『プリ伍轟々 お菓子の国のハッピーバースディ』のネタバレ感想

…の前に、まず超短編『プリキュアオールスターズ』の感想

大塚隆史監督というだけあって、戦闘シーンは、激しいスピード演出の中、
瞬きがもったいないほどの見せ場を美麗な作画でバンバン出してくれます。

S☆S組は、かなり優遇。
しょっぱなの精霊シールド、
スプラッシュ発射直前の手繋ぎフォームから繰り出した黄金の閃光手刀突き、
上空でのバトルフォーム換装→ブルーム・イーグレットからブライト・ウィンディへ。
「風よ!」の後押しを受けて、「光よ!」の連携。
S☆Sファンの人は、劇場でこれ見ないと一生損する。

MH組は、やっぱ必殺技がトドメ用の大技一個だけなのがツライなぁ。直接打撃しか攻撃手段
がないので、あまり出番がなかった。
伍組は、各必殺技で応戦。見せ方的には、映画本編よりも洗練されてたと思う。
マジ展開が速すぎて、記憶スピードが追いつきません。↑に書いてるのも間違ってるかもしれ
ません。

バンクシーンも多かったけど、短いながら非常に満足。
アカネさんや星野夫妻(健太・優子)に仁美といった懐かしい面々も登場しています。
轟々からは増子美香、まどかさんなど。
他にも、モブに色々と紛れていたので、二回目、三回目の鑑賞時には探してほしい。
……ところで満と薫は?


で、本編。
前回の敵シャドウ → 世界を支配してやる!
今回の敵ムシバーン → 美味しいお菓子食べたい!

あー、なんてゆーか、ナイスミドルな外見のオッサンのくせに、
子供みたいな事言ってんのな。
ラストバトルでも、「私の全てを呑み込む欲望が上か、オマエたちの愛と勇気と希望が上かか」
なんて言ってたけど、
この人、単に美味しいお菓子を食べたいだけの人だよ。
「全てを呑み込む欲望」なんてカッコつけても、その欲望が向かう先がお菓子だもん。
言い換えれば、
「美味しいお菓子を食べたい気持ちが勝つか、貴様らの愛と勇気と希望が勝つか」
……なんだかわからんが、カオスだ。

オープニング。ブンビーさん映画初登場のくだりはチャチャッと省略して、
のぞみたち全員がオーブンで焼き殺されそうになるショッキングシーンからスタート。
オーブン大爆発で難を逃れるも、すでにお菓子の国<デザート王国>へ転送完了。
「西B地区、全てのお菓子が食べ尽くされました!」
「こちら北D地区、プリキュアの桃、黄、赤が止まりませんッッ!!」
「こ、こちら……ぎゃああああッッ!!」
大量発生したイナゴが畑の作物を喰らい尽くすみたいな……
てゆーか、
こまかれっ。こまかれっ。プリンを食べるシーンでお互いに「あ〜ん」

ムシバーンの目的は、プリキュアをお菓子にして食べる事。
……どういう発想なんだろ、これ?
一体、何がどうなったら『人間をお菓子化して食す』なんて考えが出てくるのか。
…………ハッ、もしかしたら、そもそもデザート王国で大量生産されてるお菓子の材料は、
異世界からさらってきた人間……なんてことは……。

ムシバーンの命令を受けて暗躍を始めるメガネ(イケメン)とキンパツ(イケメン)。
今回の敵は、怪人化しないのね。
メガネはルージュ&アクア、キンパツはレモネード&ミントを狙います。
残念ながら、このプリキュアの組み合わせに何ら大した意味がありませんでした。
去年の8話『相性最悪? りんとかれん』みたいに、特別に「この二人だから」っていう演出は
無し。
だったら、素直にルージュ&レモネード、ミント&アクアで分けてくれても良かったのに。

レモネードをかばうように抱いてクッキー化してたミントが母性的すぎる……。
復活後、
キンパツの放つクッキーダガーの猛射を、両腕を盾にした弾幕で防ぎきるミントが漢(おとこ)
すぎる……。

ドリームは、なんと操られたココと対戦。つか、操る相手間違えてるよッ! そいつはすぐに「コ
コーッ!?」とか言いながら小動物に戻ってしまう軟弱……
……えっ、戦闘力がプリキュアと互角以上だと!?
こんだけ戦えるんだったら、ナイトメアにパルミエ王国が滅ぼされる事も無かったんじゃ……。
空中戦ではビーム撃ちまくり。ココのクセに生意気だぁっ!
まぁ、おそらくはムシバーンの力なんでしょうけど。
ムシバーンの呪縛を断ち切ったのは、のぞみのキス。
やっちゃいましたよ、ぶっちゅーっと。
百合派なオレとしては、キスなんかしなくてもキンタマ蹴り上げたら正気に戻んじゃね?
と冷ややかな視線で見てました。

ミルキィローズvsムシバーン。メタルブリザードで力を使い果たすも、ムシバーンにトドメは刺せ
ず。ここでようやくプリキュア部再集結。
「お菓子が美味しくないのは、あなたが味覚障害だからです!」
デザート女王の告げた事実に、ムシバーンぶち切れ。いい年こいたオッサンがぶち切れです。
王国滅ぼそうとします。
国ひとつを滅ぼそうとする理由は、「お菓子を美味しく感じられないから」です。なんか、ムシバ
ーンが可哀想な人に思えてきました。

城を引き裂いて、ダークタワー出現。
最上階から高威力のエネルギー弾をあちこちに撃ち、王国を破壊していきます。
最後の望みはプリキュアたち。
女王の力でサークルを作り、プリキュアたちを乗せて一気に最上階へと運びます。
なぜか、チョコラ姫も一緒に乗っけてます。女王が何を考えて可愛い一人娘を死地に送り込ん
だのかは完全に謎です。
最上階の戦闘でムシバーンが使った広範囲殲滅用のエネルギー攻撃は、
まともに食らったルージュが落下後、顔面で床にヒビ入れてしまうほどの威力です。
もし、ドリームがチョコラ姫を庇うのが一瞬遅れてたら、この子確実に死んでたよ。

ミラクルライトの光を全身に浴びて、キュアドリームが突然変異。
「想いを咲かせる奇跡の光 シャイニングドリーム!!」
さらに、プリキュア五人分のパワーを結集させたスターライトフルーレで、
ムシバーンとの最終決戦に挑みます。
ここから剣撃の応酬は、映画のクライマックスを飾るに相応しいアクション。
お互いに引かぬ剣技で、死線上を激しく踊ります。
新必殺技のスターライトソリューションは、貫通型の光の集中弾雨。光の流星と化した五色の
薔薇片に続き、自らも光の弾雨となって敵を撃ち貫く。
ムシバーンは、最後にお菓子の美味しい食べ方をドリームから教わって、笑いながら消滅。
部下であるメガネ(イケメン)とキンパツ(イケメン)は、
その後、普通にデザート王国で給仕として働いてました。何じゃそりゃ。
あんだけやって無罪とは。
デザート王国だけに甘すぎるぜ!


(↓ 以下2009年1月1日追記分)
……と、まあ随分茶化して書いたものの、今回の話はけっこう悲しかったのかもしれません。
ムシバーンが求めた美味しいお菓子とは……。
チョコラ姫が最初のほうで説明した通り、この国のお菓子は「食べたら『おいしい』という幸せが
心に残るだけ」というもの。
ムシバーンは、いくらお菓子を食べても美味しいと感じられなかった。「幸せ」を感じられなかっ
た。デザート女王いわく、それは「心」がないから。

「心」とは誰かと繋がるものであるということを、中盤、お菓子状態からの復活でプリキュアたち
が見せてくれました。
絶体絶命な状況でも、離れ離れになっていても、のぞみの声で「心」が通じ合った時、全員の
想いが大きな力を生み出し逆転しました。
……というか、「心」がリンクした状態こそプリキュア本来の強さを引き出せる瞬間なのでしょ
う。
そして、自らの欲望を満たすことのみに終始したムシバーンは、誰とも「心」を繋げる事が出来
きない存在だった。永久に胸の内で孤独を彷徨うモノ。それを「心」と呼べるのか。

デザート女王に手を重ねてひざまずいた姿は、暴虐に全てを奪いつくす男の姿とは、とても思
えませんでした。ムシバーンは、知らず知らずのうちに「心」というものに憧れていたのかもしれ
ません。
全てを呑み込む欲望こそが自分の性(さが)であるがゆえに、本当に欲したモノ ―― 「心」を
手に入れることがかなわなかったという悲哀。
散り際に見せた、あの穏やかで満ち足りた笑顔が意味するものは悲しすぎます。ムシバーン
自身の消滅こそが、唯一、欲望の化身たる自分から解放される手段だったのですから。

最後の瞬間、彼は「心」を持つことが出来たのだと思います。
「お菓子もそうなのか? みんなで分け合えば本当に美味しさが増すのか…?」
「そうか…」
シャイニングドリームの言葉を理解できたのですから。「心」を通じ合わせる事を否定しなかっ
たのですから。

……と、ここまで書いて、さんざん上のほうでムシバーンを「お菓子食べたいだけのおっちゃ
ん」呼ばわりして悪かったなぁと思いました。
かれんさんの言葉を借りて「なんか、ごめんなさいっ」と謝っておきます。

来年は、短編のオールスターズが長編となって映画化。
大塚隆史監督、万歳!!


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