“ It's Magical Show Time ! ” 08


(んっ、みらいったら ――― ここがもう我慢できなくて限界なのね)
 滑るような手つきで、みらいの秘所に触れて優しく愛撫。粘蜜にたっぷりとまみれた、熱くて
軟らかな媚肉に軽めのタッチを繰り返す指先。みらいが敏感な反応を返すと、そこを少しきつ
めに擦り上げてみたりもした。
 びくっ ――― 、
 キスでふさがれた口から濡れた喘ぎを洩らして、少女の綺麗な背中がわずかに弓反る。
 快感に溺れきっているのだろう。
 リコの指使いに応えるかのように、みらいが従順に腰を揺すった。カラダの気持ちよさと、心
で感じる愛おしさ。この両方が13歳の少女を『快楽の奴隷』へと堕としてしまっていた。
 くちゅくちゅくちゅ…と、軟らかな恥裂を浅く割った指先が、濡れそぼった粘膜をいじわるくまさ
ぐってくる。甘い快感の痺れ。もっと奥の深い部分が、切なげにうずいて ――― 。
 ――― リコとこのまま一つになりたい。
 衝動が突き上げてくる。
 一緒に。……リコと、どこまでも深く。

 キスを解いた二つのくちびるを、つー…と唾液の糸が繋ぐ。それが自身の重みに耐えられず
落ちたあとも、二人の視線は繋がっていた。
 二人の気持ちも……。

「みらいの一番熱くて軟らかい場所……、わたし欲しい。そこを、わたしの一番熱くて軟らかい
場所で受けとめたいの」
 みらいは、どこ…?とは聞き返さなかった。ただ恥じらい気味に視線を落とす。
 知識は無くとも、感覚で分かってしまう。
 リコの言葉が指し示すのは、カラダの奥にある、赤ちゃんを授かるための場所。その部分で
愛し合いたいと、彼女は言っているのだ。
 みらいはプロポーズを受け入れた気分で、こくっ…、と可愛らしく頷く。
 魔法除去薬に浸された金ダライのプールに座って、向かい合う二人の少女が、互いに手を
優しく握る。そして、くちびる同士を、一瞬、そっと重ねるだけのキス。
「…でも、どうするの? 魔法でパパッとお腹から取り出すとか?」
「死んじゃうわよっ!」
 と、リコがあわてる。
 思案しつつ、魔法除去薬のヌメリで滑らないよう注意して、二人がひざ立ちになる。相手の腰
の後ろに手を回して、きゅっ、と抱き寄せてはみるものの、感触は微妙。下腹と下腹をくっつけ
合っても、求めていた充足感が来ない。
「ハダカで抱き合うのは気持ちいいけど……、わたしが欲しいのとはちょっと違う」
「そうだね。リコ……」
 リコに続き、みらいも困惑。キスをしてみたり、幼い乳房の先っぽを交互にまさぐり合ってみ
たりと、下腹同士を重ねたまま色々とやってみるが、二人が欲しがっている快感には届かな
い。
 もっと強めにくっつけてみよう。 ――― そう思ったみらいが、リコの腰を抱きなおして、ひざ
立ちの脚を動かして数センチほど距離を詰める。
 …ぬるぅっ。
 注意していても、やはり右ひざが金ダライの上で滑ってしまった。リコの両太ももの間へ、み
らいの健康的な右太ももが吸い込まれるように……。
「ひゃっ」
「あ、リコ、ごめんっ」
 敏感になっている股間を、みらいの太もも ――― 瑞々しい肉付きの柔らかさで擦られ、リコ
の腰が激しくわなないた。みらいが太ももを引き抜こうとするも、タイミング悪くリコが身悶えし
たせいで、さらにひざが滑って、結果、より深くリコの両太ももの間へ差し込んでしまう。
「あ…、みらい、そんなに奥まで…、だめよ……」
「リコ、動いたら……バランスが、あっ、こけちゃうっ」
 ひざ立ちで抱き合ったまま、前後左右に落ち着きなくヨタヨタと……。まるで少女二人が全裸
で相撲を取って遊んでいるかのようだ。

「みらい、なんとなくだけど、このやり方ってダメっぽい」
「わたしも、そういう気がしてきた」
「ねえ、いったん座ってみてくれる?」
 リコの言葉に従って、みらいが金ダライのプールに、ペタっ…と尻を着けて座り込んだ。リコも
一緒だった。みらいの手がリコの腰から彼女の手のほうへ移る。
 ヌメヌメと魔法除去薬でなまめかしくてらつく足が、みらいの股間へと滑ってきた。
「みらい、軽くお尻を上げて。そう…、そのまま……」
 優等生の右足が、みらいの尻の下へヌルリと滑り込む。リコが腰を揺すって、それをより深い
ものにした。そして、裸身を右横に向けながら上半身を倒し、もう一方の左脚はみらいの右の
太ももをまたがせる。
 下がヌルヌル滑るせいで、みらいの手を離したリコが、両手で金ダライの縁を掴んだ。
「なるほど…、リコ、ちょっと待ってね」
 ピンと来たみらいが、もう一度尻を持ち上げ、両太ももの間を広げた正座の姿勢で、リコの
右太ももに座りなおす。そして、軽くひねった腰を、ぐいっ、と深く突き出すように……。
「んっ、この足は、こうしたほうがいいかも……」
 両手でリコの左太ももを掴んで、強引に持ち上げる。
 むりやり脚を広げさせられたリコが、「ひっ」と短い羞恥の悲鳴を洩らした。それはみらいの興
奮を誘った。
「ん〜〜? リコはもう待ちきれないのかなぁ?」
 みらいが、右肩に乗せたリコのほそやかな左脚を、右腕一本で強く抱きかかえる。背筋がゾ
クゾクする。なんだか、ものすごくリコを辱めている気分。
 魔法除去薬でぬかるんだリコの右太ももの上で、さらに腰を前に突き出すようにスライドさ
せ、いやらしい蜜にまみれた処女肉を愛しげにくっつけ合わせる。

 ――― ニュルっ…。

「あああぁ……」
「どう、分かる? リコ」
 くちびるで交わすキスよりも、淫らな悦びに満ちた肉のくちづけ。
『リコを愛したい』『みらいを愛したい』という二つの想いがドロドロに溶け合って、少女たちの腰
の奥で、思春期の子宮を甘ったるくうずかせる。
「これが欲しかったんだよね、リコもわたしも」
 みらいが軽く腰を揺すると、愛液で濡れそぼった媚肉同士が打ち合って、「ぴちゅっ…」と粘っ
こい水音を奏でた。二人の腰で官能的な痺れが共鳴。無垢な子宮を情欲で昂らせた。
「ねえ、リコ、わたしの一番熱くて軟らかい場所が、リコの一番熱くて軟らかい場所をいじめた
いって言ってるよ」
「えっ…」
 リコの両手の指が怯えるみたいに、金ダライの縁をギュッと掴む。この体勢だと、主導権は
完全にみらいのもの。彼女に為されるがままだ。
 くにゅっ、と軟らかに蕩けた秘貝の肉が密着。みらいが微かに腰を引き、再び突く。愛蜜にま
みれた性器が快感に酔う。リコの性器 ――― 濡れた肉の熱い感触に、抑えようのない悦び
が全身を満たす。
「リコ、いじめてほしいの? もし、いじめてほしくなかったら、やめるけど?」
「あっ、やめちゃダメっ!」
「じゃあ、いじめてほしい?」
「…………」
 ぐっ、とくちびるを噛んだリコが、心臓を弾け飛びそうなほどバクバクとさせつつ口を開いた。
「わかったわ。……み、みらいの好きなだけ、わたしの大事な部分をいじめ抜いて……くださ
い」
 震える声で、お願いした。
 ――― そんなコトされたら、どうなっちゃうんだろう、わたし。
 どうしようもない不安を感じているのに、13歳の少女の恥部は、さらに愛液を滴らせた。

 みらいの腰の裏を、つつっ、と熱い汗が流れた。
 その腰が、小刻みに揺すられる。なまめかしく、しなやかな動き。
 少女たちの性器が、「ちゅっ…ちゅっ…ちゅっ…ちゅっ…」と小さな水音を跳ねさせながら、速
いペースで愛のキスを交わす。濡れそぼった処女肉同士を愛撫させあう快感。大切な部分で、
愛する相手と一つに繋がっているという充足感。
 ――― リコに、わたしの赤ちゃん、産んでもらいたいな。
 思った途端、みらいの腰の奥が『ゾクッ!』と官能的に震えた。
 リコの左脚を強く抱えなおして、腰を揺するペースをもっと速める。
 そんな事をされると、リコはたまらない。
「やっ…、あっ、みらいっ、速すぎ……あっ、やだっ、あっ! あ゛っ! ダメよっ、あっ…」
「ふーん、リコってば、この程度でもう無理なんだ…」
「ぜっ、全然無理じゃないし!」
 みらいの言い方にカチンときて、つい強気で答えてしまったものの十秒と持たない。
 敏感さがむき出しになった軟らかな恥肉を、淫らな粘蜜にまみれた秘貝の肉がヌルヌルと舐
めまわすように愛撫してくる。こらえようと踏ん張ってみても、すぐに腰の奥が快感の熱で溶か
されてしまう。それが、さっきからもう何度も続いているのだ。
「や…やっぱり無理っ、みらい、だめっ、あっ、もっとゆっくり……っ」
 音(ね)を上げるリコに、みらいが嗜虐的な気分を覗かせた。
「ふふっ、だーめ。リコの大切な部分がおかしくなっちゃうまでいじめるって決めたもん」
 ――― ほらほら、こんな風にされるとリコはたまらないんだよね。
 ――― 赤ちゃんを産む場所が泣きながら降参しても、いじめ続けてあげちゃうっ。

 処女の性器を下品にむさぼり合わせてくる腰の動きに、リコが『ぞくぞくぅッッ…!』と痺れる
背を弓反らせた。
(ううっ! 死んじゃうっっ)
 金ダライの縁を指が白くなるほど強く掴みながら、すすり泣く声で哀願。
「お…お願い、せめてゆっくり……あっ、だめっ、腰っ……変なのっ、ひっ! あっ、あっ、
 ゆ…ゆる…許し……、みらい、許して…、ふぁ、あっ ――― あひぃぃっっ!」

 感じやすくなりすぎた秘所を、熱い淫汁でグチョグチョになるまで責め嬲られて、13歳の少女
が耐え切れるはずもなく……。
 リコの腰が前触れもなく、激しくビクビクビクっっ…と痙攣。同時に『ビューッ!』と処女の秘貝
が熱い潮を撒き散らした。

「はぁっ、あぁぁ……、また、お漏らし……」
 腰の奥がびくびくと震えているのが自分で分かる。小さな膣が、快楽の痺れに酔いしれたま
ま収縮している。
 絶頂に達したばかりの処女の性器。 ――― それをヌルヌルと愛撫してくる濡れた軟肉の感
触に、リコが弱々しく首を横に振った。
「だめっ、みらい……、今、ちょっと待って……」
「さっきと違って、ほら、ゆっくり動いてるよ」
「ちがうの、今…、あっ、腰……痺れて変に……」
 みらいに伝わるよう、首を何度も横に振った。しかし、もうすでに声には恍惚の色が現れてい
た。
 激しく責められたあとで、母猫が子猫を舐めてあげるような優しい愛撫は効く。
 まだ子供っぽい体付きのみらいが、腰の微妙なくびれに汗の粒を流しながら、なまめかしい
前後運動を繰り返してくる。淫らな蜜まみれの二つの性器を、緩やかに擦りあわせる行為。

 ――― 大好きなみらいに愛されてる。

 リコの子宮は、幸せな快楽によって口説き落とされていた。膣襞を『ゾゾゾッ…』と這いずる気
持ちのいい痺れ。それに応えて、処女の秘貝がねっとりと蜜を分泌する。
「みらいっ……」
 秘貝の奥の粘膜が、甘く溶けていきそう…。
 金ダライの縁を両手で掴んでいたリコが、左手だけ離して、みらいのほうへ伸ばす。
 みらいの左手が、すぐにその手を掴んできた。離さない……とでも言うように、強く握ってく
る。
 頭の中が彼女への愛しさでいっぱいで、さらに処女の秘所は淫らな悦びでドロドロだ。そんな
状態だからか、みらいを愛しいと想う気持ちが、両目から涙になってあふれてきた。
「わたし、このカラダで、みらいの赤ちゃん産むからっ。あっ…、ん…あっ、今、気持ちよくしても
らってる場所で、ちゃんとみらいの赤ちゃんを育てて……産むからっ」
「ああっ、リコっ、リコっっ!」
 少女たちが性器に愛液をあふれさせて、敏感な肉を卑猥にヌチュヌチュと擦りあわせる。幸
福で満たされた膣の内側が断続的に収縮。時折、ビクッ!と大きな痙攣が交じる。
 ――― たまらない。本当に腰が溶けてしまいそうだ。
「あ゛ああっ、みらいっ、腰が……ああぁぁっ、わたし、あっ、だめっ、ああっ…あ゛あ゛ぁッッ!」
「リコっ、わたしも、あああぁぁっ、すごいのっ、腰の奥にすごいの来てるッッ!」
「みらいっ……みらいっっ!」
 甘い法悦の表情で、リコがほそい柔腰をしならせた。腰の奥で、蕩けてしまった膣襞が、何か
に吸いつくように強く収縮している。下半身に淫らな電流を流されたみたいに、こまやかな痙攣
が続いた。
 みらいもまた、初めて経験する絶頂の感覚に支配されていた。
 強烈な恍惚感に貫かれたばかりの膣粘膜で、びくっ…びくんっ…と幸せな悦びが跳ね回って
いる。その余波で、足腰が甘美に酔いしれ、チカラが完全に抜けてしまっていた。しばらくは立
ち上がれそうにない……。
(あっ…)
 快楽で引くつく性器が、愛液とは違う液体をだらしなく漏らし始めた。湯気が立ちそうな熱さ
の、透明な液体。恥ずかしさで、少女の裸身がブルブルと震える。
(駄目っ、わたし、リコの足の上で……しちゃった)
 リコの左手を、ギュッ、と握りしめる。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 すっかり魔法除去薬にまみれてしまった裸身を洗浄しおわった頃には、カラダのほてりも収
まっていた。
 二人とも魔法学校の制服を身に纏い、どちらからともなく隣の相手に目を向け……。
 ――― 同時に両手で顔を押さえて、その場にうずくまった。
(み、みらいの顔が見れない〜〜〜〜〜〜〜っっ)
(はははは恥ずかしすぎるよ〜〜〜〜〜〜〜っっ)
 胸を突き破りそうなぐらいの勢いで、心臓が激しく脈打っている。

 肌を上気させて、淫らな悦びに溺れる自分の姿。 ――― 恥ずかしい声や反応の数々は勿
論の事、一糸纏わぬ相手のカラダに快楽を求めて、あさましく欲情を昂らせた時の表情まで
も、今、目の前にいる好きな子に見られてしまっているのだ。
 興奮から醒(さ)めた思春期の少女たちにとって、この羞恥は極刑にも等しい。感情的に耐え
られない。

(みらいのこと、本当に大好きになれたのに……、でも……)
(わたし、リコが好きで好きでたまらなくなってるのに……、でも……)
 顔を両手で覆って、向かい合いながらしゃがんでいたリコとみらいが、おそるおそる指を開い
て、その隙間から相手の顔を見る。
 二人が恥じらいの悲鳴を上げて顔を伏せるまでの時間、わずか一秒。
「ひゃあああああ〜〜〜〜〜っっ」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃぃ〜〜〜〜〜っっ」
 両手がヤケドしそうなほど顔が熱い。

 ――― このままではいけない。
 スー…ハー…と、深呼吸でなんとか気持ちを落ち着かせて、リコが冷静さを取り戻そうと努め
る。
(好きな人を愛するのは、とても自然なことよ。……うん、普通。……全然変じゃないし。
 だ、だから堂々とみらいの顔を……、わたしの将来の、お、お、お嫁さんの顔を……)

 みらいがわたしのお嫁さん♪
 駄目だ。幸せすぎて、両手の下で顔がニヤけてしまう。
 けれど……、
(やっぱり一緒にあんなコトしたあとじゃ、恥ずかしすぎてみらいの顔見れない〜〜っっ)
 彼女を意識しただけで、肺を塞いでしまうほどに恥ずかしさがこみ上げてくる。うまく息が出来
ない。

「リコ…」
 みらいの微かに震えた声。
 耳にした途端、リコが「ひゃいぃっ!」と思いっきり上擦った声で返事を返した。
「あのね、リコ、わたし、リコのこと……好き」
「…ハイ」
 銃口をこめかみに突きつけられたみたいな緊張感。
 顔を両手で押さえたまま、リコは次の言葉を待った。
「でね、わたし、リコのこと考えたら…、また、おまたの辺りがムズムズして……」
「ひゃあああああ〜〜〜〜〜っっ」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃぃ〜〜〜〜〜っっ」
 なおも両手で顔を押さえたまま、後ろに転んで両足をバタバタさせるリコと、両手の下にある
真っ赤な顔を、さらにうつむけて謝るみらい。
 両足の裏で交互に床を叩きながら、リコが言う。
「もう服着ちゃってるしっ、今さらそういうコト言わないでよっ」
「……ごめん」
 と、溜め息をこぼして、みらいが謝る。
「だいたい、お互いに両手で顔隠したまんまじゃ、キスだって出来ないよね」
「だから、そういうコト言わないでよ……」
 二人の会話が静かに途切れる。
 ………………………………。
 ……………………。
 ………………。

 しばらくして、リコが顔を隠していた両手を下ろした。
 そっと立ち上がり、後ろを向いて、みらいに話しかけた。
「わたし、魔法を使うわ」
 しゃがみ込んでいるみらいも、顔を覆っていた両手を下ろす。
 リコは振り向かずに言葉を続けた。
「だって、わたし、ちゃんとみらいを見て、たくさんおしゃべりしたいし、楽しい時は一緒にいっぱ
い笑いたいもの。これからも、ずっと一緒に……、そう、わたしとあなたはずっと一緒よ!」
 背中に、やわらかく触れてくる感触。
 ――― みらいが、背中を預けてきたのだ。
「そうだね、リコ。……わたしも、リコとはずっと一緒じゃなきゃヤだ」
 背中合わせで、リコとみらいが魔法の杖を手にする。

「「 キュアップ・ラパパ! 恥ずかしい記憶よ! どこかへ飛んでいきなさい!! 」」

 きれいにハモった二人の魔法。
 それに応えて、彼女たちの頭から、きらめく靄(もや)のようなものがスーッと抜け出してくる。
 二人の愛しくて官能的な記憶は、リコとみらいの周囲で滑るように螺旋を描いたあと、仲睦ま
じく連れ添った状態で保管庫の分厚い天井を透過して、外へと飛び出していった。

「……あれ?」
 リコが首を傾げる。
「わたしたち、ここで何を……、ああ、ソックリリーの魔法に失敗して、それでみらいを元に戻す
ために」
 ふむふむと自分の説明に納得する。
 彼女の後ろでは、みらいも自分が手にした魔法の杖に視線を落として、首を傾げていた。
「うーん…、わたし、今、何の魔法使ったんだっけ?」
 五秒ほど考え込んで、「ま、いっか」と思い出すのを放棄。
「それにしても、なんだか変な夢を見た気がする」
 そのみらいの言葉に、リコが反応。なぜだか分からないが、カチン、とくる。
「変な夢って言い方はないでしょっ」
 と言いながら、みらいの正面に回りこんで、ピッと右手の人差し指を立てた。
「確かになんだかおかしな……じゃなくて、う〜〜ん、その、うまい言い方が分からない夢を見
た気もするけれど……」
「あ、リコも見たんだ」
「とにかく、変な夢って言うのはやめて。もっと…その、素敵な……」
 ――― あなたとわたしにとって、とても幸せな…………。
 微かに何かを思い出せそうな気がしたけれど、突然みらいが大きな声を上げたせいで散り去
ってしまう。
「あーっ! そうだ、リコっ。モフルンとはーちゃん待たせっぱなしだよ!」
「あっ」
 みらいの言う通りだ。すっかり忘れていた。
「そうね、用は済んだんだし、早く帰りましょ」
 リコが「キュアップ・ラパパ!」と魔法で保管庫の観音扉を開く。そして、みらいの左手を強く握
って歩き出す。
「リコ?」
「ふふっ、みらい」
 理由もなく、ただ幸せな気分になってリコが微笑んだ。みらいもまた、その微笑みにつられて
幸せな気持ちになる。リコの右手を、愛しさを込めて、強く握り返す。
 記憶は消えた。けれど、二人の中で強く結ばれあった繋がりは、しっかりと残っている。


 そして、少女たちは一緒に扉の外へ ―――――― 。


(おわり)