いつかのロミオとジュリエット 04

　健全なお付き合いから一歩踏み出したオトナの恋愛 ――― キスより先の知識は、ちょっぴ
り背伸びしたガールズトークというあやふやな情報源と、あとは憧れと想像力で補っていた。

　乙女の秘所を恍惚の波で激しく洗われた南野奏は、

　今、自分の指先をペンに、響の肌をノートにしてオトナの恋愛を勉強している。　

　ぺたん、とベッドの上に尻をつけて女の子座りをする響の後ろで、両足を横に崩して座る奏
が、笑顔で指を走らせる。やや細められた両目から覗く瞳には、少し意地悪そうな光。

　後ろ手に縛られた響を、背後から優しく抱きしめるように両手を回して、指先で幼なじみのカ
ラダをじっくりと探検。『女の子としての北条響』の反応を一番良く引き出せる場所がどこか知り
たい。

　肌に指先の感触を受けるたび、下着姿の響は声を抑え、身体を固くして身震いをこらえる。

　奏の左手が、スルリとブラジャーをまくり上げた。「…えっ？」と、反射的に自分の胸を見おろ
した響が、顔全体を羞恥の赤で染めて、がくがくっ…と上半身を大きく震わせた。

　――― が、喉までせり上がってきた声は何とか飲み下す。

「もおっ、恥ずかしがってないで、声出しちゃえばいいのにっ」

（でも、ガマンしてる響……フフッ、かわいいっ）

　そう思ったら、バスタオルで隠したままの下腹部の奥に、またムズムズする淡い欲情の疼き
が湧いてきた。響のほっそりした肩の丸みに視線をこぼして、小さく喘ぐ。

「んっ…」と、うめいた響が視線だけを動かして、後ろにいる奏を窺おうとする。

　一瞬、首筋にかかった息の熱さのせいで思い出した。奏の口 ――― その奥で二人の舌を
愛し合わせた記憶。

　奏の右手が、響の右肩からヒジまでを……その引き締まった筋肉の弾力を楽しみながら、な
ぞり落ちてきた。じれったく、響のほぼ裸の上半身が悶える。

　切なそうにまぶたを閉じて、こくっ…と微かに喉を鳴らした。

　奏の指使いは、まるで肌の上に羽根を滑らせるように軽やか。気持ちが良くて、くすぐったさ
に耐えようという意志が徐々に屈していくのが自分で分かる。

「ねえ、響、ここ…気持ちいい？　それともくすぐったいだけ？」

　この場合どっちの事を言っているのだろう、と響は思った。

　左手の指が微かに蛇行しながらなぞる、ふくらみかけの胸の谷間か。それとも、右手の指が
さわさわとこそばゆくまさぐってくる右太ももの表面か。

　くすぐったいけれど ――― それだけじゃないと思う。

　発育途中の乳房のふくらみを、つうっ…と撫で上がってくる指の感触に、響がビクンッ！と上
体を揺らす。「あっ…」と小さく喘いだ口が、すぐに恥ずかしそうに閉じられた。

「嫌……じゃないけど、わたし、奏みたいに可愛い声じゃないから……恥ずかしい」

「可愛いって！　響の声。だって、わたし……響が気持ちよさそうな声出してくれたら、カラダの
奥が熱くなるもん！」

　大真面目な顔で、響の声の『可愛らしさ』を肯定。そして、声音を甘くして響きの耳にささやき
かける。

「響が気持よくなってる声を聞かせて。そしたら、わたし、すごく嬉しくなれるの」

　奏の両手が、響の両胸をグッと掴む。まだやわらかさは熟していないが、健康的な肉感が
瑞々しく、さわり心地がとても良い。女子中学生の小ぶりな乳房を、手の平でまんべんなく撫で
回して味わってみる。

　くねくねと逃げ出そうとしているみたいに身をよじりつつ、途切れ途切れの声をあげる響。

　うら若い乙女の果実が、時折、甘やかな痺れに舐められる。ちょうど奏の手が乳房の先端、
薄桜色のツンとした突起の上を通過した時だ。

（いっぱい悶えてる……。ふふっ、響は可愛い女の子だよ）

　それぞれの手の指が、感じやすくなっている乳首をつまんで、スリスリと優しく撫で転がした。

　両手を後ろで拘束されたカラダが、ビクンッ！と跳ねるように痙攣。響の表情（カオ）が恍惚
に溶けて、背筋に『ゾクッ ――― 』と官能に支配された悦びを這い登らせた。

　響の長い髪を優しく梳（す）き上げられ、露わになった白いうなじへ柔らかい唇が押し当てら
れた。気持ちいいけど、これだけじゃ…と心に抱いた物足りなさを読み取ったかのように、続け
て熱くぬめった舌の感触。

　力強い舐め方で、たちまちその部分が唾液まみれになる。

　素直に快感の反応をカラダに出すようになった響の首から、奏が少しだけ口を離す。

「響、両手のヒモ解いてあげる。その代わり……」

＜抵抗禁止・暴れるのは禁止・逆らうのも禁止＞という三つの条件付きで、ようやく響の両手
が自由になった。

　その右手に奏の手が静かに重なって、自分のショーツの内側へといざなわれる。

　濡れた感触を指先が覚えた。だが、止まりかけた響の手を、奏の手がさらにショーツの奥へ
と進ませる。

「女の子の身体が……気持ちよくなってる証拠だよ」

　奏の指も、そのヌメッ…とした粘液にふれる。ゾクッ、とカラダの奥底に震えを感じた。

　そのつぶやきが、響の耳たぶにそっと吹きつけられた。今の彼女は、たったそれだけで全身
を昂らせてしまう。

　愛しげに両目を細めた奏が顔を寄せて、すぐ近くで響の表情を観察中。

　ショーツの中で重ねた二人の指を動かし、響と一緒に秘所の悦ばせ方を学んでいく。

「ここどう？　きもちいい？　…じゃあ、こっちは？　…これは？」

　奏のほそい指が敏感な粘膜をいやらしくまさぐり、恥ずかしがる響の指にも、自身の濡れた
性器をいらわせる。泣きそうな顔で悶える響が、ふるふる…とかわいらしく首を左右に振り、無
意識に奏の名前を呼ぶ。

　それに対し、奏は頬を赤く染めて、「ああっ…」と喘いだ。響が可愛すぎてたまらない。……た
まらないから、もっといじめちゃえ、と思う。

　右手の中指をすべらせ、てらてらと濡れそぼった秘貝の口を少し強めになぞる。「ひっ！」と
響が小さく叫び、背中を弓反らせた。

　ショーツの下で、今度は響の指に同じ事をやらせる。びくっ、と眉根を寄せ、閉じた両目の端
に涙すら浮かべている響へ、奏が背後から甘い声を送った。

「どんな声出したらいいのか…わかんないよぉ ――― ああぁぁんっっ！」

　お姉様のように優しくリードしてくれる奏の指に従い、響の指が丁寧に自分自身の秘所を愛
撫する。ショーツから微かに洩れる粘ついた水音。響の指と愛し合うみたいに重なる奏の指
が、やわらかにとろけた恥肉のいじめ方を教えてくれる。

　ショーツに差し込んだ右手の指を、さらに大胆に動かして、処女の秘貝を熱い蜜で潤ませて
いく。偶然にも特に感じやすい部分を指先でこすってしまったらしく、『びくんっ！』とカラダを揺
らした響が、ベッドに着けていた尻を跳ねるように浮かせた。

　だめ。逃がしてあげない。響は今、わたしのモノ。

　白い肩のなだらかな曲線に唇を這わせてから、カプッ、と甘く噛みつく。……たいして痛くはな
い。なのに、響の口からは感極まったような可愛い声が洩れ、ぺたんっ…と再び彼女の尻がベ
ッドに落ちた。

（ちょっと噛んであげただけなのに……ふふっ、響って意外とこういうのに弱いんだ♪）

　綺麗に引き締まった肢体をくねらせる響 ――― その女の子の悦びに酔うカラダに、愛おしさ
を込めて左手をすべらせる。かわいらしいヘソを撫で回した指が、くすぐったさに引き攣る腹筋
をなぞり上げ、中学生の乳房へと伸びた。

　奏の右手に促されて自慰にふけっていた響が、つんっ…とあごを上向かせ、白い喉を喘ぎで
震わせた。期待と恥じらいによって、両目を閉じた表情が切なさを帯びる。

（だめっ、奏の指先の感触を考えただけで、おっぱいの先がくすぐったくなってきて……）

　しかし、奏はゆっくり焦らすみたいに乳房を下からいらうばかり。その指先は、健康的な胸の
丸みを這い上がってきれくれない。

　もどかしい気分で響が、自分の秘所に指を走らせる。せめて来るのか来ないのかだけでも、
はっきりしてほしい。

　スポーツをしている女の子の胸。乳輪も淡く、肉付きもまだまだ物足りない。でも、愛する相
手の指先に可愛がってもらうのを待ちわびている乳首はツンと尖って、初々しい色香がある。

　左胸のふくらみを下からプニプニとさすって、育ちかけの乳肉の重みをしっかり堪能したあと
で、なだらかなカーブに沿って指を胸の先端へと運ぶ。

　指先が軽くタッチしただけで、甘美な電流でも流れたかのごとく反応。ビクンッ！とカラダをこ
わばらせた直後、乳房に這う奏の手を、空いていた左手で弱々しく掴んできた。

　とめようとしているワケではないのは、すぐに分かった。

　黙ってうなずいた奏が、響の気が落ち着くまで手を握らせてやった。

　………… 一分近く経ってから響が、「ごめん、もう大丈夫」と、手を離した。「平気？」と優しく
たずねてきた奏に「ウン」と微笑みながら頷いて、続きをしてもらう。

「あっ、ああっ…だめっ、か…なでぇっ、だめっ……ア゛ァッ、ああああっ……！」

　感度が高まった乳首を、なめらかな爪の先がこまやかな動きでほじくるようにイジメ抜いてく
る。

　ショーツはもう、響が分泌した愛液でぐっしょり。その薄い生地の下では、ややサディスティッ
クになってきた奏の指責めによって、処女の恥裂がたっぷりと可愛がられている。

　奏が微かに声をうわずらせて訊く。興奮の涙で頬を汚しながら悶えていた響が思わずコクコ
クと首を縦に振るが、奏はそんな屈服した彼女の姿が見たかっただけ。

　奏がにっこり微笑み、響の感じやすい部分を徹底的に可愛がっていく。

「ひぃっ…あっ、あ゛っ、いじわるしないでっ、ヤダッ…ああっ、こわれるっ…奏っ、ダメッ！」

　最後の「ダメッ！」という言葉には、強い制止の意志がこもっていた。けれど、奏の右手と一
緒にショーツに潜りこんだ手は一切の抵抗を示さない。

　心の中で響に語りかけてから、とろけた秘貝の口を『ニュッ…』と指先で割り、淫らな蜜のヨダ
レにまみれた膣穴の入り口を優しくいじり出す。

　一瞬遅れて何をされたのか理解した響が「アッッ…アアッッ！！」と目を白黒させて腰を浮か
そうとするが、首の後ろを甘く噛まれて動きをとめる。

　奏がもう少しだけ噛む力を強めると、響は腰が抜けたみたいに、とすんっ…とベッドの上に尻
を着けた。

「奏…ホントに駄目……こんな事したら赤ちゃん出来ちゃう……」

「うそっ。だって……わたし、お腹の奥のほうが……ジンジンしてるもん……」

　熱い声で喘ぐ響が、嫌々をするように首を横に振る。

　まだ１４歳だし、妊娠したら学校に行けない。でも、「くちゅくちゅ…」と粘つく音を鳴らされなが
ら、指の腹を使って丁寧に膣の入り口をマッサージされるのが気持ちよすぎて ――― 。

　こまかい指使いで嬲られていた乳首を、いじわるくつねられて、響が悲痛と悦びが入り混じっ
た声を上げた。

　奏がうっとりと両まぶたを下ろし、その声を味わった。やっぱり響は、可愛すぎて許せない。

「こんなのじゃ響は妊娠させられないけど……、でもね、おねだりしてっ。わたしの赤ちゃんが
欲しい…って！　じゃないと、やめちゃうからっ！」

　涙を流す両目をギュッとつむって、奏に言われたままに、響が自分たちの赤ちゃんを大きな
声でおねだりする。

「ほしいっ！　奏の赤ちゃん……わたしのお腹で育てたいっ！」

「おねがい奏っ、妊娠させてぇっ！！　奏の赤ちゃんっ、わたしに産ませてぇっ！！」

　奏の赤ちゃんをお腹の中に……と考えたら、急に『ゾクッ…ゾクッ…！』と秘所の奥まで妖し
い痺れが駆け抜けて、全身が大きく震えた。

　いつのまにか、左胸の先をいじっていたはずの奏の手が、自分の左手を強く握ってくれてい
て、「大丈夫、大丈夫だから。……大丈夫よ、響」と、穏やかな声で安心させてくれた。

　そっとベッドに横たえてくれたのが嬉しかった。

　あと、最後に握ってくれた左手が、まだ繋がったままなのも。

　夢うつつな状態で、しばらく目を閉じていた。鼓動が苦しいほどに速まって、息もずいぶんと
乱れている。眠ってしまいたい欲求に流されてしまいそうになる。

　響は恍惚の涙が残る瞳を開いて、まぶしげに奏を見つめた。

「ねえ、奏、今日の晩御飯って何？　お腹すいたー…」

　奏は、なにもかもを壊されたみたいな表情（かお）になって、「餓え死んじゃえ」と、ひどい言葉
をわたしに投げつけてきた。

　新しいモノに履き替えようと思い、響が気だるそうに上半身を起こすと、後ろから「待って」と
いう声がかかった。バスタオルを胸元まで引き上げてカラダに巻きつけた奏が、さっとベッドを
降り、響のためにブラジャーとショーツを用意してくれた。

「あっ、そっか、カラダを拭く物……う～ん、むしろもう一度お風呂入っちゃう、響？」

　ベッドの脇に立った奏が思案しつつ、響を見つめる。

　しっとりと汗ばんでいる肩の丸み。そこに沿わした眼差しを１ｃｍほど走らせ、そのまま断ち切
るように響のカラダから目線を外した。でも……。

　無意識のうちに、右手が持ち上がって胸元のバスタオルの合わせ目を静かに掴んでしまう。

　胸が羞恥心で埋まってしまい、心臓が苦しくてたまらない。

　けれど、この唇と両手の指で、もっと響を感じたい。可愛らしくなった彼女を、また泣かせてみ
たい。下腹部の奥で官能的にうずく響への想いを、彼女のカラダに全部吐き出したい。

　お腹すいてるのになぁ…と響の表情が落ち込んだのも一瞬。真っ赤な顔で恥ずかしそうに誘
いをかけてきた奏を見上げ、「奏のエッチ♪」と小学生みたいにからかう。

　奏が「う…うるさいっ」と恥らいつつも表情をツンとさせて、そっぽを向く。こんな彼女が、食べ
てしまいたいほど可愛らしく感じられて ――― 具体的には自分も同じく、もう一回しよっかとい
う気分になる。

　ベッドの上に座ったままショーツの両脇に指をかけ、スルスルと脱いでいく。湿った下着の感
触から解放され、両脚の間が涼やかに。

　小さくたたんだ下着を、奏の視界から遠ざけるように、ベッドの反対側の端に置く。たたむ際
に指で感じた湿り気のせいか、ちょっとオトナに近づいたような気がした。

　ぽうっ…と顔を上気させた奏が、自らも身体を隠すバスタオルに手をかけ、ゆっくりと開い
た。響も身に着けていた最後の下着 ――― ブラジャーを外した。

　奏のほっそりした両肩をすべって、バスタオルが床に落ちた。

　響はそのカラダを、切れ長の双眸で隅々まで鑑賞させてもらうコトにした。風呂場で普通に見
たはずの彼女の裸が、なぜか今はとても美しく思えたから。

　奏が恥ずかしげに裸身をくねらせた。響に対するいやらしい感情が昂っているために、肌が
特に敏感になっていた。彼女の視線に触れられただけなのに、まるで指か舌で愛撫されたみ
たいな反応を示してしまう。

（響に……全部視られちゃう。けど、わたし…どうしてだろう？）

　逃げ出したくなるほどの恥ずかしい気持ちとは裏腹に、少女の肢体は響の視線を求めてい
る。

　まるはだかになったカラダをさりげなく揺すって、１４歳のうら若い乳房へと視線を誘導した。
響が「おいしそうな胸…」とこぼしながら、がっつり見つめてくる。

　自分のカラダの全てをさらけ出す羞恥心にさいなまれ、奏は小さく「あぁっ…」と泣くような声を
洩らした。

（わたし……変。恥ずかしいのに……すっごくゾクソクしてる……）

　真剣に奏の乳房を見つめまわす響を見て、悩ましく眉根を寄せる。視線という見えない感触
にまさぐられる胸の先っぽが、もどかしげに快感を募らせていく。

　奏が、びくっ…と腰を落としそうになった。油断していると、この気持ちよさに流されてしまいそ
うだ。

　視線のこそばゆい感覚が、最後にやわらかな乳房の丸みをたっぷりと撫でまわしてから離
れ、今度は白い首筋へ這い上がってきた。奏の呼吸が切なく乱れ、ごくり…とツバを飲み下
す。

　その嚥下のなまめかしい動きに、響が妙な興奮を覚えた。

　奏の指でいじられた股間が、また『むずっ…』としてくる。

　響は視線を上げ、つやっぽく喘いでいる唇を見つめた。それに気付いた奏が、微笑みの滲ん
だ目で見つめ返してきて、

「またおいしそうって言うつもりなんでしょう？」

　響はうなずきながらも、「でもね」と言葉を続けた。

　よく分からないといった表情（カオ）で、奏が人差し指で自分の喉を指す。……と同時に、響が
ブンブンと頭を振って、めちゃくちゃ力強くうなずいた。

　奏が口の中に溜めた唾液を飲んでみせる。飲み下す瞬間、微かに頭を反らせて、喉の動き
を晒した。食い入るように見つめてくる響の反応を確かめたあと、同じ事をもう一回。

　白い喉を動かして嚥下した唾液を追いかけるように、喉に這わした人差し指が胸の谷間をす
べり、お腹へと。 ――― サービスのつもりで、人差し指をもう少し下のほうへ……。

　こみ上げてきた恥ずかしさに、奏が思わず両目を閉じてしまう。

　女子中学生のほっそりした裸体が『ビクンッ！』と崩れそうなほど大きくわなないた。

　しばらくしてから開かれた瞳は、欲情的に潤んでいた。

　視線を落として、自分の人差し指が示した先、今も響のまなざしに撫でられている場所を確
かめ、そこを ――― 淡い恥毛の草叢（くさむら）に隠された一番大切な部分を……熱く濡らし
た。

　女の子らしくスリムで、しなやかな筋肉を秘めた肢体。本気になったら、奏がどんなに抵抗し
ても簡単に組み伏せられてしまうだろう。

　でも、やっぱり響は優しくて ――― 腰に回された右手も抱き寄せているというより、支えてく
れているといったほうが正しいくらいだ。

「奏、だいじょうぶ？　お腹すいたっていう目してるよ」

　奏が苦笑。単なる欲求不満です……とは訂正せずに話を進める。

　響がごくっ…と喉を鳴らすのを見て、奏が笑う。

　響の左手の人差し指が、奏の喉を這う。これであとは、口の中にたっぷり唾液を注いでくれ
れば準備完了。

　奏が両目を閉じて、くちうつしで流し込まれた唾液のぬくもりを味わう。

　他人の唾液を飲み下す ――― その行為に背徳感めいた何かを感じて、奏はキュッと両太
ももを強く閉じた。そんな事をしても、秘所が淫らにうずくのはとめられなかったが。

　響の唇が離れてから、ゆっくりと彼女の唾液を嚥下する。自分の唾液を飲んだ時とは違い、
喉にネットリとした感覚が残った。響の人差し指がスタートして、お腹の辺りまで行っても、それ
は喉にこびり付いたまま落ちようとはしない。

　響の人差し指が、すーっ…と下腹をすべった。そこで淫靡に燃え上がりかけていた奏の思考
がいったん中断した。響の左手に自分の手を添えて、人差し指を優しく誘う。

　処女の純潔を、淫らな蜜でベッタリと冒涜した股間。秘所の恥肉が熱くなって、ぬかるむよう
に軟らかい。それを響の指に感じてもらう。

　奏の性器の……秘貝の割れ目がぎこちなくまさぐられる。そのすぐ内側は、響の指を待ちわ
びている敏感な粘膜だ。薄い媚肉に隔てられた指の動きが、そこに卑猥なうずきをもたらす。

　本当に不器用な指使いだけど……、奏は立っているのがツライほど感じてしまう。

「ん、こらっ…あんまりクチュクチュ鳴らさないで…」

　もおっ、と嬉しそうに怒りながら響のカラダにしがみつく。汗をしっとりかいていて、ちょっと熱
い。そんな体育系少女のカラダが、奏を優しく抱き返してくる。

「ねえ奏。わたしのツバ、もっと飲んだら……もっと熱くなるかな？」

　響の言葉に、奏が自分から唇を押しつけて唾液をもらいにいく。やっぱり響の唾液は、ネット
リと喉にこびり付いて……奏の喉を汚して……犯した。

　――― こんな事言って、嫌われたらどうしよう。

　至近距離のまなざしを、響は指を止めて大切に受けとめていた。奏はまばたきすら忘れて、
震える声で言った。

「響のツバじゃなくて…ツバ…じゃなくてっ……」

　ガバッと身体同士がぶつかるぐらい強く抱きついて、響の耳に唇をくっつけ ――― 、

「 ―――― ッ…、 ―――― ッ…、 ―――― ッ！」

　……言い終えた後、頭が真っ白になるような卑猥な事を。

　響にばっちり聞かれてしまって、もう遅いけど。

『ゴメン響、きもちわるいよね。ほんとにゴメン、今の無し』

　確かにそうしゃべったはずなのに、奏の口はそう動いたはずなのに、

　１４歳の少女は、背中を強く抱きしめてくれる腕の感触に安堵する。

「うん、そうする。響のいやらしいモノで…いっぱい汚れる」