『映画 Go!プリンセスプリキュア Go!Go!!豪華3本立て!!!』のネタバレ感想


今回は三本立てでチャレンジ。

短編『キュアフローラといたずら鏡』
長編『パンプキン王国のたからもの』
中篇『プリキュアとレフィのワンダーナイト』の順で上映されます。
上映時間は、5分・50分・20分。

3DCGの短編は、ピクサー映画の本編前に流れるショートフィルム的な感じ。
セリフ無しの短いストーリーで、ラストにちょっと『ほんわか』とさせてくれるという、アレです。
ミラクルライトを振るシーンでは、スクリーンにタイミングが表示されるが、
自分が観た劇場では、子供たちの食いつきは微妙。
事前に「こういう映像が流れたらライトを振ってね」みたいな説明が必要なのだろうか。
それとも単純にライトを振るほどテンションが上がっていなかったのか。
(↑ 訳:血が騒がなかったのか)
もしかすると、
ライトを振る = ピンチになったプリキュアを応援するという認識から、
「現時でキュアフローラに対する脅威度は、要支援段階に達せず。通常観賞にて待機」
という、幼女たちの戦術的判断の結果なのかもしれない。

メインの長編は、今までの映画のように、ゲストキャラとの交流の中で、主人公が悩んで立ち
止まって、そして、そこから立ち上がって前に進む → クライマックスへ、というドラマ的な盛り上
がりがなかった。
ゲストヒロインであるパンプルル姫とは、パフ・アロマを通じて状況の確認を行うも、クライマック
スフェイズに入るまで直接の顔合わせが無い。
しかも、パンプルル姫は、長編のボスキャラ・ウォープが自身の能力を使用して作ったであろう
塔のクリスタル牢をショルダータックルで内側から破壊して、自力脱出できるのですから、その
辺に関しても特にプリキュアの助けは必要ではない。
クライマックスでは、巨大化して猛威を振るうウォープ第二形態を前にしても全く怯まず、
「あきらめないで!」「希望を捨てないで!」と全員の心を鼓舞し、ミラクルライトを出現させま
す。
この子にウォープをシバキ倒すだけの絶対的な攻撃力があったら、プリキュアが来る前に映画
が終わっとる。

この状態でどうやったら、はるかとパンプルル姫でドラマ性を盛り上げられるんだぜ?
けれど、テーマである『家族愛』に関しては、しっかりと描けていたと思う。

パンプキンパフェで、プリンの味に「引っかかり」を覚える春野はるか。
美味しいけれど、現時点ではうまく説明できない「何か」を感じたらしい。
はるかがこれに気付けたのは、主人公特有のヒロイン力などではなく、
のちのプリンセス大会予選で語られる「家族との思い出」の中にある、愛情のおかげです。
真に美味しいものの隠し味は、食べてくれる人への愛情。何よりも大切なそれを、たくさん両親
からもらってきたはるかだからこそ、ウォープに心を歪められた王と王妃が、元の優しさを取り
戻すきっかけとなるプリンを作れたのです。

それにしても、カボチャのプリンの味に始まり、敵の悪意をひっくり返すきっかけもまたプリン。
なぜか、前シリーズの蜂蜜天使の黄色い影が、現シリーズの裏でうごめいているような、
そんな気配を感じる。…いや、気のせいだろう。……気のせい…だよな?

クライマックス後、王と王妃が身に着けた高価な装飾具を「こんなものっ」「ちっとも宝物じゃな
い」と投げ捨てながら、二人のとっての本当の宝物であるパンプルル姫を抱きしめにいくシーン
は、テーマである『家族愛』そのものであり、ド直球な見せ方ですが、それゆえにまっすぐな感
動があります。
このまま感動的に終わるのかと思ってたら、いきなりミス・シャムールが登場。
まさか登場するとは思ってなかったから、素直に驚いた。フレキシブルなオチだ。


●ウォープの卑劣な罠

パンプキンカフェにてプリンを堪能中、ゼツボーグ襲来。
プリキュアメンバー4人は変身して応戦開始。
避難誘導1級の資格を持つ七瀬ゆいは、カフェの一般客を安全な場所まで避難させるも、
その隙にウォープの空間転移能力によって、はるかたちはパンプキン王国へと飛ばされてしま
う。
ゆいが戻ってきた時には、パンプキン王国の外貨獲得機関であったパンプキンカフェは消失。
はるかたちと完全に分断されてしまいました。
せっかくの劇場版だというのに、ゆいの出番を……。
おのれ……許すまじ。
長編のエンディングでは、カボチャへの呪いに心を囚われたゆいが、ジャック・オー・ランタンに
変身してしまいます。そして、お化けが苦手なみなみの心をへし折りました。怖い。

今作では、サポートキャラの大切さを思い知らされました。
ゆいがいないため、はるかのプリンで正気に戻った王と王妃の避難誘導は、パフとアロマが担
当しますが、未熟な二人では王と王妃を安全圏まで退避させることが出来ませんでした。その
ためウォープの第二形態に、王と王妃が捕らえられてしまいます。なんたるウカツ。
ゆいならば、こんな失態を犯さなかっただろうに。

徹頭徹尾、卑劣なウォープ(warp = 歪める)の遣り口。
プリキュアを絶望のコレクションに加えるため、パンプキン王国ひとつを丸ごと罠に変える。
そのために心を歪められた王と王妃は、一番大切な物を「売上の増加」「資本の増強」にすげ
替えられてしまい、妖精たちは「コスト(人件費)の強引な削減」(ぶっちゃけタダ働き)という地
獄を味わうワケです。

まったく許せませんね。こんなのは観てて許せない。
だが、プリンセス大会という罠にあっさり釣られてしまったきららが、予選で身にまとう衣装のた
めに、妖精たちにカボチャの蔓で採寸されるシーンと、妖精たちの高速機動に隠れてしまって
しまったとはいえ、私服から衣装に生着替えさせられるシーンを観て、
――― 許そう。そう思ったりもした。
広い心で罪を許すからこそ、絶望の世界に希望の光が生まれるのであって、つまりはきららの
採寸結果(スリーサイズ)に関して、詳細を教えてほしい。あとブルーレイでは着替えのシーン
で邪魔だった妖精たちが透けるとか消えるとかするんですよね?よっしゃあ!

●他、色々

アロマ、過労死。安らかに眠れ。


ウォープのプリキュアコレクション大作戦について、トワは、いち早く「何かがおかしい」と気付い
ていた。みなみ・きららを泳がせる一方で、自分はしっかりと予防線を張ります(笑)。
しかし、ウォープのチカラは強く、
キュアフローラと共にクリスタルの中に閉じ込められてしまいます。
このピンチを救ったのは、食いしんぼうプリンセス・キュアフローラの「プリンを食べたい」という
強い気持ち。
そして、みなみの専属ナイト(テレビシリーズ第9話)再び。
フローラの手で救出されたみなみは、嫁(はるか)のカッコ良さに頬を染めてもええんよ?
そういえば、嫁のほうは、みなみがバレエを舞う姿に見蕩れて、頬を染めてたっけ。
まったく、そんなんじゃ二人が正式なカップルだと、幼女たちが勘違いしちまうじゃねーか。
いや、勘違いじゃねーんだけどさ。

バトル、アクションに関しては、長編・中編を通じて、とにかく動かしていったという印象。
長編序盤のゼツボーグ戦では、空中戦から突入する、目まぐるしい戦闘応酬。
ウォープ戦での見所の一つである、マーメイド&トゥインクルのキュアカンフーのキレ。
中編でのナイトパンプキンとの4対1(実質は3対1)のバトルも、ウォープ第一形態戦とは違う
見応えがあった。
あと中編での綱渡り、スケート、階段ストライクといったアトラクション的な場面の数々。

巨大化したウォープ第二形態は、たいして動かないとはいえ、
相対する者を絶望させるほどの破壊攻撃(地形ごとフッ飛ばす)の迫力。
そして、ウォープと決着をつけるための必殺兵器・プリンセスパレスは、大地の岩盤をぶち割っ
て登場するというド派手さ。
プリキュア・ハロウィン・エクレールにて勝負を決めにいっている時のプリキュア四人の表情。
四人とも男前すぎて、観てる幼女が想像妊娠してしまうやろ。

大きくは長編・中編に分けたことで、ストーリー面での感動の掘り下げの時間が取れなかったと
はいえ、自分が劇場アニメとしてやってほしいと思ってることは、ぎっしりと詰め込まれていたの
で、おおむね満足です。
あとは、この映画でメイン層である幼女たちがどれほど満足してくれるか…です。

別にどうでもいいような気もするが、やっぱり気になってしまうのが、
『モードエレガント・ハロウィン』にドレスアップした時の、頭のリボン。カボチャの蔓をイメージし
たんだろうけど、揺れるたび「(静かに)びよんびよ〜ん」みたいな感じで、変なアホ毛みたいと
いうか、ちょっと…。

●中編に関する推察

作中の、まるで書き割りとしか思えない夜空を見ていて思ったのですが、
舞台であるパンプキングダムとは、
レフィの人形で遊ぶ際、パンプルル姫が考えた脳内ストーリー・脳内設定から生まれた世界。
子供たちの心の中にある、もう一つの宇宙的な……、想像によって創造された世界。だから、
そこに暮らす者たちは皆、パンプルル姫の創作物であり、けれど、その世界の中では、一人一
人が意志を持って、泣いたり笑ったりできる存在である。
もちろん、パンプルル姫がレフィの人形で遊んでいた時は、そこは明るくて楽しい国だったのだ
ろう。

だが、ある日、パンプルル姫が考えたのではない、ナイトパンプキンという存在が外部から紛
れ込んできて、パンプキングダムを暗い夜だけの世界に変えてしまった。
ナイトパンプキンは、おそらくミス・シャムール並みに、その存在がフレキシブルな奴なのだろ
う。だから、パンプルル姫が想像の中で遊んでいた世界にすら入っていけた。
おそらく、ナイトパンプキンという邪悪な存在を呼び寄せたのは、長編の序盤で一人置き去りに
された七瀬ゆいの無念。
ゆいだって本当はプリンセス大会に出場したかった! 競技種目は『避難誘導』!
ジャック・オー・ランタンの仮装でみなみを怖がらせただけでは、その無念が晴れることはなく、
はるかの机に置かれていたレフィの人形に影響を及ぼしていた。

もしくは、ナイトパンプキンの正体は、歪んでしまったゆい自身だったのかもしれません。
パンプキングダムから戻ってきたはるかが部屋で目にしたものは、ジャック・オー・ランタンの
被り物を被ってベッドの上で気絶しているゆいの姿だった……とか。

暗い夜だけの世界になってしまったせいで、住人は一日中、働きもせずに酒場で飲んだくれて
ます。こんな世界、レフィみたいな女の子には耐えられません。
パンプルル姫から自分を受け継いだ春野はるかに、なんとかして呼びかけることに成功しまし
た。もうこの辺の考察は、フレキシブルに処理していこう。

中編では、女の子の前向きなたくましさがポップに伝わってきたって感じですかね。
カボチャ兵の注意を引くために、ノリのいいライブ。
敵ボスの腕に噛み付き攻撃、しかもお姫様が。
レフィはおてんばというかアクティブというか、主人公気質が備わっているような気がする。
女の子が見ていて楽しいタイプの女の子。
ラスト、ミラクルライトをお礼代わりにはるかの机に残して、レフィの人形は消えていましたが、
これはおそらく次の子のもとへ向かったのだろう。
パンプルル姫が生み出した世界でレフィが得た、大切な宝物を伝えるために。
よし、綺麗にまとまった気がする!


映画終了後、簡単に予告が流れましたが、
次回のオールスターズ、敵の狙いは『プリキュアの涙』だそうで。
つまりはアレか。
プリキュアに涙を流させるために、捕らえた彼女たちに薄い本的な行為を……ウェヒヒ。
まあ冗談はさておいて、
プリキュア全員分の涙を集めた!と、敵がパーフェクトコンプリートを確信した瞬間に判明する
事実 ――― キュアマリンの分は、実は『涙』じゃなくて彼女の『よだれ』だったというオチから始
まる大逆転に期待しつつ春を待ちます。

(おわり)


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