<サブタイトル解体>
サブタイトルにある『希望のドレス』(ウェディングドレス)は、
おばあちゃんから母へと受け継がれた『思い出の一品』であり、
マナにとってそのドレスは、ぬくもりのある幸せの証。
おばあちゃんから母へ、そして、おそらくはマナからも次の者へ ――― 未来へと繋がって、積
み重なっていく愛の想い。
と、同時に「おばあちゃん」「マロ」という過去への導入アイテムでもあります。
単に、不思議なパワーに引かれて飛んで行きそうになった服……じゃあ無いので注意。
大切なのは、そのウェディングドレスに込められた『意味』ね。
<…ここから、ちょっと頭のおかしいコトを言う>
サブタイトルの『マナ結婚!!?』について。
百合を着た豚どもは絶望してよい。
マナ(♀)は、確かに映画内で♂と結ばれたのだから。
そう ――― 、
マロのプシュケーがドレスとなってキュアハートを奇跡のパワーで包み込んだあの現象。
それは<人衣一体>と呼ばれる現象。『神衣 魔狼(マロ)』の発現である。
神衣を着るという事は、ひとつのカラダを、ふたつの魂で共有するという事。
キュアハートの『炎外衛士(えんげえじ)モード』とは、マロの想いがマナの素肌になるという
事なのだ。これほどの完璧な密着形態を、マリアージュ(結婚)と呼ばずして何と呼ぼう。
そうか、プリキュアたちが未来へと飛ぶ前、キュアハートがマシューに噛みつかれて流血したシ
ーンは、これの伏線であったのか。
「今のマナならさっきの血で充分だ! マナがボクを着て、ボクはマナに着られている!」
なんだ、これ…
まるで絶賛放送真っ最中のTVアニメ『キルラキル』みてーじゃねーか!!
< ――― 頭のおかしいコトつーかステマ、ここまで>
<サブタイトル解体・ここまで>
生まれた時、愛という意味を込めて付けられたマナという名前。
それは、ぬくもり。
ぬくもりを感じた時間を通りすぎても、それは消えません。
ぬくもりは『思い出』というカタチになり、過去という地面の下に伸びる力強い根となって、その
人をあたたかく支えていくのです。
<しあわせの王子>としてのマナには、おばあちゃんとの『思い出』がしっかりと息づいてい
る。もちろん、マロとの『思い出』も。
ただ、『思い出』とは、幸せなぬくもりの記憶だけではありません。
マナにとっての、マロとの楽しい時間、一緒に過ごせた喜び、そして悲しい別れ。
――― 小学四年生の時に事故死したマロに、マナはお別れを言う事が出来ませんでした。
●オモイデの国の王様・マシュー.1
オモイデの国って何だろうと思い、考えてみました。
未来のある、生きている人々にとって『思い出』とは上記のようなもの。
未来の可能性を無くし、過去へと残されていくモノにとって『思い出』とは“安らぎ”
カタチのない、墓碑のようなものでしょうか。
オモイデの国の王の職務とは、捨てられ、忘れさられてしまったモノたちの魂に『思い出』のぬく
もりをよみがえらせて慰め、彼らが安らかな眠りにつけるようにするコトだった。
オモイデの国とは、神聖な眠りの静寂に沈んだ場所。
しかし、簡単に捨てられるモノが多すぎる。簡単に忘れ去られてしまうモノが多すぎる。
未来へと進む者たち ――― 人間たちはあまりに身勝手だ。
マシューの抱いた怒りは、王としての行動をゆがませる。
捨てられ、忘れさられてしまったモノたちの魂に、未練へと変化した『思い出』を呼び起こし、人
間たちへの復讐を決意した王の下(もと)へ参じさせます。
●オモイデの国の王様・マシュー.2
マロ「アイ・アム・マシュー!」
マナ「誰っ!?」
マロ「えっ!?」
マナ「えっ?」
……非常に残念な王様というか。
マシューの正体は、マナが昔飼っていた犬・マシュマロ(通称マロ)
三幹部に威厳を持って命令を下している時も、また捕虜となったベベルたちに向かい合ってい
る時も、オモイデを映すモニターには「マナマナはふはふ」と小学四年生の女の子にじゃれ 付いているマロの姿が垂れ流しになっているわけですよ。
……うん、笑っていい場面ではないんだが、何かやっぱりおかしい。
例えるなら、
強そうなラスボスが偉そうな演説をしているけど、その背後では、
設置された大型モニターに、幼女の絵がプリントされた抱き枕をぐりぐりとハグしているラスボ
スの姿が大写しになっているとか、そんな感じか。
ちなみにマシュー、良く見ると襟カラーに隠れ気味ですが、
ハートの首輪を今もちゃんとはめてます。だって、マナが大好きだから。
彼は真のボス・クラリネットによって、その想いを未練という形に歪められ、利用されていたの
かもしれません。
●真のボス・クラリネット
果たして今回の廃品回収事件(?)、どこまでがマシューの意志で、どこからがクラリネットの意
図なのかは分かりませんが。
『未来へ飛ぶ(時空移動)』という反則級の切り札を使用したのに、
即座に対処してくるキュピラッパちゃんのせいで……。
奏者がいないと、三幹部のように自律した部下は作れないのだろうか。
しかし、物体操作は自由自在。鋼鉄歯車をブンブン念動投射してきますが……
ええいっ、どうせなら、こう……ワイヤー的な物をウネウネと動かして
ToLOVEるチックに擬似触手プレイとかゲフンゲフン!!
過去に置き去りにされた =(イコール) 未来に進めない =(イコール) 死んでいる。
今回ようやく成仏できたマロはマナの『思い出』となって、これからも彼女の中で一緒に歩み続
けますが、そうでないモノだって多いはず。
もしかしたら、このクラリネットは誰の『思い出』にもなれないまま、
ただ過去に置き去りにされた存在……そういう無念の依り代(よりしろ)であったのかもしれま
せん。
●脅迫のミラクルライト
個人的には、子供たちのためにも『絵(シーン)』がほしかったのです。
あのシーン、時空がどうのこうのって言葉で説明してて、危機的な絵が無いんですよ。
大人なら言葉だけでも理解できます。けれど、メイン観客である幼女たちに、その危機の度合
いは伝わったのでしょうか?
それよりも亜久里です。
今回初めて、スクリーンの中から劇場にいる子供たちへ直接、ライト支援の要請が出ます。
「自分たちの存在が見えているのか…!!」と驚いた子供たちは必死でライトを振ります。
なぜなら奴は……『向こう側』から、こちらを窺っているのだから。
普段から年長者に対しても容赦のない亜久里です。手を抜いたら、いきなりグルッと首から上
が劇場内に向き直り、髪を逆立ててキツイ叱責を飛ばしてくるかもしれません。マジ怖ェ…。
●その他、映画のこと。
良い構成だったと思います。
アクションパートでの熱が冷めない内にストーリーパートをこなし、
再びアクションパートへ……という構成で、観客の熱量を下げさせない作りでした。
アクションパートで、短いながらもセバスチャン、DBの活躍がしっかりと印象に残る形で描か
れていたのはグッド。
ちなみにDB。強行潜入作戦で捕虜となった際、スーツ姿で縛られてしまい……。
服の上から縛られただけなのに、
光の線で規制が入る深夜アニメより妙になまめかしい。
●かばわれるマナ
一度目は、鯨舟の口から伸びたカメラアームの光線に捕らえられようとした時。
とっさに「マナ!」と六花がマナをかばうように前に出るんですよね。
直後突っ込んできたピンクベンツの特攻にカメラアームは破壊され、事無きを得ましたが。
二度目は、クラリネットの念動投射する鋼鉄歯車。
犬形態に戻っていたマシュマロが身を挺して彼女を守ります。
マナは強い……が、完全無欠というワケではない。
こういったサポートがないと意外な面で危ういキャラだなぁ。
●ロゼッタリフレクション・ダブルクラッシュ
劇場版のオリジナル必殺技の中で、一番印象に残ったのがコレ。
巨大なシールドで左右から敵を物理的にバニッシュ!
攻撃は最大の防御という言葉もあるので、キュアロゼッタが防御系キャラというのは一応正し
い。……うん、一応な。
●軍師六花
マナにちょっかい出してきた男子に、
「男子は好きな子にいじわるする」と心理的牽制を仕掛ける六花。
これ以上マナにちょっかい出すなら、それは彼がマナを好きであると周囲に公言してしまうよう
なもの。そんな事になれば、逆に彼が皆からいじられるのは必至。
六花はこういう感じで、マナの周囲から男子を遠ざけているとかいないとか。
●オムライス
六花が食べたかったのは、ただの美味しいオムライスじゃない。
<ぶたのしっぽ亭>でマナと一緒に食べるオムライスなんだ!
記憶を無くしても、その時の味は心に刻まれている。
●「愛は時空を越えるもの」
キュアエースが『どやっ』と言わんばかりの顔でキメるセリフ。
もちろん彼女にそんな力は無い。
がんばったのは、間違いなくキュピラッパ。
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