Sugar vs Mustard 01


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 ラブとせつなが、両手を差し出すように伸ばす。彼女たちの瞳に等しく浮かぶのは、我が娘
への愛しさだ。
 床にぺたんと尻を着けて座る二人の母親のほうへ、ようやく一歳二ヶ月になった娘が愛くるし
い声を張り上げて、トテトテとまだおぼつかない足取りで向かってくる。
 母親たちの表情が期待に輝いた。どちらの顔も、自分の腕の中へ飛び込んできてほしいとい
う思いでいっぱいだ。
「ほら、こっち、ママのほうへおいで♪」
 ラブが、ぱんっ、ぱんっ、と軽く手の平同士を打ち鳴らし、娘の気を引こうとした。対してせつ
なは、娘のつぶらな瞳に、優しさを湛(たた)えた眼差しを静かに重ねるだけ。
 小さな天使は ――― まっすぐせつなの両腕の内側へ。すぐ隣に座るラブが「う〜〜…」とく
やしそうな目で、それを見つめる。しかし、母親の腕に抱かれて幸せそうに笑う娘の姿に、
(今日もしあわせGET♪)
 と、すぐに自らも笑顔になった。
「転ばずに来れたねー。エライエライ」
 ラブがウンウンとうなずきながら我が子を褒め称える。
 せつなに抱っこされて、さらに大好きな母のほっぺたでスリスリと頬ずりしてもらい、娘はすっ
かり上機嫌だ。ラブも早く娘を抱きたくてウズウズしているが、それを分かった上で、せつなは
娘を独占し続けた。ラブが触ろうとしても「だーめ♪」と背中を向けてガードしてしまう。
「むっ!」
 せつなのイジワルな態度に、ラブが反発。せつなのわき腹に背後から両手を這わせて、全て
の指をコチョコチョと激しく動かす。
「あ! コラッ、駄目っ、あははははっっ」
 突然のくすぐり攻撃に、せつなのは娘を抱えたまま、上半身が踊るようにクネクネと身悶えさ
せた。娘も一緒になって、まるでアトラクションを楽しむみたいにキャーキャーはしゃいでいる。
 母のやわらかな胸で揺すられていた娘が、「あ゛ーっ」と叫んで小さな手を振り上げ、せつなを
ペチッと叩く。それを後ろから覗きこんでラブが、調子に乗って我が子を煽る。
「よーっし、じゃあ、協力してせつなママをやっつけちゃおう!」
「こ、こらぁっ、二人ともやめなさーーいっ!」


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 娘の部屋には、桃園せつなが、まだ東せつなだった頃の写真が飾ってある。そこには生涯の
伴侶となった桃園ラブ、そして永遠の親友である蒼乃美希や山吹祈里の姿も一緒に映ってい
た。
 せつなは、その写真を娘に見せながら、みんなとの思い出を語って聞かせるのが好きだっ
た。まだ10年も経っていないけれど、結婚して、一人目の子供を出産して……、四つ葉町での
暮らしがずいぶん遠い過去のように思える。
「昔のせつなはねー、ガラス製みたいに綺麗だった」
 後ろから近づいてきたラブが、せつなの身体を抱きしめ、その黒髪に顔をうずめる。
「今はダイヤモンド製。ラビリンスで一番綺麗なお嫁さん」
 子供を産んでからのせつなは、無駄なく引き締まったカラダの芯に、以前よりも強い生命力
を宿しているように見えた。母性的で落ち着いた雰囲気を匂わせつつ、いざとなったら誰よりも
頼りに出来そうな安心感がある。
 ラブの腕に包まれたせつなが、写真にチラリと目をやって微笑む。
「ラブは昔も今も同じ。ラブの内側には、太陽が輝いているの。この子と私を……ううん、ラビリ
ンスの世界全部を照らしてくれている」
「はははっ、そこまで大げさじゃないよ」
 そう言って、ラブが照れる。しかし、せつなは静かに首を横に振った。
 結婚して以来、ラブは前向きな姿勢が強化されている。自身に弱音を吐くヒマも与えず、常に
明るく頑張ろうとする姿は、メビウスの完全支配から脱して、自らの足で歩み始めたラビリンス
に少なからぬ影響を与えていた。
「さて、そろそろ天岩戸(あまのいわと)に引きこもりましょうか、太陽さん?」
 ぐっすりと眠る娘の寝顔を愛でてから、二人の母はそっと部屋をあとにした。

 寝室のドアを閉めるなり、ラブが挑戦的に目配せしてきた。
「今夜もするの?」
 と、せつなが苦笑。
 ベッドの上には、二人が頭を並べて眠れるダブルサイズの枕と、もう一つ、表と裏にアニメの
キャラクターの描かれた子供用の枕。……とは言っても、これは娘が使う枕ではない。
 コメディタッチで描かれているのは『Sugar vs Mustard』 ――― 仲の悪い二人がお互いを陥
れようとして、毎回最後は両方とも痛い目を見るという、子供向けアニメの主人公たち。
 枕の表には大きな『S』の頭文字と共にシュガーが、裏には大きな『M』の頭文字と共にマスタ
ードが描かれている。
 この枕は、娘の一歳を記念して三人で里帰りした時にラブがこっそり買ったものだ。しかし、
娘のためのお土産ではない。
 ラブがベッドに近づき、枕をクルクル回転させながら真上に放り投げる。二人の視線が枕を
追って上を向き、そして、それが落ちる軌跡をなぞってベッドへ。
 ぽふっ、とベッドの上に落ちた枕はマスタードが描かれた裏、つまり『M』の面を向けていた。
「ぐぐぐ…」
 ラブが唸る。せつなが同情を顔に広げつつ、「また、ラブが『M』なの?」と言った。
 枕は、ラブとせつな、どちらが投げてもかまわない。ただ、枕がベッドに落ちた時、上を向いて
いるのがシュガーかマスタードかによって、投げた者の、その日の夜の運命が決まる。
 つまり、『S』と『M』 ――― サディストになれるか、マゾヒストに堕ちるか。

「ラブは本当にいじめられるのが好きね」
「あたし、三回投げて三回とも『M』だよ。タハァ…」
 ちなみに、この枕で『S』『M』を決めるのは今回で四回目。せつなが一度投げて『S』を出して
いるので、ラブはずっと『M』のままだ。
 せつなはラブの後ろに回り、彼女のカラダに優しく両腕を巻きつけた。耳たぶにくっつきそう
なくらい唇を寄せて、「次はきっと『S』を出せるわ、ラブ」と、愛しさのにじむ声でささやく。
「 ――― だから、今夜は『M』で我慢して。私がしっかり責任持って、ラブのカラダを可愛が
ってあげるから」
「うううっ、今すぐ逃げ出したいよぉ」
「大丈夫よ、安心して。この前みたいなハードな事はしないわよ」


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 ハードな事はしないと言ったが、もちろんウソだった。
 14歳からダンスを続けている身体は、余分な肉感がギュッと絞られて、瑞々しい色香が白い
肌に跳ねている。胸や尻の魅惑的な丸みは、溌剌(はつらつ)としたスリムなボディラインを壊
さない程度の大きさだが、ぴっちりした服装になると、その部分が妙になまめかしく強調されて
しまう。
 もっとも、それはハダカでも同様。
 奴隷にはなるべく着衣を許可しないのが、せつなの趣味だ。ラブはベッドの上で一糸まとわ
ぬ姿に剥かれ、うつ伏せに寝かせられている。左右の脚を大きく広げさせられた恥ずかしい姿
だが、正座したせつなが内側に座っているため閉じられない。
 せつなは上半身こそルームウェアを着ているが、すでに下半身は双頭ディルドを装着してお
り、何も穿(は)いていない。
 ディルドを固定するハーネスは、腰の周囲に加えて、股間の下からも回り込んで腰の後ろで
留めるタイプで、せつなは尻の谷間への食い込みがキリキリときつくなるように調整している。
 欲情の分泌液でぬめぬめになった膣で、奥までくわえ込んだディルドの異物感を愉しみなが
ら、早くラブの膣(なか)をメチャクチャに犯したいと感情を昂ぶらせた。
(でも、その前に、ちゃーんと下拵えをしないと)
 ラブの白くてきれいな背中が震えている。ダブルサイズの枕に両腕でしがみつき、顔を押しつ
けているので、その表情までは見えない。しかし、目で確認せずとも、せつなには分かる。
 ――― 許しを乞う女奴隷の、哀れで、愛おしさを誘う表情(カオ)。
「ほら、まだまだたっぷりと愛してあげるわ、ラ〜ブ♪」
 白い背中と腰をなぞって、せつなの視線が目の前の尻へ戻ってきた。
 まるで陶器のようになめらかな丸みを描く、柔らかな肉厚の尻。いつもは強くギュッと掴んだ
り、引っ叩いたりして、その尻肉の厚みを楽しんでいるのだが、今夜は別の趣向をこらしてい
る。
 尻の表面に塗られたクリームには、感覚刺激性のコロイドが約40%の割合で含まれてお
り、せつなの右手の指がつまむ、アーモンドのような形をしたパルス発信機を近づけると、コロ
イドが異常活性を起こし、皮膚や肉にはいっさい傷を付けることなく、ただ痛みだけを相手に与
える。
 具体的に言うと、尻のあちこちに電熱の火花を散らされるのにも似た痛みをラブが覚える。

 せつなの右手が鞭だとすれば、うつ伏せ状態のラブの股間に潜りこんでいる左手は飴だ。ラ
ブの悦ばし方を誰よりも知っている指が、膣の内側やクリトリスを粘着的な愛撫で蕩けさせて
いた。
 鞭だけだと心が抵抗できるのに、同時に飴を与えられる事により、痛みや屈辱すら快楽の材
料に置き換わってしまう。あとは堕としてしまうだけ。
 濡れた膣肉を内側からくすぐる指が、キュッ、と締め付けられた。
「ん…、これをおねだりしてるの? ラブ」
 優しい声で尋ねるせつなが、ラブの腰に這うような距離までパルス発信機を近づけた。途
端、感覚刺激性のコロイドが弾けるみたいに異常活性、『バチバチバチッ…!』と尻肉を痛
みで焼く。
「〜〜〜〜〜ッッッ!!」
 痛みで声も出せず、ラブが涙のこぼれる両目をきつく閉じて悶える。ブルブルブルッ…!と激
しく肉を震わせた尻は、せつなの右手が遠ざかっても、ビクッ、ビクッ、と痙攣を続けていた。
(こっちも……すごい事になってる、フフフッ)
 膣に出し入れしている中指が、まるで豪雨にさらされたかのごとく濡れていた。どうやらさっき
の痛みで、ラブの股間が盛大に潮を噴いたらしい。
「まだよ、ラブ。もっと屈辱的におとしめて……あなたを悦ばせてあげる」
 せつなの嗜虐的な口調に、ラブの尻が『ビクッ』と鞭打たれたように震えた。パルス発信機が
離れると同時に、尻を襲う痛みは跡形もなく消え失せてしまうが、それに虐(いじ)められた感
覚までは忘れない。
 ほっそりした中指に尿道口を優しく愛撫され、気持ちよくて股間が溶けそうになる。だが、強
烈な痛みに怯える腰は、ぎこちない動きでモジモジするばかり。
「どうしたの、ラブ。待ちきれないの?」
 コロイドがかろうじて反応するギリギリの距離を正確に見切った上で、パルス発信機をつまん
だ右手がゆっくりと円を描く。ラブの尻に『ジジジジジ…ッ』と弱い電気性の刺激が走り、こわが
る彼女が枕に思いっきりしがみついた。

 目の前で、白い裸身がぷるぷる…と震えている。かつてプリキュアとして、全てのパラレルワ
ールドを救った者とは思えない哀れな姿だった。それゆえに、せつなの背筋をゾクゾクと嗜虐
的な恍惚感が駆け抜ける。
「ラブ、自分の胸をさわってみて」
「えっ?」
 ラブの右手がこわごわと枕を離れ、言われたままに胸を這う。
(あっ……)
 うっすらと開かれた両目が、羞恥の色に揺れる。手の平が軽く触れただけで、甘美なくすぐっ
たさを訴えてくるのは、ツンと硬く充血した感触だった。
「いつもより硬くなってるんじゃない? ラブの乳首。……だって、こんなにひどくいじめられてる
んだもの」
 せつなの両目がサディスティックに細められた。ラブの股間に這う指が、淫らな粘液にまみれ
た小陰唇を舐めるように愛撫して、彼女の反応をうかがう。
「もう、この程度じゃ物足りないでしょ。今のラブが欲しがっているのは ――― 」
 そこで、ラブはようやく気が付いた。尻をなぶる電気的な刺激が無くなっていることに。
 パルス発信機をつまむせつなの右手は、さっきよりも高い位置にあった。
「……上にあるわよ、ラブ。気持ちよくなりたかったら、自分からお尻を上げなさい」
 軽蔑をはらんだ命令口調に続いて、せつなの冷えた声音が寝室に響いた。
「でもね、ラブ、そんな事をしたら、あなた、淫乱なメスブタよ?」
(くっ…!)
 ラブの表情が悔しそうに歪んだ。せつなが口にした「メスブタ」という言葉にプライドを踏みにじ
られた。…なのに、カラダは我慢できずにうずいている。
 たまらずラブは自分の乳房をやわらかに揉みしだいた。
 せつなの指は、ラブの秘所を知り尽くしていて、イキそうなタイミングでわざと指使いを急速に
緩め、その後、またイク寸前まで昂ぶらされる。一晩中でもラブの下半身を生殺しに出来るテ
クニックを身につけている。
 今回も何度かイキかけて、その度に「おあずけ」を食らってしまった。
 ついに、ラブの口から「あは、あはは…」という自嘲とあきらめの入り混じった笑いが洩れた。
くやしくて両目は涙を流しているのに、二つの瞳に浮かぶのは被虐的な欲情だ。
「せ…せつな、ごめんね、あたし……メスブタになる」

 まるで連行された囚人のように、ラブがよろよろとベッドの上にひざを立てようとした。彼女の
傷ついたプライドを慰めるみたいに、恥部をいらう指戯が優しくなる。
(いいのよ、ラブ。今夜はメスブタで。……本当は、本当は私だって)
 双頭ディルドを深く咥え込んだ膣が、さっきから疼きっぱなしで頭がどうにかなってしまいそう
だった。早くラブとこれで繋がりたくて仕方がなかった。
 ハァ、ハァ…と乱れそうな呼吸を抑えつけているせつなの両目も、切なそうに涙を流してい
た。
「早く、早くしなさい、この…メスブタ!」
 せつなが待ちきれず喘ぐ。
 ラブの尻は、びくっ、びくっ、と怯えつつも、感覚刺激性のコロイドがもたらす激しい折檻を求
めて持ち上がっていく。すぐにパルス発信機の射程に届いた。
『バチバチバチバチバチッ…!!』
 不可視の火花が尻の丸み全体に弾け、尻肉を強烈な痛みで蹂躙する。傷一つ付かないとは
いえ、バラ鞭で滅多打ちにされるのに等しい痛みだ。
「ぐうっ ―――― ッッ!!」
 叫び声を喉の奥に呑みこんで、ラブが背中を弓反らせた。感電したみたいに尻の肉付きをブ
ルブルと痙攣させて、続いて、しなやかな四肢をガクガクと震わせた。
『バチッ! バチバチバチバチバチッ…!!』
 10秒も持ちこたえられなかった。
(死ぬッ!)
 狂ったような痛みに尻肉を責められながら、包皮を優しく剥いてクリトリスを甘こすりしてくる
巧みな指使いを同時に食らって耐えられるはずもない。
 白い裸身が、背中に汗の粒を噴き出してベッドに突っ伏す。
「……さっきより激しく潮を噴いたわね、ラブ」
 彼女の股間から引き抜いた左手は、水に浸かったみたいに、ぐっしょりと濡れそぼっていた。
ガマンできず、その手にペロペロと舌を走らせて、ラブの尿道口から噴き出した潮を味わった。
それだけで膣がキュウッとなってしまう。

 すっかり弛緩したラブのカラダは、びくんっ、びくんっ、と余韻の痙攣で震えている。しかし、ま
だ意識はあるようだ。
 せつなはパルス発信機の電源を切り、尻全体にべったりと塗りつけられたクリームを皮膚に
すりこむように、両手でぬちゃぬちゃと尻肉をこねてゆく。
 ラブが気持ち良さそうに「ンッ…」と声を洩らした。痛覚刺激性のコロイドがもたらした痛み
は、もうどこにも残っていない。
「メスブタ、いつまで寝てるつもり?」
 興奮を昂ぶらせた、あざけりの声。でも、不思議とラブの胸にくやしさは湧かない。逆に愛しさ
を感じてしまう。
(せつな、早く挿れたいよね)
 まだ絶頂時の快感に酔いしている肢体を無理に起こして、ラブが四つん這いの姿勢を取っ
た。そして肩越しに振り返り、しあわせそうに笑ってみせた。
「おねがい……せつなの硬いモノで、このメスブタを犯して……」
「もちろんよ、ラブのココをメチャクチャにしてあげる!」
 ドロドロのスープみたいになったラブの秘所に、双頭ディルドの先がずっぷりと潜る。
(ラブッ!!)
  そこから先は、二人ともケダモノのように腰を振り乱した。やわらかくとろけた肉襞を乱暴に
責める双頭ディルドの異物感は、ラブの子宮にまで突き上がってくる。
「おねがいっ、もっと……メチャクチャにっ!」
 苦しげな声で哀願するラブに、せつなの貌(カオ)が歓喜に輝いた。
「いじめられたせいで、いつもよりカラダが飢えてるのね、ラブ!」
 美しく均整の取れた二つの女体は、よりいっそう激しくまぐわう。ラブの膣に荒々しく抽送され
る双頭ディルドが、彼女の股間で卑猥な水音を跳ねさせた。
「部屋中に響いてるじゃない、ラブのココが喘ぐ声。……ホラッ、もっとお尻突き出して! 私が
いっぱいお仕置きしてあげる!」
 トロトロになった膣口に狙いを絞って、ピッチを上げた双頭ディルドの突きがさらに激しく繰り
返される。敏感さが集中する部分を攻められるラブの表情が、たちまち淫らに弛緩した。
「あっ…あっ、あっ…あっ、あっ……」
 虚(うつ)ろな法悦の声が、断続的にせつなの耳に聞こえてきた。
(軽くイッてるわね、ラブ)
 フフッ、と意地悪く微笑するせつなが、酷薄そうに両目をほそめた。
「でも、奥にも欲しいでしょうっ!?」
 ラブの腰を両手でつかんで固定したのち、自分の腰を乱暴にぶつけた。突然、双頭ディルド
の硬さで一気に膣の奥深くまでえぐられたラブが、声も出せぬまま大きく両目を見開いた。
 ――― 同時にカラダの芯を強く震わせたのは、この乱暴な陵辱に征服されたいという、いか
にもマゾヒスト的な願望だった。

(あ゛ああーっ、すごいすごいすごいっっ!)
 ベッドがきしむほど強く背後から突かれて、ラブが心の中で悲鳴を上げた。四つん這いの姿
勢で犯される屈辱的な快感に、秘所の奥が熔けそうなぐらい熱くなって ――― 。
 目から涙を、カラダから汗の粒を跳ね散らし、ラブは泣きながら、ここにいない娘に謝った。
「ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、ママ……こんなカッコで、せつなママにお仕置きされてシア
ワセになっちゃうのーっ」
 その泣き悶える姿は、せつなの嗜虐心を激しく煽った。
「この変態メスブタ! お母さんとお父さんにも謝って! 美希やブッキーにも謝りなさい!」
 鋭い平手打ちの音がラブの尻に跳ねた。
 肉の引き締まったヒップは、いつ叩いても良い音を鳴らす。ついでにラブの口から洩れる、明
らかに悦びを含んだ悲鳴も大好きだ。一度では物足りず、二度、三度と連続して叩いてしまう。
「ひっ、ひいっ!」
「メスブタの鳴き真似が上手ね、ラブ。……じゃあ、もっと叩いてあげる」
 尻の丸みを、そろえた四本の指で叩き弾くようにスパンキングを加える。左手はラブの腰を
掴んでいるために使えないのが残念だった。
 派手な音と痛み。
 せつなの尻叩きは容赦がないから、ぶたれた部分がすぐに熱を持ち、赤みが差してくる。尻
の痛みに音(ね)を上げて、ラブが許しを乞うが、その行為は逆にせつなを昂ぶらせた。
「そう、もっと強く叩いてほしいのね!」
「違うっ、そんな事言ってな……やぁっ! 痛ッ! ああ゛ッ!?」
 スパンキングに合わせて、双頭ディルドでラブを犯す腰使いも攻撃的になってきた。尻を叩き
続ける音に交じって、パンパンッ、と腰と尻の肉がぶつかる音も、どんどん速さを増してゆく。
「あああっ、せつなぁっ、あたしもうメチャクチャだよぉぉっ」
 尻を責める痛みと、膣を貫く快楽。二つの相反する感覚が次第に一つに溶け、ラブの理性を
麻痺させてしまう。
 双頭ディルドに蹂躙される膣内は、すでに快感の坩堝(るつぼ)だ。
 ラブの汗まみれになった背中が、びくんっ、と強く跳ねる。続いて、四つん這いの姿勢を取る
白い裸体が、びくっ、びくっ、とわなないた。
(せつなっ、愛してる!!!)
 声の限り叫びたいけれど、そんな事すれば娘にも聞こえてしまう。ラブが枕にきつく噛み付い
て、絶頂の声を殺した。
 双頭ディルドを強烈に締め付けてくる収縮によって、ラブが昇りつめたことを知った。せつな
が腰の動きに緩やかなブレーキをかける。
(そうね、私も……もう限界)
 今夜ラブのカラダが味わったヨロコビを想像しただけで、娘を産んだ子宮が『ジュワッ…』と溶
けてしまいそうになる。双頭ディルドで繋がったまま目を閉じて、せつなは静かに快楽を昇りつ
めた。