nameless Flower 06



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「おーい……つぼみ〜? まだ生きてる? それとも死んだ?」
 心地よい温もりに密着されながら、そんな声を聞いた。
 目を開かなくても、えりかが抱きしめてくれているのだと分かる。
 おでこや頬に、優しく唇を這わせてくれる感触。ふわっ…としたやわらかさが気持ちいい。同
時にくすぐったくもある。
 つぼみが甘い声と共に、自分の唇を突き出す。キスのおねだりだ。
「ん〜っ…」
「えーっ、つぼみの味がしちゃうけど、いいの?」
 こくんと可愛らしくうなずいて、まだ熱い裸身をすり寄せてくるつぼみの態度を受け、
(まっ、いいよね)
 と、えりかが気分良く応じてみせる。
 べったりと粘液にまみれた唇で、甘やかな接吻。つぼみの唇に生酸(なまず)っぱい蜜をなす
りつけて汚してから、舌を侵入させた。彼女の口の中にも猥褻な蜜の味を塗りたくってやる。
「んっ…む、んっ…」
 自分の分泌した液の味に、少々微妙な顔になってしまうつぼみ。舌を引き抜いたえりかが、
やっぱり…といった笑みを浮かべた。
「あはは、だからあたし言ったじゃん」
「んー…やっぱり自分のは……ううー」
「うりゃうりゃー、もっとペロペロしちゃうぞぉ」
「やっ、もうっ、えりか…んっ、ちょっと…えりかってばぁ!」
 床に寝そべって抱き合ったまま、えりかと一緒になって笑う。
「私、シャワー借りますね。それにキチンと歯磨きもして……あっ、どうせなら一度家に帰って、
おめかししてきたほうがいいでしょうか?」
「…はん?」
「だって、これからゆりさんと会うんですから、失礼のない格好でないと……うふふっ」
 嬉しそうに恥らうつぼみへ、えりかが唖然とした視線を注いだ。
(おいおい…。そりゃ確かにあたし、そんなコト言ったけどさぁ…本気にする? フツーは)
 呼べるワケないじゃんっ ――― という言葉を呑みこむ。彼女のポワワ〜ン…と上気した期
待の微笑みを崩したくはなかったのだ。
(だからって、本当にゆりさんを呼ぶなんて出来ないしねぇー)
 つぼみから身を離して、ハダカのままベッドに腰を下ろす。そして、子供っぽい乳房の上で偉
そうに両腕を組んでみせた。
「よしっ。 ――― でも、その前にあたしもキモチよくしてもらおうかなっ」
 とりあえず、もう一戦交えてうやむやにしてしまえ。
 えりかが、楽天的な作戦を発動した。
 上体だけを起こしたつぼみがハイ…と素直に返事をしそうになって、ふと、今の自分の立場
を思い出した。えりかの裸体を床から見上げながら、首輪から垂れるリードをプラプラと振って
みせる。
「えりか、せっかくですから……、ねっ?」
 ゾクッ ――― 。官能的な身震いのあとで、えりかがサディスティックな笑みを表情に広げて、
つぼみのあごの下へつま先を伸ばした。くいっ、とその顔を上向かせて新しい命令をくれてや
る。
「いい? 『先ほどはイカせてくださいましてアリガトウゴザイマス』って感謝の気持ちをこめて、
むっちゃくちゃ丁寧にキモチよくしなさい。命令だからね。わかった?」
 つぼみが幸せそうに両目を閉じて、「わかりました」と艶(つや)っぽい声で返事をした。

 姉によれば、身長を伸ばそうとして飲んだ牛乳の栄養が胸に集まってしまったらしい。そのせ
いで、胸のサイズはつぼみよりも少し上のランクだ。
 しかし全体的は、小学校高学年程度のほっそりした体つきだ。子供っぽさはぬぐえない。汗
ばむ白い肌に快感のさざ波を走らせて悶えさせる姿も、あどけない少女が大人の女を演じよう
と背伸びしているように見えてしまう。
(ううううっ…ウウウウウウ〜〜〜〜ッッ)
 微かに首を振りながら、声を必死でこらえる。そうしないと笑い出して止まらなくなってしまい
そうだったからだ。
 つぼみの左手の上に丁寧に乗せられた右足。その指と指の間を、つややかな髪先によって
コショコショ…とくすぐられていた。
「どうですか? えりかが思いついた『連続・髪の毛パンチ』の味は」
 つまんだ自分の髪先を細筆に変えて、つぼみの手がこまやかに動く。それに合わせて、五指
全てをビン!と強く反らせた右足が悶え、ひざがビクッ…ビクッ、ビクッ…と小さく跳ね回る。
「ひーー…、つぼみの髪は凶器だよ……」
 まぶたを半分閉じて、指や舌では味わえない官能的なむずがゆさに耐える。
「う…、あ、でも、くすぐってほしい部分は、あたしとしては…もうちょい上のほうかなぁ…」
 ――― やや挑発的に、左右の太ももを小さく開いてみせる。
 淫らな粘液ですっかり汚れてしまった処女の性器。つぼみの髪の毛で一番感じる部分のあち
こちをいじくり回してほしい。そう考えただけで膣の奥のほうからムズムズとした感触が溢れてく
る。
「じゃあ、上のほうをくすぐっちゃいますね」
「…あっ」
 ぞくぞく…っと体の芯を震わす悦びをこらえ切れず、えりかがキュッと両目をつむった。
 左足が静かに下ろされた。
(早く……もうっ、待ちきれないよぉ……)
 右の頬に優しく添えられた手のぬくもり。あれっ? ――― と思った。
 左耳の内側に侵入してくる、細筆の先のようなこそばゆさ。
「いやいやっ、こらっ、つぼみ上すぎーっ! 上すぎーっ!」
「ふふふっ、こっちもきっと気持ちいいですよ?」
 クスクス笑っているあたり、確実にワザと間違えたのだろう。右耳を内側中心にたっぷりコシ
ョコショくすぐってから、今度は耳掃除をするみたいに細くつまんだ髪先で耳孔を浅くなぶり始
める。
「ふひいっ…ひっ、やだ…、ひぃ、耳……ダメぇっ、ああぁんッッ……!」
 えりかが固く縮こまらせた全身を悶えさせて喘ぐ。
 頭が狂いそうなほど耳の穴がむずがゆくて、そんな状態なのに、頬を支えてくれる左手の感
触や、右のヒジに当たっている彼女のやわらかな腹部を感じると ――― つぼみを思いなが
ら、さらに恥部を淫らな蜜で蕩けさせてしまう。
(ダメだ、あたし…、つぼみにこういう事されると……メッチャいやらしい気分になっちゃう!)
 ガマンできないほどのこそばゆさに顔をしかめ、さらに呼吸を乱れさせる。
「はぁっ、くううぅーっ、ふうっ、ンッ…ン゛ッッ…、はぁっ、これ以上は…く、う゛…ンンッッ…」
 腰の奥に甘美な痺れが響き始めた。
(ええー、耳の穴だけでイッちゃうの、あたし? ……もっと気持ちいいコトしたいよぉ)
 頬を支えるつぼみの手を掴んで、自分の胸に誘導。
 右胸の丸みへあてがわれた手の平が、硬く勃(た)った乳首を中心にゆっくりと円を描くように
動く。優しい愛撫に胸先が焦れったくうずく。時折、五本の指が小ぶりな乳房をフニフニと揉ん
でくる。これも気持ちいい。
「ねえ、つぼみ……顔、舐めて……」
 片目だけうっすらと開いて、弱々しくなった声で乞う。命令する気力は、すでに無かった。
 つぼみが我が子を見る母のように優しく笑って、耳孔を責める手を止めた。

 えりかの裸身が、くたぁ〜…っとベッドの上に仰向けに倒れこむ。つぼみのカラダも被さるよう
に追ってきた。右乳房をいらう手の動きを再開しつつ、えりかの顔に唇を近づけてくる。
「息が出来なくなるくらい……乱暴に舐めて……」
「こうですか?」
 突き出した舌で、えりかの唇を右から左へ強くなぞっていった。次はその逆。濡れた肉の弾
力が、やわらかな唇へ何度もこすりつけられた。まるで唇を犯すみたいな舐め方だ。
「ン゛……ン゛ッ……」
 口を閉じたまま喘ぐえりかの鼻を、つぼみの強引なキスが塞いできた。五秒……十秒……。
息苦しさから解放されようと口を開くと、すぐさまつぼみの唇が下りてきて彼女の呼吸を奪っ
た。
「むぐっ…」
 息を吸い損ねて、えりかがうめく。 ――― その直後ゴホゴホと咳(せ)き込み始めた。一時
的な呼吸困難に陥る。
 苦しそうに咳をする彼女の額やまぶたの上を、休まず舌の動きが這いまわる。あまりに力強
く舐めるものだから、閉じられていたまぶたが軽くめくれ上がったぐらいだ。
 唾液を塗りたくられた顔中が、その匂いで埋めつくされてしまう。
(…ねえ、おいしい?)
 ようやく咳の鎮まった口で尋ねようとしてみたが、それよりも早く、むさぼるような激しい舌使
いで唇を塞がれてしまった。
(んっ、んんっ…)
 顔を舐めまわす舌の動きは、徐々に鼻と唇だけに狭(せば)めてきた。満足に呼吸ができず
息苦しさが募ってゆくが、それでもえりかの頬には微笑が浮かぶ。
(こんなに求めてくれてありがとう、つぼみ)

 胸を愛でる手付きも休まない。乳房の丸みを緩急をつけて撫でさすりつつ、感度の高まって
いる乳頭を手の平全体でこすり転がす。甘美な刺激が胸先をたまらなくうずかせる。
「ふんんっ…ン……、あっ、あああっ、ああーー……」
 今もなお乱暴に舐めまわされている顔と、優しい愛撫に包まれる乳房。 ――― どちらもえり
かの情欲を昂ぶらせてゆく。
(んんんっ……やだっ、きちゃうっ……)
 上気した肌をブルブルッ…と震えさせて、恍惚の眼差しを天井に投げかけた。うっすら開いて
いる両目からは、涙のしずくが流れ落ちてゆく。
「だめですよ、えりか、まだイカないでください……」
 喘いでいる唇へつぼみが優しくキスを重ねる。乳房をいらう手を動きも弱めた。けれど、えり
かは下半身をモゾモゾ動かして、腰をくっつけようと寄せてくる。
「あ…あ…ごめんねっ、あたし……あたしねっ、もうっ……」
 うわ言めいた呟きを洩らしつつ、つぼみの太ももを両脚で挟みこんで、熱くぬかるんだ恥部を
なすりつける卑猥な腰使いを始めた。
 興奮で顔を真っ赤にして喘ぐ彼女がとても可愛らしくて、望みどおりにして上げたくなる。
「えりか、こういうのはどうですか?」
 つぼみが上半身を密着させ、二人の胸をふれあわせた。ゆっくりカラダを揺らすと、なめらか
な硬さの乳首が互いの乳輪をなぞり、まれに、ツンと尖った二人の乳頭がぶつかる。
「ふあっ、ひああああっ……」
 つぼみの裸体にしがみついて、えりかが啼(な)く。
 うまく乳首同士をこすり合わせると、ガラスの粒をすり合わせたみたいな官能的な痺れが、小
ぶりな乳房の先に得(え)も言われぬ快感をもたらした。
「あぁんっっ、つぼみぃっ、指でするよりくすぐったいよぉ……」
「んっ、気持ちいいですか…? えりかが気持ちよくなってくれて……嬉しいですっ」
 ベッドの上で抱き合う全裸の少女たちが、熱い吐息を洩らす。
 カラダの感覚を頼りに、胸の一番先の突起 ――― 非常に感じやすい部分を幾度となく響き
合わせる。つぼみの太ももに押しつけられた秘所も、ますます熱く潤んでゆく。
「感じているえりか、すごくカワイイですっ。私の……私だけのえりかですよっ」
 興奮した声をえりかの耳に吹きかける。「ふぇっ…」と小さく悶えて、えりかが強くしがみついて
くる。小柄な少女の全身に、ビクっ…ビクビクっ…と震えが走っていた。
「ごめんっ、あたし……ガマンできないっ、うううっ!」
 カラダが快楽に溺れてしまって、もう後戻りできない状態だった。閉じたまぶたの裏から涙が
あふれる。せわしなく喘ぎながら、あさましく腰を揺すって快感を高める。
「気持ちいい……気持ちいいよおっ」
「今のえりかの声、とっても可愛いですっ。もっと…もっとイヤラシイ声を出してくださいっ」
「ンっ、いいよ、あたしも…腰動かすたびココがニュルニュル…って気持ちよくて、だから…あ゛
っ…はあぁっ、出すなって…言われても、声が出ちゃうんだからぁぁっ」
 えりかの淫らな分泌液でベトベトに汚した白い太ももへ、なおも粘ついた処女の恥裂をすべら
せ、こすりつける。太ももの肉厚のやわらかさが気持ちよくて、腰が止まらない。
「ねえ、つぼみ、あたしイクよ……イッちゃうよ、つぼみの太ももでイッていいっ?」
「イッてください、早く私に…あなたがイク所を感じさせてくださいっ」
 えりかのほそっこい裸身をきつく両手で抱いて、だんだんと昇りつめてゆく彼女をカラダ全体
で受け止める。
 えりかの股間の奥で、膣の肉が『きゅううっ』と収縮。その瞬間、ビク!ビク!と腰が跳ねた。
「ふああっ…あああっっ……あ゛っ、あああーー……」
 腰を使うのをやめ、快感の絶頂に達したカラダでつぼみにしがみつく。時折、絶頂の余韻が
身体に走って、華奢な手足をピクンッ…と小さく悶えさせている。
「はぁっ、はぁっ、はぁ、はぁっ…」
 全力疾走後のように息を乱しているえりかを、ただ愛しく思うばかり。彼女の熱くなった皮膚
を、こうやって両手で抱き包んでいられる今が最高に幸せだった。
「……つぼみ」
「はい?」
「太もも、汚れちゃったね」
「ふふっ、私はかまいませんから。……落ち着いたら、こっちの綺麗なほうの太ももで」
 えりかの両脚に挟まれている太ももを静かに引き抜き、反対側の太ももと入れ替える。
「えりかの汚れた部分をしっかり拭いてくださいね」


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 肌の火照(ほて)りを冷ましている間、デザートを愉しむように甘いキスを交わし続けた。
 つぼみはしっとりと唇を重ねて、そのやわらかさを味わうのが好きだ。対照的に、えりかはじ
ゃれつくみたいに可愛らしい音を響かせて、唇同士を吸い合うのが好みらしい。
「…ン、えりか、そんなに…したら、うっ、ん…、息が…苦しい……」
「んん…っ……ンッ、でも、やめられない……ってば」
 少女たちは何度も何度も、唇を唾液で湿らせながらキスの悦びを交換した。
 くちづけに酔いしれる二人の手が、お互いの肩や背中をなぞるように這っていた。おだやか
な愛撫の心地よさが、肌の感覚をゆったりと蕩けさせていった。
「なんかさぁ…、温泉入ってるみたいで気持ちいい…」
「私とのエッチがですか?」
 つぼみの顔が、ぺろぺろと唇を舐めてくるえりかの舌から逃れて、彼女のカラダのほうへと下
がってゆく。断りもなくキスを終了したからか、首輪が強く引っぱられる。
 ぞくり ――― と背筋に喜びが走る。えりかに逆らうことの背徳感。
 つぼみの口が胸先に達し、その小ぶりなふくらみの先端をくわえる。
「あンンっ」
 えりかがこそばゆそうな声を上げた。
 優しく乳首に吸いついて『ちゅちゅっ…』と甘い音を鳴らす。それを幾度も繰り返しつつ、胸先
の突起を舌で舐め転がそうとする動きも織り交ぜてきた。 
(つぼみの口で……おっぱいの先がしびれちゃうよぉ)
 首輪に繋がるリードの端をぼんやりと握りながら、恍惚の視線を宙にさまよわせた。さっきイ
ッた腰の奥が、再びウズウズしてくるのがはっきりと分かる。
「んんっ…ん〜〜……」
 小柄な裸身を悶えさせるえりかが、もどかしげに左右の太ももをすり合わせた。そうでもしな
いと、いじりたくなる気分に耐えられない。その動きを感じたからか、つぼみの吸い方や舌使い
も大胆さを増した。
『…チュッ…ちゅるっ…ちゅちゅちゅっっ……、ぢゅ…ちゅっ…チュッ、チュッ……』
 乳房の先をついばみ、小刻みな吸引音を奏でる。硬張(こわば)った乳頭が、官能的な刺激
に甘く痺れてしまう。
 吸うだけではなく、ちゃんと舐める動作も継続している。 しかし、ツンと尖った突起を避け、
乳輪の端をチロチロ…とこまやかに舐めてくる舌がじれったくておかしくなりそうだ。
 ビクッ、ビクッ…と上気した肌に、悦びの痙攣が走る。
「つぼみ、命令。先っぽを…先っぽを舐めてぇ……」
 リードを短く握りなおして、ぎゅっ、と引っぱる。首輪にも伝わったはずなのに、つぼみの口は
乳房から離れた。そして反対側のふくらみの先に唇を這わす。
 えりかが泣きそうな声で抗議した。
「そっちに行かなくていいのぉ、あたしが舐めてほしい場所、わかるでしょ〜?」
 首輪がグイグイ引っぱられる。けれど、つぼみは微笑んで逆らう。
「わかるからこそ、ですよ」
「うっ…ン゛ッ、……もおっ、奴隷が逆らっていいのぉ?」
「これは下克上です、ふふっ」
 さきほどまで口でむさぼっていた乳房を手の平でもてあそびながら、もう一方の胸先に舌を
踊らせる。やはり頂点の突起を避けて。
「ううぅ…くすぐったいっ、ああっ、やだっ、あっ、もおっ…つぼみぃ、あぁんッ」
 じれったそうに悶える少女の裸体の上で、口と手を使って彼女の小ぶりな乳房の肉感を堪能
する。ふにゅっ…と指が沈みこむ軟らかさを優しい手つきで揉み、「ちゅちゅちゅっ…」と軽やか
なキスの音と共に、乳輪に沿って円を描くようにくちづけを這わせる。
(うーっ、さっきからつぼみの息がくすぐったくて……。ううう、おっぱい二つともキモチイイけど、
肝心な所いじめてくれないんだからぁっ!)
 両太ももを固く閉じて腰をくねらせる。まるでトイレをガマンしているみたいな仕草だ。さんざん
焦らされて、乳房の先っちょが切なくジリジリとうずいていた。
 たまらなくなって、えりかが降参。つぼみに呼びかける。
「つぼみー、あとで何でも言うこと聞くから……お願いだからイジメて、早く……」
「こういう風に、ですか?」
 曲げられた人差し指が、コリッと固く勃起した乳頭に爪の先を当て、適度な力加減で掻(か)
く。無視できるほどの微量の痛みだが、感度の高い部分にそれを繰り返されると……。
「あぁーっ、乳首が変になっちゃうぅ」
「ふふっ、大丈夫ですよ。……えりかの乳首、いじめられてツンツンに尖ってきました」
 今度は口もとの乳房にも。
 待ちわびていた乳首に、前歯の先端 ――― エナメル質の硬い感触を添わせて顔を動かし
た。前後に、左右に……。力加減は指でするよりもやや強めだった。鋭い硬さでこすられる刺
激に、乳首がますます固くなる。
「ふあっ、すごい…イイ、これ……。ねえつぼみー、噛むの? あたしの乳首噛んじゃうのー?」
 被虐的な声音だった。噛みつかれる痛みを想像して、秘所を熱く濡らしている。
 つぼみは答えず、左右の乳房の先をなぶる指と顔の動きを速めた。爪と前歯による執拗な
二重奏が、敏感な突起へ刺激を加えてゆく。
「う、うう…ぅぅぅっ、あはぁっ!」
 快感に犯されて、少女の背が一瞬、びくんっ、と弓反った。
 まだ子供の乳房とはいえ、汗ばんだ軟らかな肉がプリンみたいに揺れるのは、挑発的な光
景だった。
(そんなにいっぱいされたら、あたし ――― ふあああ……あああああ……)
 コリコリした左右の乳首が、硬いモノにこすられる感触が続く。……くすぐったさと痛みが微妙
に入り混じりあっているような甘美な責め苦だ。
 ぴくっ。
 小さく跳ねたえりかの右脚がひざを軽く曲げて、左側の太ももに強く密着。まるで自分の股間
を隠そうとしているかのように。
 その下では、粘つくよだれを垂らして、膣の肉がヒクヒクと喘いでいた。
(だめ、乳首だけでイッちゃうじゃん。……もおっ、つぼみめーっ!)
 左手で汗ばむ髪をかき上げる。心の中で強がってみせるのが精一杯だった。気持ちよくて抵
抗できないのがくやしい。熱く欲情したカラダが、くねっ…くねっ…と勝手に身悶えてしまう。
「あっ…あ゛ッ、はんっ、あっ…あああっ、あっ、あっ、やだぁっ、おかしくなるよぉ……」

 ちゅぱっ、と音を立て、つぼみの口が乳房から離れた。同時に胸の先っぽを掻く指も止まる。
「ふえっ…?」
 胸先の快楽に喘いでいた少女が、気の抜けた声を洩らした。すっかり力の抜けてしまったカ
ラダを、両手を着いて身を起こしたつぼみが見下ろしていた。
「さっき、あとで何でも言うことを聞くって言いましたよね」
 愛娘を見る母のような眼差しだった。けれど頬は上気して、瞳の奥の様子も少し妖しい。
 顔が近づいてきた。そして、えりかの耳もとにささやきを残して元の高さに戻った。
「えっ、……いいけどさ」
 えりかがベッドの上でもぞもぞと裸身を裏返した。つぼみが完全に上体を起こして、彼女に視
線を送る。
「…………」
 むーっ、と何とも言えない表情で、えりかがうつ伏せになったまま両ひざだけを立てた。尻の
丸みをつぼみの顔のほうへ突き出すカタチが出来上がる。
 つぼみのささやきが鼓膜によみがえる。

『……お尻の穴を見せてください』
 
(まっ、お尻の穴ぐらい、いくらでも見せてあげるけどさ)
 自分もつぼみの尻穴をしっかりと見ている。だから、これでおあいこだ。そう思いながら両手
を後ろへ回して、尻たぶを掴む。尻に注がれる視線を感じながら、肛門がよく見えるように左
右に開いてみせた。
(べ、べつに、こんなの……全然恥ずかしくないってば!)
 湧き上がりそうになる羞恥心を押さえつけて、ベッドに顔をうずめる。しかし、フッ…と息遣い
が尻の表面に触れた途端、
「…ヒッ!」
 小さな悲鳴に続いて、びくりっ…と腰が跳ねた。いつのまにか、つぼみの顔が近づいてきてい
たらしい。えりかの全身がカーッと熱くなってくる。
(あたしなんて、つぼみのお尻の穴の匂い嗅いだり、イジメたりしたんだから)
 なーんだ。見られてる程度全然平気じゃん♪
 自分がつぼみにした事を思い出して、心に余裕を作る。 ――― なのに、
「えりかのお尻の穴が、よーく見えますよ。……恥ずかしいですか?」
 ベッドに突っ伏した顔がうなずいてしまう。
「恥ずかしいんですね?」
「……」
 重ねて訊いてくるその声に、またうなずいてしまった。少女の裸身に、恥辱からくる震えが微
かに走り始めていた。
 つぼみにとって、そんな彼女の姿がたまらなく可愛らしくて、愛おしい。
(私もすっごく恥ずかしかったですからね、うふふっ)
 つぼみの視線の先で、ちっちゃな排泄の穴がキュッとシワを寄せて固くすぼまっている。ふう
っと息を吹きかけてやると、キュキュッとさらに小さくすぼまってしまう。
(ううー、やだっ、つぼみに見られちゃうなんて……死にたい)
 もう、心の中でも強がれなくなってしまったえりかが、早く終わってほしいと願い始める。
「せっかくですから綺麗にしましょうね」
 つぼみの優しい声に、ひどく焦った。
「えっ、うそ! もしかして汚れてる!?」
 えりかがショックを受けて肩越しに振り返る。
「そういう意味じゃありません」と言って、つぼみが笑う。「綺麗にするというのは……こういう意
味です」
 えりかの腰のほうへ身を乗り出して、口の中に溜めた唾液をネットリと垂らす。大きく広げら
れた尻の谷間に落ちたそれは、ゆっくりと肛門を濡らして伝い落ちていった。
「もう一度…」
 つぼみの口がまた唾液を垂らした。
 そして再び濡れた尻穴に、今度は人差し指の感触が ――― 。

 ビクンッッ!
 
 自分でも驚くくらい腰が強く跳ねた。えりかが思わず尻たぶを広げる手を離しそうになるが、
つぼみの「駄目です!」という強い口調に、ビクッとなって従ってしまう。
「綺麗にしていきますね。いいですか?」
 普段のおだやかさに戻った声がそう告げて、優しく尻の穴に唾液を塗りたくり始めた。緊張し
た括約筋が指の動きを拒もうとするが、つぼみは淡々と唾液を肛門になすりつける。
「今、どんな気持ちですか、えりか」
「……死にたい」
「うふふっ。……じゃあ、こんなことしちゃうと?」
 くにっ。
 ちょっと強めの力で肛門を押す。えりかの腰が、ビクン!と激しく上下に跳ねた。
「もうやだよぉっ、つぼみのお尻の穴見たこと謝るからぁっ!」
「結構です。私はただ、えりかのカラダを全部愛してあげたいだけですから」
「…わかった。じゃ…じゃあ、さわるだけだからねっ、それ以上のことしたら泣くから!」