンダー。
最初こそパパマンダーに押され気味に描かれていたキュアムーンライトですが、本気を出した
彼女はやっぱ強いです。歴代最年長のプリキュアは伊達じゃない。
ただ、このままだとフローラルパワーフォルテッシモでパパマンダーの金玉ひとつぐらいもぎ取
ってしまいそうな雰囲気だったので、オリヴィエの横槍が入ります。キュアムーンライトの格を落
とさずに、パパマンダー戦をうまく終了させました。
どこにいるとも分からぬまま、去っていったオリヴィエを追いかけ、駆け出すつぼみ。
しかし、「オリャー!」の掛け声と共に、えりかのきつーい抱擁が、そんな彼女を包み込む。
劇場版<完・全・密・着>
1mmの隙もないくらいハグハグ。
ここまでくっついたら、えりかの胸がいかにペッタンコか丸分かりです。だがそれがいい。
プリキュアオールスターズDX2でもそうでしたが、
つぼみの心が弱った時、支えるのはえりかの役目ですね。
つぼえりいつゆり、四人そろった所で最終決戦へ。
オリヴィエはルーガルーとして完全覚醒。本能のままに敵を排除にかかります。
ここでとったキュアブロッサムの行動とは……
@オリヴィエの心臓に銀の弾丸をぶち込んだ。「狼男退治にゃ…これが一番だ」
A餌付け。「オリヴィエ、モンプチですよ。腹いっぱい食え」
Bその他。
正解はたぶんB番ぐらい。
パパマンダーの所へは、シルバーフェルテウェイブで空間をぶち抜くという荒業で月光・太陽コ
ンビが強襲。
パパマンダーは暴走して、炎の竜サラマンダーへと姿を変える。
長距離射程・業火のブレスがパリを襲う。……が、ポプリたちがバリアで防御。さらに日本から
どうやって来たのか、コッペ様がパンチ! パンチ! あ、でも力尽きて落ちた…。
ハートキャッチミラージュの力でハートキャッチオーケストラ!
巨大な聖女の幻影が!
フンッ、と力を込め!
正拳突きを敵の心臓めがけて繰り出します!
劇場内では、「なんじゃそりゃああっ!」とびっくりした幼女たちがパニックになってミラクルライ
トを点灯させて振り回してました。
そのせいでハートキャッチオーケストラがさらにパワーアップ。
混ぜ込みおむすびさんは 時間が経ってもおいーしかーった♪
(語り・だってサラマンダーと具材が違うんだもんっ)
ただ混ぜ込んでだけなのに♪
巨大なお母さんの両手でぎゅっぎゅっと握られて、サラマンダー男爵・死亡。
その肉片はパリの街にばら撒かれ、良い肥料となり、やがて花を咲かせました。
そう…、
パリは今度こそ本当の意味で『花の都』となったのです。
……なにか、大切なことを忘れてるなと思ったら
そう言えばファッションショーやるためにパリまで来たんですよね。
エンディングは、急遽コッペ様も参加でファッションショー。
「あ、え…? わたしとゆりのケッコンは?」
知らん。
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