逢 瀬 03


「ラブ、わたし死んじゃうわ……死んじゃう……」 
 一瞬だけ、その唇をふさいだ軽いキス。 
 ラブのカラダが、せつなの胸もとに潜りこんでくる。「あっ…」とせつなが熱く喘いで、身を震わ
せた。左側の乳房の先に、そぉっ…と添えられるやわらかな唇。それでも、洗濯バサミにいた
ぶられ続けた胸先は激しい痛みを訴える。 
「ぐっ…痛いっ、ううっ!」 
 せつなが白い喉を仰け反らせてうめく。敏感な部分を貫く痛みはスパイスとなって、せつなを
いっそう淫らに昂ぶらせた。
「そのまま……きつく吸ってっ!」 
 乳首を口に含んだままラブがうなずき、両頬をすぼめて『ぢゅぢゅるっ、ぢゅぢゅううぅッッ』と
盛大に吸引音を鳴らして、せつなのリクエストに答えた。 
「はぁああああぁぁぁあああぁーーーっっ!!」 

 ビクビクビクッッッ!! 

 せつなの裸身を、断末魔の悲鳴のように大きな痙攣が駆け抜けた。もはや汗だくの上半身
は突き飛ばされたみたいにベッドに倒れ、スプリングの反動で柔らかく弾んだ。 
「…すっぽ抜けちゃった」 
 熱い汗でぐっしょりで濡れた彼女の白い肢体を見下ろしつつ、ラブが自分の唇を指でなぞり、
クスクスと笑った。 
「せつなのカラダは、もう許してくださいって言ってるよ?」 
 ハァッ、ハァッ、と荒い息をつくので精一杯なせつなの裸体に、ゆっくりと覆いかぶさっていく。
「でも、あたしは許してあげないんだけどね」 
 ラブの言葉に、せつなが、びくりっ、と身をすくませた。 
「せつな、『許して』って言ってみて?」 
「わたしのおっぱい……これ以上されたら壊れちゃう。もう許して……」
 興奮の涙で瞳を潤ませて、ラブのいじわるな言葉を期待する。
 ラブがつややかな唇を歪ませて、
「駄目。絶対許さない」 
 そう言った瞬間、せつなが得(え)も言われぬ法悦の表情で、全身をブルブルと震わせた。
(ああああ……ラブ、大好きっ) 
 ラブの細指が、ヘソのくぼみをなぞって、さらにその下へと滑ってゆく。待ちきれず、せつなが
腰をなまめかしく動かした。
 指先で濡れた陰毛の感触をまさぐり、汗とは違う分泌物でぐっしょりと湿った部分へ。
「ああ…あああっ…」 
 せつなが幸せそうに声を震わせた。
 乙女の蜜でぐっしょり潤んだ秘唇を、ラブの指先がいやらしく這う。せつなの反応を感じて、焦
らすように指を離す。その代わり、耳朶に熱いささやきを吹きかけた。 
「ねえ、せつなのカラダの中で、ココだけは『許さないで』って言ってるよ。もっとイジメテ欲しいっ
て、おねだりしてるみたい」 
 ラブの指が離れた秘所が、切なくうずいてガマンできなくなる。

 二人の顔が、真正面からの視線を繋ぐ。瞳同士がどこまでも惹きつけ合う。 
 離れたくない。離したくない。 
 せつなとラブを ―― 二人の胸を、灼(や)けた鉄のように真っ赤な熱さが貫く。
「いいわ。わたし、壊れてもいい」 
 せつなの言葉に、ラブが黙ってうなずく。 
 愛情があまりにも強すぎて、理性の抑制が効かない。……が、その二人の世界にノイズが交
じった。ラブの意識が唐突にせつなから逸(そ)れる。
「……雨?」 
 今になってようやく気付いた。叩きつけるような、という形容がふさわしい豪雨の音は随分と
前から響いていたのに。桃園家を含む街全体が雨で煙っている状態だった。
 気だるそうな動きでベッドから降りたラブが、バルコニーへ続く掃き出し窓を開いて、部屋に
雨の音を招き入れた。 
「うわぁ、すっごい音……」 
「そうね。この音のおかげで、お母さんたちにバレなかったんでしょうね」
 音も無くラブの背後に寄り添ったせつなが、後ろからその全裸の白いカラダを抱きしめた。少
女の細い肩に這わせた唇を、スッと横に滑らせると、くすぐったそうに身じろぎを返してくる。
 ラブの背中に、プラスチックの無機質な硬さが当たっていた。せつなの右乳房の先には、ま
だ赤い洗濯バサミが飾られたままだ。 
 ラブの肩に添わせた唇を微かに離して、せつなが色っぽくつぶやく。 
「ラブのせいで大きな声出しちゃったから。雨の音が隠してくれなかったら、絶対に……」
「バレたって平気。ちゃんと説明して、あたしたちの仲を公認してもらうだけだから」
「ふふふっ、ラブったら」 
 せつながほほ笑みながら、またラブの肩に唇を這わせた。スーー…っと唇を滑らせて、何度
も肩の上を往復する。 
「んん〜〜〜〜〜、あぅ、もうくすぐったいよぉ、せつなぁ」 
 ラブの裸体が、せつなの腕の中でクネクネと悶える。そのくすぐったさに彼女が気を取られて
いる隙を突いて、両手が胸のふくらみをやんわり掴んだ。 
「ラブのおっぱい、カタチがすごくきれいね」 
「ウソ。せつなのほうがおっきいじゃん」 
「大きさなんて関係ないわよ。それに大きすぎてもダンス踊るのに邪魔でしょ」 
 ラブくらいの大きさでちょうどいいのよ、とせつなが褒めて、首筋に甘いキスを送る。
 まだ成熟してない、甘酸っぱい手触りの果実を、左右の手の平を使って優しくまさぐる。乳房
の丸みに沿わせて滑るような愛撫を加え、ふんわりした乳感を堪能(たんのう)。
 また、ふにゅっ、ふにゅっ、と軽い揉み方で攻めると、ラブの乳房に詰まった軟肉の弾力を愉
しむことが出来る。 
 せつなが『ちゅうっ』とラブの首筋にキスマークをつける。
「せつな、んっ、……やだっ、せつなに食べられちゃう」
 くすくすと笑いを含ませている口調には、ずいぶんと余裕があった。
(ふふっ、ここを攻められても、そんな余裕の態度でいられるかしら?)
 せつなの指が、乳房の先端へと伸びる。 
 ちょんっ、と触れただけの刺激にも敏感に反応。砂糖のように甘い感覚に胸先を犯されて、
ラブが両ひざを微かに曲げた。 
「安心して、ラブ。わたしはラブみたいに痛いことはしないわ。ええ…、痛いことは……ね」
 右乳房の先で、せつなの指が乳輪の形に沿ってクルクルと円を描く。あえて中心の突起をそ
れている辺りが意地悪いとも言える。 
 もどかしさにラブが焦れていると、その乳首がフワッと羽根に包まれるみたいにつままれた。
親指と人差し指を交互に動かして、すりすりすり…、と優しくしごき立ててくる。
「んっ、せつな、ン…、気持ちいいよ……それ。あ、はんっ、あ、あっ…」 
 ラブの腰の位置が下がってくる。 
 左胸の先っぽもせつなの指に捕らえられた。ピンピンに勃起した乳首を同じようにしごいてゆ
く。 

 すりすりすりすりすりすりすりすり………………
   すりすりすりすりすりすりすりすり……………… 

 まるで機械仕掛けのように、ラブの乳頭をしごき立てる指のペースは変化しない。つまむ指
の力も弱いままで、いつまでも終わらない微弱な快感になぶられる乳首が甘い悲鳴を上げて
いる。 
「くふっ、もう駄目……。こんなの、なんだか、おかしくなってきちゃう」 
 最初の余裕など消し飛んで、淫蕩な表情で喘いでいたラブがついにギブアップ。けれど、せ
つなの指の動きは変わらない。二つの乳首を指先で捕らえたまま、生殺しの指使いを続行。
 ラブのカラダが、ピクンッ!と跳ねる。 
 敏感な乳首を焦らし狂わされて、ガマン出来なくなってきているのがよく分かる反応だった。
「やだ、もうっ、駄目だ…って、あ゛、アア…ン、ンッ、これ以上…無理……だめ……」 
「ねえ、ラブ。痛くない責めも、意外とツライものでしょう?」 
「おねがい、せつな……おねがいだから……」 
 せめて強くつまんでくれたら……。 
 また首筋に『ちゅうっ』とキスマークを刻んでいたせつなが、そんなラブの心を見透かした上で
残酷なセリフで煽る。 
「あと10分……いえ、20分はこのままよ。ふふふ、ラブは正気でいられるかしら?」
 絶対狂うっ! 
 ラブの全身を妖しい感覚が駆け抜けた。電流のように速く、特に腰の奥 ―― 膣の襞をゾワ
ゾワッと撫でて、一瞬で髪の先からつま先までを。骨の芯をとろかすような、危険な痺れが余韻
としてうずいている。 
 びくっ…びくっ…びくっ……。 
 断続的に小さな痙攣を白い裸身に走らせている。力の抜けた腰の位置が、またずるずると
下がる。せつなが胸先をいじるのをやめて両手で支えてくれなかったら、とっくにその場に崩れ
落ちていただろう。 
 数十秒もしたら、ラブの下半身にも力が戻ってきた。よた…よた…と、まだ足腰はおぼつかな
いが、それでも自力で立てるくらいには回復している。 
「大丈夫なの、ラブ?」 
 後ろからラブの顔を覗きこむようにして、気遣ってくるせつな。そんな彼女から、カッコ悪そう
に視線を逃がしながらラブが答える。 
「……えーっと……せつながスゴイ事言うから、ビックリしてイッちゃいました。たはは……」
 はぁっ…と溜め息をこぼしたせつなが、脱力した両腕を投げ出した。 
「もおっ、まだまだこれからって時に」 
「だってぇー、イっちゃうもんは仕方ないじゃん」 
 悪びれない口調で言い返してくるラブを、『ちゅっ…ちゅっちゅっ』と首やら肩やら、あちこちに
甘いキスの雨を降らせて黙らせる。 
「〜〜〜〜〜〜〜っっ……!」 
 気持ちいいくすぐったさにぶるぶる震えているラブの肩へ、ぽふっ、とせつなが頬を乗せた。
そして、うっとりと両目を閉じる。 
「ラブの背中、汗かいてて……熱い」 
「そうだね」 
 にっこり笑みの表情を作るラブ。指先でせつなの黒髪に触れ、愛しげに撫でる。 
「………………………………」 
 ずっと無言だった。 
 愛しているという証明に、言葉はいらない。 

 大きく開けたままの掃き出し窓から流れこんでくる涼やかな外気が、むんむんと部屋にこもっ
ていた蒸し暑さを緩和していくのを肌で感じる。 
 雨の音は、相変わらずうるさいほどだ。 
 せつなは……、 
 ラブの指に髪を預けつつ、こっそりと背中に洗濯バサミをこすり付けている。ラブにわざと分
かるように、痛みという刺激を乳首で愉(たの)しんでいるのだ。 
(せつなったら、本当にイケナイ子……)
 躾(しつ)けないと。 
 黒髪をいらう指の動きが止まった。
「せつな、おすわり」 
 甘い声でラブが命じる。せつなは肩に頬をくっつけたまま、むずかるように首を横に揺すっ
た。
「だ〜め。わがまま言ったら、めっ、だよ? ふふっ…」 
 声をさらに甘くして、せつなを叱りつけた。せつなが、くすっ、と笑うのが聞こえた。 
「わたしのお尻をぺんぺんお仕置きするの?」 
 声の響きは、恍惚の色に彩られた期待で溢れていた。 
「それはおあずけ。まずはおすわり」 
「もうっ」 
 不満の声を洩らしつつも、せつながすんなりと折れる。 
 ラブの背中を見上げながら、少女が両ひざをついて、その場にたおやかに正座した。 
 両手はひざの上。 
 頬は、上気した桜色。 
 雨の音に背を向けて、カラダごと振り返ったラブは、息を呑むほどの可愛らしさに心のすべて
を奪われた。

(結婚……できたらいいな。せつなと……) 

「…………」 
 せつなもまた、ラブに見惚れていた。 
 ダンサーとして日々完成されていく肢体に余分な肉付きはなく、乳房の丸みや臀部のふくら
みも交えて、女性的なしなやかさを魅力的に演出していた。 
(きっと来年には、スタイルの良さだけならミユキさんたちを超えちゃうんじゃないかしら?)
 一年後のラブの姿を想像して、 
 その隣に自分の姿を付け加えてみる。 
「…………」 
 ラブの裸身に視線を注ぎつつ、幸せな未来を脳裏に思い描く。 

(お母さんたちに認めてもらって、ラブと家庭を持つことが出来たなら……) 

「せつな、さっきからあたしのこと、ジーって見てる」 
「しょうがないじゃない。ラブのカラダなら、誰だって見たくなるわよ」 
「それやだ。あたしのカラダ見てもいいのはせつなだけ。せつなにだけ、見せたい」 
 まじまじと注がれる視線を皮膚で感じながら、こそばゆいような感覚に身をよじらせた。 
「せつなに見られるのは、恥ずかしいんだけどね……嬉しい」 
「本当に? ラブの……なんていうか、はしたない状態になってる所だって見られているのよ?
 それも嬉しいの?」 
 ゾゾゾゾ ――― ッッ。 
 せつなの言葉が、ひんやりと背筋を滑り落ちていった。 
 恥ずかしい、恥ずかしすぎて……。でも、『カーーッ』と熱くなって悦んでいる。せつなの口にし
た部分は。 
「見られてるだけでイジメられてるみたいで……その、変な感じ。すごく恥ずかしいから……そ
れで気持ちよくなってきちゃうのかなぁ」 
 そう言ってる最中にも、熱い蜜を漏らしている部分に視線を浴びせられて、ラブは『ぞくっ』と
身をくねらせた。 
(せつな、もっと見て……、あたしの……ここ) 
 ラブの足が一歩前に出た。
 ちょうど股間のすぐ前に、せつなの顔が来てしまう。まだうっすら気味の恥毛の叢(くさむら)
はもちろん、卑猥な涎を垂らしている秘貝の肉具合までも、つぶさに観察できる距離だ。
(においだって、きっと。せつなにいっぱい嗅がれちゃってる) 
 事実、せつなはラブの秘所から漂う、むせかえるような淫蜜の匂いに触発されて、ウズウズと
欲情の気配を強く立ち昇らせていた。 
(ラブの恥ずかしい匂い。……鼻の奥がツンって刺激される……) 
 濡れた粘膜の、濃い匂い。淫靡な臭気を、鼻に覚えこませるように何度も呼吸する。
「せつな、今何してるの……?」 
 じっとりと、興奮に粘ついた口調でラブが訊ねてきた。顔を上げ、ややかすれ気味の声でせ
つなが答える。 
「ラブのいやらしい匂いに……夢中になってるのよ」 
「こんなにおいに夢中になっちゃうなんて、イケナイ子…だよね、せつなは」 
「罰して」 
 上気した顔で、せつなが短く言葉を吐いた。イケナイ子である自分に、ラブのお仕置きを求め
ていた。むっちりと丸みを帯びた臀部が、ラブのスパンキングを待ちきれないみたいに悶えだ
す。

 ラブの表情が、にっこりと満面の笑みを作った。 
「いいよ」 
 パァッと、痛い事をされるのにもかかわらずせつなが顔を輝かせた途端、ラブが言葉の続き
をポロリとこぼした。
「でも、あとで」 
「いじわるっ!」 
 反射的にラブの顔に向かって言葉をぶつける。そして、腹立たしさを紛らわせるため、ハァッ
…と重い溜め息をついた。 
「まったく、どうしてこんな意地の歪んだ相手を好きになっちゃったのかしらっ」 
「あははっ」 
「何を笑ってるの? ラブ、何がおかしいの?」 
 ラブを『キッ』と睨みつけてやるが、その眼差しの底は甘く溶けてしまっているので、あまり迫
力が出ない。仕方なく「…えいっ…」と眼前にある股間を指で突っついてやる。 
「こ、こら、めっ! おあずけ!」 
「さっきからのそれ……、わたしはラブの飼い犬なの?」 
「そうだよ。今だけは、せつなはあたしの可愛い子犬ちゃん。ワンワン、ワン!」
 嬉しそうに犬の鳴き真似をするラブが面白くて、せつなが思わずクスクスと笑ってしまう。
「いいわ。わたしはラブの子犬。…で、何をすればいいの? わんわん」 
 ラブに調子を合わせて、ちょっぴり後悔。頬を羞恥の色に染めて、顔をうつむかせる仕草が
とてもかわいらしい。 
「ん〜と、じゃあねえ……せつな、お手」 
 ラブが少し身をかがめて、手の平を上にして左手を出した。そこにせつなが右手を、ちょこ
ん、と乗せてくる。まっすぐな気高さを感じさせる外見が、そんな動作を全裸で行う少女の卑し
さをより強調していた。
「せつな……舌」 
 ラブがそう言うと、つややかな唇を割って、可愛らしい舌が突き出される。ラブが右手の親指
と人差し指でそれをつまんで、さらにグイッと引き出した。 
「ンぅ〜〜っ…」 
 言葉をしゃべれなくされたせつなが、哀れにうめく。そんな彼女の舌へ、ラブが唇をすぼめて
狙いをつける。唇の先に、粘度のある液体が生まれ、ぽたり…とせつなの舌の上に落ちた。
「せつな、飲んで」 
 舌をつまんでいた指が離れると、せつなは喉を鳴らしてそれを嚥下し、「はふっ」と満足そうに
溜め息をこぼした。 
「せつな、舌」 
 今度はラブの指につままれるまでもなく、精一杯舌を突き出した。その状態を維持するのは
ツライらしく、ラブの唾液を待っている間、舌の先端がクネクネと上下にうごめく。
(うう、舌が攣りそう……) 
 上手に狙いを定めたラブが、またその上にねっちゃりとした唾液を垂らした。 
「飲んで」 
 せつなが幸せそうに両目を細めて、ラブを見つめながら嚥下。 
「舌っ」 
 せつなは訓練された牝犬のように、すぐに舌を突き出した。 
 繰り返される唾液の授受。 
 今はせつなの飼い主であるラブが、唾液のご褒美を少しずつ与え続ける。愛すべき全裸の
子犬は、行儀良く『お手』をしたままの姿で、腰から下を小さくもじもじと…………。
(あっ…!) 
 せつなの左手が急に、ギュッ、と自分の膝頭をつかんだ。
「…うん? どうしたの、せつな。自分でいじりたくなっちゃった?」
 外で、雨の音が激しさを増した。それでも小さく「はい」とつぶやく少女の声は消せなかった。


 ラブが後ろ手に掃き出し窓を閉めて、切なげな顔で見上げてくる少女と視線を合わせた。憐
憫(れんびん)を誘う眼差しにゾクゾクしながら、右手で髪をかきあげる。 
 ――― させてあげてもいいけれど、 
(普通にしたんじゃ、もったいないよねぇ。お尻へのお仕置きもまだだし) 
 今夜は「せつな」という素材が、最高に淫らな仕上がりをみせているのに……。
 せつなの『お手』のポーズを解いて、ラブがかがめていた身体を、すくっ、と伸ばした。汗に濡
れた15歳の肢体が、再びそのプロポーションの良さを強調する。
「両手は後ろに回して」 
 せつなが言われた通り、両腕を後ろに回して、耐えるように両手を握り合わせた。 
「……ウズウズしてるでしょ、せつなの大事なところが」 
 ラブの右手がせつなの頭部に添えられて、グッ、と前に倒してきた。「あっ」と反射的に両目を
つぶったせつなの顔に、ぐっしょりと湿った肉の、卑猥な軟らかさがぶつかる。 
 濡れた縮れ毛の感触が、汗ばんだ額にかかる前髪と交ざり合う。 
(ラブの……) 
 濃厚な乙女の蜜の匂いが鼻孔の隅々にまで染み渡る。せつなの理性は、もうドロドロに崩れ
落ちていた。愛液にまみれた恥部の肉に頬ずりし、その軟らかさと熱烈なキスを交わす。
「あっ…ああっ……くっ」 
 ラブがたちまち眉間にシワを刻んで、ぶるぶる…と悩ましげに腰を揺らした。イッてからまだ
いくらも経ってないから、秘所の感度はかなり敏感になっている。少しの刺激でも、痛いほど感
じてしまう。
(ラブ……あなたの"子犬"であるわたしが、いっぱい悦ばせてあげる) 
 熱い欲情の液でとろけてしまった恥裂を、チロチロッ…チロチロッ…と舌先が細かい動きでな
ぞってきた。ラブが悲鳴にも似た悦びの声を洩らす。 
「ひいい゛……いいよぅ、ふあああ……せつなぁぁ……いいよぉ……」

 せつなが顔を揺すって、ラブの両太ももの間に深く潜った。犬の舌使いで、せわしなく股間や
内太ももにこびりついた愛液を舐めて、きれいにしてゆく。 
「あ゛っ……そんなにいっぱい舐めて……、せつな、おいしい?」 
 せつなは答える代わりに、ラブの漏らした分泌液で顔の下半分をベタベタに濡らしながら、そ
れを舐め続けた。 
 汗のしょっぱさにほんのり薄められた愛液の生々しい酸っぱさを「ちゅっ、ちゅっ…」と唇を押
し付けて吸いながら、さらにラブの皮膚に残っている愛液の味を求める。 
「せつな、そんなにあたしのが欲しいの? じゃ…じゃあ、もっと奥を舐めて……あたし、せつな
のためにいっぱい出しちゃうから」 
 ラブが自分から腰を揺すって、せつなの唇に、股間で一番熱くぬかるんだ部分を押し付け
た。
「……して、せつな」 
 せつなは素直に従う。 
 舌をねっとりと這わせる。熱くて、軟らかい、濡れた肉の味。背筋が、ぞくぞくっ…とイケナイ
歓びを覚える。 
 ラブのいじわるに触れている気がした。彼女はこんなに気持ちよくなっているのに、せつなは
自分でいじることさえ許されず、恥部の耐え難いほどのうずきに我慢を強いられている。
(でも、わたしは……こんな状況を悦んで、さらに興奮してる……) 
 その被虐的なシアワセのせいで、せつなの舌の動きがいやらしさを増した。 
 軟らかな恥肉を舌先でこすり、舐め上げ、唇で吸い付く。ラブの愛液をすすり、自分の喉を汚
して、もっとラブの秘部が濡れるように、献身的な愛撫を舌で行う。 
「ひっ、ああっ…あ゛あ゛ぁぁ……っ、すごいっ、せつなの舌に壊されちゃうぅっ……」 
 がくがくっ……がくがくがくっ……。 
 汗濡れた裸身を支える両ひざが震えるたび、豊かな臀部の肉付きがわなないて、扇情的な
光景を作り出す。 
「ふ…あ、だめ…せつな……あたし、また……あ゛っ、あ゛っ!」 
 せつなの舌がぷっくりした秘貝を割り、生々しい味の汁を溢れさせる粘膜を舐め上げる。天
使をもよがり狂わせるほどの猥褻な疼きが、ラブの一番弱い部分をなぶってくる。
「う゛ぅぅ…あ、はぁあん……すごい、やっぱり、すごい、舌でイジメられるのっ、すごいよぉ」
 ラブの口から熱っぽい嬌声が、だらだらと流れ続ける。 
 せつなの丁寧な舌使い。 
 まるで侍女が愛する姫に奉仕しているかのように。 
「………………」 
 ラブの秘所に密着したせつなの口から、『ぴちゃぴちゃ…』と微かな水音が絶え間なく洩れて
いる。舌の動きに微妙な変化を加えつつ、ラブを淫らに溶かしつくすために、恥裂の内側……
初々しい無垢な粘膜を、じっくりと攻め尽くしていた。 
「うあ、あぁ…はぁああ……ンッ、んっっ! すごいっ、せつな、本当に上手……すごいっ」
 せつなの頭部に添えられたラブの右手に力がこもる。それを支点にして、ガクガク揺れる裸
身を何とか支えている状態だ。 
 キュッと握られたコブシは口もとへ。切なく熱い喘ぎ声が、それに当たって砕ける。 
 ラブの股間から、妖しい歓喜が背骨を溶かして突き上げてくる。 
 でも、それは絶頂の一歩手前。せつなの顔が、股間から離れたのは同時。彼女の頭に置い
ていた右手がずるりと滑り落ちる。 
「あぁんっ、せつなぁぁ……」 
 切なげな声が追いかけてくるが、せつなの顔の位置は戻らない。べったりと淫らな蜜で汚れ
た白皙の美貌を、ラブの視線が見下ろす。 
「安心して、ラブ。やめるわけじゃないから。ただ、ゲームを提案したいの」 
「ゲーム?」 
「そう。わたしはラブにお尻をきつく叩かれて、泣き叫ぶほどイジメられたい。ラブはわたしに続
きをして欲しい……そうでしょ?」 
 せつなの瞳が妖艶さを放っていた。ラブの身体に思わず、ぶるぶるっ…と理由のわからない
震えが走った。 
 せつなの両目が、微かに、楽しげな様子で細められた。 
「だったら、時間を決めて交替でそれをやりましょ。ルールは簡単。イッたほうが負け」 
 …ぶるっ。 
 せつなが自分の股間から湧き上がった得体の知れない何かに身を震わせて言葉を続ける。
「ラブが勝ったら、わたしは永遠にあなたの所有物(モノ)になる。でも、逆の場合は、ラブのほ
うが死ぬまでわたしの所有物(モノ)になる」 
 せつながごくりと唾を飲み込んで、ラブにほほ笑みかけた。 
「どう?」 
「………………乗った」