『事後からの』 01


 南野奏は、月に一回以上、幼なじみである北条響の『ピアノの練習』に付き合うという名目で
彼女の家に泊まる。だが、最近ではピアノの鍵盤に触れているよりも、お互いの肌に指を這わ
せている時間のほうが長い。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 その日の夜は、あえてカーテンを閉じなかった。
 ベッドの上で愛し合っている最中に、「覗かれてるかも…」と響がいじわるくささやいてやると、
奏は恥ずかしそうに表情をゆがませ、逆に熱い汗にまみれた白い裸身は興奮して、いっそう淫
らな行為へのめり込んでいった。

「今日の奏はすごかったなぁ」
 引き締まった筋肉に、女の子特有のやわらかな肌を被せたカラダ ――― しなやかな野性味
を感じさせる細い体躯の持ち主に、ぐいっ!と奏の裸身が抱き寄せられた。腕力に任せた抱
き方が気に入らず、絶頂の熱に喘ぐ少女が、その端整な顔立ちをムッ…としかめる。けれど、
呼吸が乱れていて、まだ言葉をしゃべれない。
(何が「すごかった」よ。バカにして……)
 響よりもほっそりして、肌の白いカラダ ――― 奏は、中学三年生の女子としては平均程度
の体力がある。けれど、目の前にいる体育系ピアニストには全くかなわない。全力疾走を終え
たような有様の奏に対して、同じタイミングで絶頂し達した響はずいぶんと余裕がある。肌は熱
くなっているけれど、奏ほどには汗をかいていない。
 気が付くと、背中に回った響の手が、奏の豊かなロングヘアに優しく指を滑らせていた。梳
(す)いているのではなく、静かに指を動かして曲を弾いているのだ。耳には聞こえない、世界
でたった一人、奏だけが味わえるオリジナルの愛のメロディ。
(う〜ん、今日は響の弱いトコいっぱい攻めたはずなのになぁ)
 好スタートを切ったものの、後半からは響のペースでもてあそばれてしまった。奏が反省しな
がら、自分も響の髪に手の平をすべらせた。響みたいに曲を弾くのではなく、彼女がひそかに
自慢に思っている母親譲りの美しく長い髪を、こうやって撫でる動作で褒めてあげるのだ。きれ
いだね、サラサラで気持ちいいね……等。
 シャープさのある顔立ちや、いかにもスポーツ系女子という感じのスリムな体形を褒めてあげ
ても、「それよりカップケーキちょうだい!」みたいな反応しか返してこない響だが、こんな風に
髪を褒められると素直に嬉しがる。「嬉しい」と言葉で述べる事はないが、雰囲気で分かる。
 絶頂へと走った心臓が落ち着くまで、二人の少女が生まれたままの姿で、お互いの髪に愛お
しさをたっぷりと伝え合う。汗ばむ肌同士を密着させて、そのぬくもりとやわらかさを感じている
と、奏はいつも幸せなまどろみにさそわれてしまうが ――― 。
「ほらほら、奏、今日はもう『降参』するでしょ?」
 いじわるな声音のせいで、せっかくのムードがぶち壊しだ。
 重なり合っていたカラダを離して、響が上半身を起こし、ベッドに寝そべる奏に視線を向けつ
つ、ゆっくりと片ひざを立てた。
 響の部屋で行われるピアノの練習(注:響と奏の隠語) ――― ピアノの代わりにベッドを使
用する連弾は、奏と響、どちらかの「降参」という言葉を以(も)って終了する。ただし、その言葉
を口にしたほうは、見下ろされる姿勢で相手の股間にくちづけして、事後でべったり汚れた部
分を丁寧に舐めてきれいにしなければならない。いつからか、そういうルールが出来上がって
いた。
 ちなみに、たとえカラダが絶頂に達しても、「降参」宣言が上がらない限りは、二人のピアノの
練習は続く。かつて、かたくなに「降参」を拒み続けた奏が一晩中いじめ狂わされた例もある。

 響の余裕たっぷりな勧告に、奏は再び顔をムッ…としかめた。
 体力差がありすぎて、奏がいくら唇や舌で弱点を突き、こまやかに指を動かそうとも、最後は
反攻に転じた響の強引で激しい攻めで無理やり陥落。……もう何ヶ月も、このパターンが続い
ていた。今また連弾に挑んでも、結果は見えている。
 だからといって、響のニヤニヤしたまなざしに見下ろされながら奉仕しなければならないとい
うのも屈辱だ。
(バーバリアンみたいな響を、か弱い普通の女の子のわたしが素手で倒そうなんて無理な話な
のよ。やっぱりここは持参した文明の利器で ――― )
 卑怯なんて言わせない。
 奏がベッドに手を着いて上体を起こし、キッと睨みつけるような視線を響に送った。
「響の知らない"気合のレシピ" ――― 今からたっぷりと見せてあげるわ」


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 スイーツ部は歯が命。
 歯の健康を第一に考え、奏が購入した電動歯ブラシ。音波振動式で、スイッチを入れると内
臓リニアモーターが駆動して、ブラシ部分に毎分約2万回の微細な高速振動をもたらす。
 響の腰に全裸のまま馬乗りになった奏が「…いい?」と一声かけてから、左右の手に一本ず
つ持った電動歯ブラシのスイッチを同時に入れた。蜂の羽音を低くしたような『ヴーーッ…』とい
う振動音が部屋の静寂を破る。
 仰向けでおとなしく待つ響の表情に、好奇心と少々の不安、そして舌や指とは違う快感への
期待が混ざった。
 呼吸に合わせて、ゆっくりと上下する乳房の丸み。この部屋でピアノの練習をするようになっ
て以来、その健全に育ちつつある両胸のふくらみは、女としての色香をまとうようになった。カ
ーテンを閉めていない窓から微かな月の光が入ってくるため、夜目に慣れた今、響の胸の先っ
ぽが、すでに固くこわばっているのがハッキリと分かる。
「すぐに……してあげるね、気持ちのいいコト」
 まずは右乳房の稜線に、山切りカットのブラシを優しく触れさせる。『ヴーーッ…』と震える無
数の毛先に、やわらかな肌をこそばゆく刺激され ――― 。初めて味わう未知のくすぐったさ
に、響がビクッ!と裸身を反応させた。もう一本の電動歯ブラシを、そっと左胸のふくらみへと
這わせてみると、今度はカラダの反応だけでは済まなかったらしく、悲鳴じみた声も上げた。
「ひあっ! あっ、だめっ…これっ…くすぐったくて……」
「何言ってるの。くすぐったくて気持ちいいのは、これからなんだから」

 奏の左右の手が別々の動きで、まろやかな乳房の盛り上がりに沿って二本の電動歯ブラシ
をすべらせる。
 右胸のアンダーバストから乳房の丸みをスー…っとなぞり上げてきたブラシが、女子中学生
の乳房をなまめかしく飾る淡い桜色の乳暈(にゅううん)の手前で一瞬止まり、今度は逆にスー
…と丸みをなぞって降りてゆく。焦(じ)らしの往復は、丸みを滑る速度を気まぐれに変えなが
ら、ときおり円を描く動きも交えて、何度も繰り返された。
 反対側の左の乳房では、こちらもわざと先っぽを避けつつ、発育途中の小ぶりな乳房のあち
こちを振動中のブラシでコシコシとこすられていた。『ヴーーッ…』と音を鳴らす毛先のこそばゆ
さを、乳房に憶(おぼ)えさせるみたいに。
「ううっ…う゛っ、あっ…あっ…」
 両胸のふくらみを電動歯ブラシにもてあそばれている響が、りきんだ全身をピクピクさせて我
慢している。けれど、思った以上に長く続かなかった。
「あっ! ……だめっ」
 くすぐったさに耐え切れなくなった上半身が突然に、ビクンッ、とベッドの上で小さく跳ね悶え
た。その予想外の動きのせいで、乳房の頂上近くをなぶっていた電動歯ブラシと、ツンと可愛
らしくこわばった乳首が偶然接触。高速振動している毛先が、敏感な乳突起に『ヴヴヴ…』と擦
れてしまう。
「 ――― あ゛あ゛っ!!」
 自由なままの両腕が持ち上がり、奏のヒジに触れてくる。……が、動きを止めようとする意志
は感じられない。もしかしたら、手に力が入らないだけなのかもしれないが。
「もお、勝手に動くから……」
 奏が微笑んで、電動歯ブラシを裏返し、プラスチックのヘッド部分を乳房の先端に当てて、こ
まかく動かす。固いモノを通じて伝わってくるバイブレーションに乳首を責められている響がす
ぐに両目に涙を浮かべて「だめっ、だめっ」と訴えてくるも、奏はそれを微笑みで流す。
「今夜は徹底的に泣かせてあげるんだから♪」
 そして、ラストはベタベタに濡れそぼった部分を響の舌で ――― 。
 可愛らしくサディズムな一面を覗かせた奏が、電動歯ブラシを裏返したまま、『ヴーーッ…』と
振動中のプラスティックのヘッドで響の両胸の先端を ――― うら若い乳首を集中的にマッサ
ージ。快感に弱い乳頭を、無機質なバイブレーションでねっとりと"調教"している。
「フフっ、響の表情(カオ)が、だんだんといやらしくなっていってる」
「んっ、そんなこと…ない……」
「認めないんだ? じゃあねえ、こうすればどう?」
 弱々しい否定に対して、クルリと返した電動歯ブラシをちょんちょんっ…と振り、高速振動して
いるブラシの毛先で、喘ぐように上下している左右の乳房の先っぽを軽くノック。びくっ、びくっ、
と響の裸身が連続して痙攣。それにまたがっている奏のカラダも揺れる。
 くすっ、と奏が微笑で唇を緩ませた。バイブレーションになぶられたせいで、いっそうキュッと
こわばった乳首を、電動歯ブラシを器用に操り、すりすり…すり…と微妙な力加減で磨く。
「んっっ…あ゛あ゛っっ……ああああああっ、やだっ、クッ…やだっ、奏…だめぇっ……!」
 ベッドの上で響の背中がビクッと跳ね、小さな弧を描くように弓反った。日々のスポーツと筋ト
レで綺麗に引き締められた若々しい裸身が、奏を責めていた時以上に淫らな汗をまとってい
く。
 動かす手を休めず、ブラシを横向きに倒し、こわばった乳首と軟らかな乳輪の境い目をこす
って刺激。毎分約2万回の微細な振動に乳突起を優しく磨かれた響が、ゾクッ ――― と背筋
に妖しい感覚を這わせて悶える。
(なんか……これ……無理やり気持ち良くさせられてるみたいでヤだ)
 拒絶の思いを込めて、再び奏の両腕をつかんだ。ぐっとチカラをいれてみたつもりで……、し
かし、まるでヒジから指先まで痺れてしまったみたいに、全然チカラが入っていない。彼女の腕
をカタチだけ握っているのがやっと ――― という状態だった。
「え……なんで……?」
 ――― 抵抗できない。
 横向きに倒されていたブラシが立てられ、かろうじて毛先が当たるような距離で乳頭にてっぺ
んをこまかくこすり磨く。『ヴーーッ…』と高速で振動する無数の毛先の感触に、両胸の先をゾ
ワゾワと刺激されて、たまらずあられもない声を上げて裸体を悶えさせる響。
「ああッ! や…だぁっ、もおだめ……あああああ…おねがいだから、ホントにっ……」
「嫌。絶対に許さない♪」
 右側のふくらみを攻めている電動歯ブラシが再び裏返され、ジンジンと感度の高まった乳首
を、プラスティックのヘッドの先でこね回してきた。温かさのない、無機質な硬い感触にそんなコ
トをされると、犯されているみたいな嫌悪感がつのってくる。 ――― なのに。
「あああっ……ああッ、あぁっ…ん……んんっ、ああああ……だめっ、あっ、アアアッ!」
 響の声に交じって、『ヴヴヴ…ヴヴ…』という振動音が部屋の空気を揺らす。
 とても敏感な部分をバイブレーションに嬲られて、強制的に感じさせられている内に、心を置
き去りにして、カラダだけがどんどん淫らな気分に染め上げられてしまう。
 切れ長な目の端に溜まる涙が、響が悶えて頭を振るたびに枕へと落ちていった。心にとって
は屈辱の、カラダにとっては正直な悦びの涙。

「次は…こんな事しちゃおっか」
 そう言って奏が二本の電動歯ブラシを右の乳房だけに集中させる。「ううっ」と両目を閉じて耐
える彼女をカワイイと思いつつ、快楽に喘ぐ乳首を『ヴーーっ…』と高速微振動する二つのブラ
シで左右から優しく挟みこむ。手首から指先まで極上の繊細さを通わせたパティシエの手が、
ほっそりした指で電動歯ブラシをこまやかに動かし、振動する無数の毛先で、なめらかな乳突
起をスリスリスリスリ…と磨き洗う。
「ううーーっ、あっ…んっ、…ンッ……ン゛ッ、あっ! あ゛あ゛っ…あ゛っっ!」
 こらえきれない。
 切なげに喘ぐ声も。ベッドの上で小さく背を跳ねさせて悶えるカラダも。
 ほそく、力強く引き締まった若々しい女子中学生の肢体が、淫靡な責めの奴隷に成り果てて
いた。スポーツで鍛えた両腕は無抵抗の証として、ヒジを曲げ、両ワキを開いた格好でベッドに
投げ出され、日々のランニングを欠かさない両脚は、肉付きの良い健康的な太ももを悩ましげ
に悶えさせつつ、両つま先の指をギュッと丸めてくすぐったさに耐えている。
(響の肌がほてって、汗かいてる。……こっちも蒸れてきちゃった)
 響のカラダにまたがる姿勢で、大胆に開かれた白い両太ももの内側。そして、彼女の肌に直
接押し付けている処女の部分。興奮した響の体温の熱さで、じっとりと湿る。
 秘所が、またウズウズと感じ始めていた。
 響の溌剌(はつらつ)とした肉体が見せる恥態 ――― 小ぶりだが瑞々しい乳房を弾むよう
に揺れさせる姿に、膣の奥のほうまでが快感の痺れに爛(ただ)れてしまう。
「響ぃ……」
 ぽーっ、と上気させた表情で、切なげに彼女の名前を口にする。
 もっと響の気持ちよくなっている反応を見たい。キュッと固くこわばった乳首を、両側から電動
歯ブラシで ――― 『ヴヴヴ…、ヴーーっ…』と振動音を響かす毛先部分で挟み込んだまま、根
元からてっぺんへ向かって、スッ ―― スッ ―― と跳ねるように小さく掃いた。
「ン゛ッッ! やっ ――― あ゛っっ!」
 ぞわっと鳥肌が立つほどのこそばゆさに、響が汗ばむ裸身を激しく喘がせた。
 見下ろす姿勢で、意地の悪そうな微笑をうっとりと浮かべてみせる奏。

「フフッ、胸ばっかりじゃ飽きてきた?」
 電動歯ブラシのスイッチをいったん切り、別の面白そうな場所を探す。
「こことか?」
 カタチの綺麗なヘソのくぼみに、二つのヘッドの先端をあてがい、スイッチを入れる。ブラシ部
分を高速振動させながら、左右へゆっくりと。へソのくぼみを押し広げていくみたいに……。
「…………ッッ!」
 喘ぐ声も出せずに、響が裸体を仰(の)け反らせた。今までとは違う、純粋な類のくすぐったさ
だった。それだけにこらえようがない。
 二本の電動歯ブラシがお互いを追いかけるように、ヘソのくぼみの縁(ふち)をくるくるとなぞ
って回り……。
「…くっ、……あふっ、あっ、あっ…やだっ、やめてっ……!」
「おヘソをコショコショされるのは嫌? じゃあ、これをやめて…響のおなかを ――― 」
「ひっっ! やっ…もっとダメっっ!」
 お腹の柔らかな肌の下で、鍛えられた腹筋が『びくっ! びくっ!』と強く痙攣する反応が、電
動歯ブラシの柄を持つ奏の指に伝わってきた。響の腹部が、くすぐったさに悲鳴を上げてい
る。
「こら、響っ、そんなに派手にカラダを揺すったら……」
 馬乗りのまま、奏が苦笑する。腰を乗せている響のカラダが暴れるせいで、手もとが狂ってし
まう。それでも、毛先を高速振動させるブラシを、滑るようになめらかな手つきで、こそばゆさに
弱いお腹やわき腹へと這い回らせる。
 奏の腰の下で、何度も背筋を跳ねさせて悶えている響が、頭を激しく左右に振った。
「あはっ…や、だめっ、やめてっ、奏……くふっ、あ、やだっ、それ…やめてぇっ」
「んん〜〜、『やめて』じゃなくて、『許してください』だよね、ひ・び・き♪」
「お…おねがい、ゆる…して……ああっ、くださいっ!」
 涙を浮かべた双眸に<屈服の色>をたたえて、響が見上げてくる。その視線に自分の眼差
しを絡めて、舐めまわすように彼女の瞳を見つめてから ――― 二本の電動歯ブラシのスイッ
チを切る。

「響のカラダはね、すごく綺麗で……大好き」
 いじめると ――― 柔らかな肌の下にしなやかな筋肉を隠した肢体が、淫らな興奮に喘い
で。それを眺めるのが、たまらなく好きだった。
 響のカラダの隣に手を着いて上半身を倒し、右側の乳房の頂(いただき)に唇を寄せた。無
機質な責め具に嬲りものにされた乳首をゆっくりとしゃぶる。
「うっ…ンッ、はぁっ、あっ」
 電動歯ブラシで責められている時とは違う反応を、響はみせた。
 あたたかさとやわらかさ。吸うチカラ加減を不規則に変えながら、さらに、ねっとりと熱く濡れ
た舌で、まだ母乳の出ない乳頭をおいしそうに舐め上げてくる。響が両太ももをキュッと閉じ
た。処女の膣が悦びに熱くなって、妖しい痺れをもたらしたのだ。
 愛しさを ――― 感じる。少しイジワルだけど。
「んっ、奏に直接イジメてもらうほうがいいなぁ」
「えー、電動歯ブラシ……高かったのに」
 響の右手が持ち上がり、奏の髪に指を這わせてきた。「う…んっ」と奏が気持ちよさそうに目
を閉じて微笑む。響の右手が離れると、今度は左の乳房の先端にくちづけ。尖った乳首に当て
た前歯を往復させて転がしつつ、舌先も使ってもてあそぶ。
「はあっ、あっ、奏っ…あっ、あっ、こっちのほうが……いいよぉっ」
 甘い微電流を乳房の先っぽに流されて、乳首を強制的にうずかされているような気分。それ
が嫌いじゃないのは、秘所の媚肉の濡れ具合がさっきよりもトロトロになってきている事から本
当だと知れる。
「二人だけで秘密の結婚式挙げたいね」
 乳房の先から口を離した奏が、どこか夢見るようにそう言って、「ふふっ…」と微笑みを表情
に転がした。ウェディングドレスよりも、直接肌が触れ合える裸がいい。
「……ごめんね、響。こんなに響を一方的にいじめられたのって初めてだから、コレ、もう少し
だけ使わせてね」
 奏の指が電動歯ブラシのスイッチを舐めるようにON。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 両腕をバンザイのカタチにして、先程と変わらぬ仰向けの姿勢で響は泣き悶えさせられてい
た。両手は固く、全ての指を丸めるように強く握られて、『ヴーーっ…ヴヴヴ…』と責めてくるブ
ラシの高速振動に耐えていた。
 両ワキのすべすべしたくぼみを舐めまわしてくる、高速振動中の無数の毛先。頭がおかしくな
りそうなくらいにこそばゆくてたまらない。
「ほらほらぁっ、ねえっ、響、こらえてないで、もっと声聞かせてっ。わたしに屈服して、もっと泣
いてみせて!」
「やだぁっ、奏……なんだか性格変わってるぅぅっ!」