Sugar vs Mustard 03


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 

 大人の親指程度の鋼球を5個、片手に乗せて両目を閉じ、なるべく大きくばらけるように意識
して、天井近くまで放り投げる。もし天井に当たってしまったならば、それは初歩の力加減もコ
ントロールできないという重大な欠陥だ。
 放り投げた腕の動きから、全ての鋼球の落下軌道とタイミングを精密に予測。それに合わせ
て、1ミリの狂いもなく宙に手を滑らせれば、元の通り、手の平に乗っているのは5個の鋼球。
 桃園せつなの少女時代 ――― ラビリンスの幹部である『イース』が戦闘訓練の前に行って
いた、ごくごく軽い準備運動だ。
 総統メビウスの意思を遂行する上で、妨害となる者をいかに効率よく排除するか。赤い瞳に
忠誠心と冷酷さを宿し、機械(マシーン)のごとく戦闘に関するあらゆる動作をシステム化して、
身体に刻み付けた。それは今もまだ、全身の筋肉が記憶している。
 だから、ラブの子を身ごもった時、限りない幸福感と共に、深くぬぐいきれない不安を覚え
た。他者を傷つけるために最適化された戦闘機能が、我が子にも遺伝しているのではない
か、と。
 しかし、心にこびり付いた不安の闇は、母親の胎内から世界へと切り離された赤ん坊が、そ
の小さな体で精一杯の産声を叫ぶと同時に消え失せた。生まれてきたばかりの娘は、何一つ
ままならぬ弱々しさながら、せつなの魂を揺さぶるように泣き続け、彼女に幸せな微笑みを与
えた。

 ――― 「あなたは、こんなにも輝いている」

 これは、せつなが娘に贈った最初の言葉。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 短いまどろみから目覚める。娘が生まれた時の夢を見た気がする。しかし、せつなは懐かし
さに浸る事もできない。
(かゆい……かゆいっ!)
 たちまち顔をしかめて、裸身をくねらせた。8枚のパッドは停止しているが、粘着ペーストのも
たらす痒みはそのままだ。手足を拘束された女体が、クネクネと哀れっぽく身悶える。
 今日はプレイ時間が長くなりそうなので、ラブには娘の様子を見に行ってもらっている。特に
ぐずついている気配もなかったが、念のためだ。
(でも、ちょっと遅くない? あ、もしかして寝顔の可愛さに惹かれて添い寝してるとか…)
 せつなにも覚えがある。つい、一分…いやいや三分だけとか思いつつ、娘を抱いて一緒にス
ヤスヤと……。一時間近く眠ってから、ようやく目を覚まして慌てて寝室に戻ったら、恥ずかし
い格好で縛り上げたまま放置していたラブに、疲れきった目で睨まれた。
(ラブを責められないわね)
 痒みにカラダを揺らしながら、せつなが重く溜め息をついて苦笑。吊られている姿勢はまだし
も、化学性の痒みだけはどうにもならない。
(これはもう、ラブの意地悪な放置プレイと割り切って楽しんでしまえば……よし、精一杯がん
ばるわ。んんっ…、痒いのがちょっと気持ちよくなってきたかも)
 モニターの電源も落とされ、真っ暗になった寝室の中、若妻の汗ばんだ裸身が色っぽくよが
り始める。だが、しばらくするとだんだん虚しくなってきたらしく、「はぁ〜…」と途方に暮れたよう
な溜め息を洩らして悶えるのをやめてしまった。

 寝室に照明が点灯されるまで、ずいぶんと時間がかかった。
 娘の様子を見に行ったついでに、柔らかなほっぺを指でムニムニしていたら止まらなくなった
らしい。疲れきった目で睨んでくるせつなの前で、ラブはバツが悪そうに笑って、そう説明した。
 痒みに喘いでいたせつなのカラダから、ようやくパッドが外され、肌も丁寧に拭き取ってもら
う。「ふうっ」と一息ついた口に、ラブの唇が軽く重なって、すぐに離れた。
「喉渇いたでしょ。お水もってくるね」
 今度はせつなを待たせなかった。
 凍りそうなほど冷えたミネラル水を、コップになみなみと注(つ)いで運んできた。もちろん、そ
のコップを直接せつなの口に持っていくほどラブは無粋ではない。
 冷水を少しずつ口に含み、何十回にも分けて口移しでせつなに与える。おまけとして、幸せな
表情で喉を潤すせつなのカラダを、ラブが冷えた舌であちこち舐めまわしてやった。
「きもちいい?」
「うん、また……イキたくなってきた」
 その一言に、ラブがコップを置いた。せつなの発情を匂わす視線に応えて、ラブがたっぷりと
見せつけるように時間をかけて、ルームウェアと下着を脱いでゆく。
 ラビリンスで最も輝くダンサーが、魅惑的に ――― そして蠱惑的に、白い裸体を晒す。身動
きの取れないせつなを挑発するみたいに。
「だめだよ、せつな。次はあたしと一緒だよ。……ほら」
 自分の手を股間に這わし、指で粘つく濡れ肉を『くにくに』とまさぐる。それだけで全身が我慢
できないほど疼くけれど、まだだ。せっかく仕込みが出来たのだから、調理もキッチリとしない
と。

 拘束を解かれた時、せつなの瞳に浮かんだのは少々の不満だった。このまま電流刑とか、
そういう激しい責めを期待していたのだ。
「ほら、メスブタ。言われた通りにして」
 ペットを扱うみたいに、せつなの尻がきつめに叩かれた。「ウン」と返事をする彼女の目から
不満の色が消え、従順な被虐性がそこに宿る。
 やや震える両手でハンディカメラを持ち上げ、電源を入れる。そして、カメラのレンズを顔に
向けたまま、両腕をまっすぐに伸ばした。
「これでいいの? ラブ」
「ん。次はお尻を思いきり突き出して」
 立たされていたせつなが上半身を倒して、腰を後ろに ――― 綺麗な丸みを描くヒップを突き
出す姿勢を取った。頬がうっすらと紅潮するのは、羞恥のためではなく、尻に与えられる鞭打
ちのような責めへの期待だ。
 しかし、違った。
「せつな〜、今日はねえ、コレ使ってみよっか」
 ラブが楽しそうに、細長いガラス製の容器を持ってくる。内部は保存用の薬液に満たされて
おり、10個の珠(直径1cm)を縦に連ねたスティックが浸されている。せつなが直腸用の医療
スティックを色々と改造して作ったアナル用のオモチャ ――― 電動のビーズスティックだ。
「えっ、この体勢で……?」
「そうだよ。いい? 絶対にカメラ落としちゃ駄目だからね、せつな」
 ガラス容器の蓋から飛び出しているビーズスティックの柄を握って軽くひねると、パカッ、と蓋
が真ん中で割れて中身が取り出せるようになった。
 水晶玉みたいに透き通った10個の珠は、ねっとりと青白いゼリーに覆われている。このゼリ
ーは、肛門を軟らかに蕩かせる成分によって挿入をスムーズする潤滑剤であり、かつ腸壁を
清浄に保護する薬剤でもある。
 容器を邪魔にならない場所に置いてから、ラブが柄のスイッチを操作し、ビーズスティックの
一通り機能を試して作動状態を確かめる。 ――― 問題はない。
「よし」
 チラリ、と意地悪そうな眼差しでせつなのヒップを一撫でして、彼女の背後に回りこむ。

 下半身はやや脚を開いた立ち姿勢で、上半身を水平に倒し、真っ直ぐ伸ばした両腕の先に
カメラを持たされて……ひどくアンバランスな体勢で待ちわびていたが、ようやく来た。
 突き出した尻の谷間にあてがわれたビーズスティックの先端が、せつなを焦らすように、ゆっ
くりと上下になぞってくる。
「ふあ…あぁ…あっ、ああぁぁ……」
「挿(い)れちゃう?」
「いいわ。早く来て」
 キュッ、とすぼまった肛門にヌルリ…としたゼリーの感触が這う。ぐっ、と強く押し当てられる
動きに、せつなが「うぅっ…」と声を洩らしてよろめいた。
「ふーっ…、ふーっ…」
 まだ先っぽも入っていないのに、せつなは早くも呼吸を乱している。
(お…お尻の力を緩めないと……)
 頭でそう考えても、こちらの『穴』への挿入は慣れていないせいか、グリグリと硬い刺激を押し
付けられるたび、犯されようとしているアナルが反射的に括約筋を締めて抵抗してしまう。
「あれ〜、せつな、挿(は)いらないんだけど? フフッ、やめちゃおっかな〜〜♪」
「や、やめちゃダメ……お願いだから、ラブ」
 カメラのレンズが無機質に映すせつなの表情は、まるで捨てられかけた犬のような哀れさに
彩られていた。それは見る者全てが『ゾクッ…』と嗜虐性をくすぐられる艶(なま)めかしさだ。
 それが ――― 一瞬で溶けた。淫猥な色に。
 ズプッ、と潤滑ゼリーに包まれた珠の一つが、怯える処女のごとくすぼまっていた肛門に押し
込まれたのだ。
「う゛ッ、ううあぁ…」
 とっさに括約筋の締め付けを強めようとするが、その締まり具合は、さっきに比べるとずいぶ
ん緩い。ゼリーに含まれる成分のせいだ。続けて、二つ目、三つ目の珠が小さな肉穴に潜りこ
んでくる。
「ふぐっ…お゛お゛ぉ…あ゛あぁぁっ、ふあ゛ぁぁっ」
 せつなの口から出たとは思えないような卑猥な喘ぎが、何度も寝室に響いた。肛門にビーズ
スティックを挿入されていく尻が、異物感にわななきながらも10個の珠を全て呑みこんでしま
う。
 気が付けば、両頬を涙で濡らしていた。数回まばたきして、かすんでいた視界をクリアにす
る。両手に保持したカメラが、この情けない顔を無感情に撮影しているのが見えた。
(こんなだらしない顔を撮られて……最低ね)
 せつなが、硬質なレンズに向かって微笑みかける。
(もっと撮って……。メスブタのくせに、プライドを踏みにじられて悔しいなんて思ってる愚かな女
の顔よ)
 股間が熱い。マゾヒズムの悦びが、そこで滾(たぎ)っているに違いない。高感度のヘッドセッ
トマイクは、カメラの映像とセットで、彼女の興奮に酔った呼吸を記録しているだろう。そこに新
たな音声をこぼす。
「ラブ…、お願い、今日は……徹底的に私を踏みにじって」
「こんな感じで?」
 ラブの右脚が持ち上がり、その足の裏で、せつなの尻から突き出たビーズスティックの柄を
踏みつけた。……本当は体重をかけないで足を軽く乗せただけにすぎないが、せつなの歓喜
する表情がカメラに接続されたモニターに映し出される。

 ――― ゾクゾクッ。

(せつなの可愛い顔、これからいっぱい撮らせてあげるね)
 ラブの右足の親指が、柄のスイッチを操作する。微かな駆動音が柄の内部に響き、10個の
珠を構成する物質を、科学的に制御する。
「ア゛ッ…、アッ……ああ゛っ、ほあ゛あ゛ああああっ、はっ…、アッ!? あ゛ああーーっ……」
 たちまち、だだ洩れになるせつなの嬌声。
 一番先端の珠が軟らかに体積を3倍に膨張させ、それが収縮すると同時に二番目の珠が同
じく3倍に膨張……これが順々に10個目までなめらかに連動して、また最初に戻る。
 強制的な排泄の蠕動(ぜんどう)感覚。柄に隠されて見えないが、せつなの肛門は10個目の
珠によって内側からパクッ、パクッ、パクッ、パクッ…と何度も繰り返し押し広げられている。
 スピード調整は『弱・中・強』の3段階で変えられ、現在は『中』だ。それでも直腸に生まれた卵
が肛門に向かって連続で吐き出されるような感触は、充分に強烈だ。
「ああっ、こんなの…凄いっ、漏らしてる……漏らしてるみたいっ! お゛っ…お゛ぉぉっ…」
 排泄感に合わせて腰が無意識に揺すられ、伸ばした両腕の先にあるカメラも上下に揺れる。
これじゃあ涙でくしゃくしゃになったマゾ奴隷の可愛らしい表情がうまく撮れてないよねぇ、とラブ
が残念がるのを他所(よそ)に、せつながレンズを見つめながら激しく喘ぐ。
(まっ、せつなの気分もノッてるみたいだし、あたしも頑張ってサディストしなきゃね)
 ビーズスティックの柄から足をのけたラブが、せつなの右側に移動して身をかがめた。
「せつなって、トイレでもこうなの?」
 侮蔑をたっぷり両目ににじませて微笑みかける。せつなは即座に首を横に振ったが、ラブの
瞳から嘲笑の色は去らない。
「うそつきっ、お尻の快感でヒィヒィ泣いてる変態のクセに!」
 ラブがせつなの正面に回って、揺れているカメラを支えてやる。
「せつなの可愛い笑顔を撮らせてほしいな♪ あたしがこうしてるから、右手で嬉しそうにピー
スサインして」
「わ…わかったわ」
 言われた通りにせつなが右手を離し、顔のそばでピースサインを作る。「ホラホラ笑顔、笑
顔」とラブが催促してきたので、涙まみれの快楽に溶けた表情で無理やり笑ってみせた。
「じゃあ、せつな。カメラを見ながら明るく解説して。せつなはどうしてそんなに嬉しそうなの?」
「そ、それは…漏らしてる、お尻が……とまらなくて……き、気持ちよくて……感じてるの」
「何言ってるか意味分かんないよ。せつなってバカなの?」
「せ、正解っ。メっ…、メスブタだから、バ…バカなのよ」
 不安定な姿勢で尻を揺すりながら、ニッコリと笑いかけるせつな。あとで観たら恥ずかしさの
あまり死にたくなるような映像を撮られていると思うと、両目の端から新たな大粒の涙がポロポ
ロとこぼれ始めた。
(まだ自尊心なんて残ってたのね、私。とっくにラブ専用のメスブタなのに…ふふっ、おかしい)
 排泄器官を10個の珠の蠕動に犯されている上に、その快感に屈服して腰を揺すり続ける自
分が、ひどくあさましい生き物に思えてきて ――― 。
(たとえそれでも ――― ラブと二人きりの時だけは、堕ちていたいの)
 喉もとまでせり上がった嗚咽を抑えて、ラブの投げかけてくる侮辱的な質問に、奴隷としての
返答を返してゆく。ピースサインの隣で、涙に濡れた笑みを浮かべながら。


 後ろに突き出した尻を動かして、ビーズスティックの柄で宙に文字を書く。その動作は、ラブ
が手にしたカメラにしっかりと収められていた。
 内容は、愛する娘への謝罪。お尻の穴を犯されて悦ぶ駄目なママでごめんなさい、こんな変
態メスブタがあなたを産んでしまってごめんなさい、等。もっとも、珠を産む蠕動が気持ちよす
ぎて、文字をつづる尻の動きに『びくっ…びくっ…!』と身震いが混じり、まともに書けた文章な
ど一つもないが。
「よかったね、せつな。これだけ謝ったんだから、きっと許してもらえるよ」
「本当に?」
「でも ――― 完全に母親失格だよね」
 意地の悪い笑い声で、せつなの心を打ち据える。
 せめて嗚咽は洩らさぬように……せつなが両手で自分の口を覆った。双眸から流れる涙が
止まらない。カラダを快感に飼いならされて、精神までも貶められている自分が情けなくて、
(……なのに、ゴメンね。ママの体、こんなにしあわせになってるの)
 股の間から、ぽた…ぽた…と熱いしずくが垂れている。
 ゾクゾク ――― ッと、せつなの背筋が震えるのが、ラブにも分かった。同時に、彼女の口も
とがサディスティックに歪む。
「もしかして、自分だけでイこうとしてる?」
 目の前で上下に揺れ動くビーズスティックの柄を、ラブの手がグッと掴む。
「ああっ ――― !」と声を上げるせつなの尻から『に゛ゅる…』と、3分の1ほどビーズスティック
を引っ張り出された。とっさにアナルをキュッと締めて抵抗したせいで、膨れ上がった珠の抜け
る感触が、信じられないほど甘美に肛門に響いた。
「ふあ゛あああ……っっ」
 せつなの口を大きく割って、卑猥な啼(な)き声が洩れた。ぶるぶるっ、と首を横に振って『抜
かないで』と哀願する。
 上半身を前に倒した姿勢のまま、肩越しにラブを振り返り、涙にぐっしょりと濡れた瞳を後ろ
へ向けた。「勝手にイッたりしないから…」という言葉を呑みこみ、尻を動かしてビーズスティッ
クの柄で文字を書いて嘆願する。
 そのみじめな仕草に嗜虐心を煽られたのか、ラブが蔑(さげす)むように笑う。
「アハハハハッ、そっかー、メスブタだもんねー。人間の言葉しゃべれないんだ」
 汗でぬめった尻の動きをカメラのレンズで追いながら、「せつな、土下座。床におでこくっつけ
て」と命令。「ほら、早くして。足の裏で押し込んであげるから」

 床に両ひざを着き、続けて額も床にこすりつける。哀れっぽく土下座したその身を小刻みに
震わしている感情(モノ)は、屈辱ではなく、淫らな悦びだ。
 肉付きのいい曲線を描く尻がわずかに持ち上げられ、ラブの足が、肛門から生えたビーズス
ティックを奥に押し込んでくれるのを待っていた。
(さてと…)
 カメラを置いたラブが、後ろからせつなの尻を観賞しつつ考え込む。
 ――― もう少し焦らしてあげたほうが、せつなも嬉しいかな?
 高く上げられた右脚が、ビーズスティックを逸れ、せつなの尻を踏みつけた。
「あ、ごっめーん。足が滑っちゃった」
 わざとらしく「足が滑った」と言っては、何回も尻を踏みつける。もちろん、最初と同じくしっかり
手加減した上で。
(せつなのお尻って……ぎゅうぎゅうに詰まったお餅みたい。ふふっ、キモチイイ♪)
(ううぅ、ラブったら。どうせなら、もっと強く蹴ってくれればいいのに)
 土下座の姿勢で丸みを強調されたヒップは、瑞々しい肉厚の感触が気持ちよく、踏みつける
足が止まらない。そんな幸せそうなラブに対して、ちょっと不満げそうなせつな。
 それでもメスブタとして辱められる仕打ちに、せつなは興奮のあまり「あ゛あ゛ぁぁ…」と声を震
わせ、たまらなく全身をうずかせた。
 やがて、ラブの足がビーズスティックに柄に乗せられた。せつなが挿入しやすい角度に尻を
動かすのを待って、ゆっくりと優しく押し込んでいく。
「お゛お…お゛ぉぉ……、ああーっ、すごいっ…!」
 ゼリーのぬめりをまとったビーズスティックが、擬似的な排出運動を繰り返しながら、再び尻
の肉穴深くに沈んでいった。括約筋をパクパク広げながら珠が転がり出るような感覚に、せつ
なは悩ましげに尻を振って喜び始める。
 ――― が、
 ラブの足の指が、ビーズスティックのスイッチを切ってしまう。
「あっ…」
「お尻にご褒美がほしいなら……」
 ラブは白い裸身を泳がせるようになめらかに動いて、軽い足取りでせつなの身体を迂回し、
ベッドへと腰かけた。
「ほら、あたしに美味しいミルクをいっぱいごちそうして。せつなママ♪」

 立ち上がろうとした瞬間、腰が、がくんっ、と落ちそうになった。アナルに深々と埋まったビー
ズスティック、それが与えてくれた快楽の痺れは、腰の奥に卑猥な熱となって溜まっている。
(あっ…)
 せつなの双眸が閉じられ、睫毛(まつげ)が震える。せつなの右手は自然と股間に伸びて、淫
らな官能が響いている部分をさわってしまう。
 不意にラブの瞳がいたずらっぽく輝き、その両目がサディスティックに細められる。
「せつな」
「わ…わかってる」
 仕方なく、今すぐいじりたいのを我慢して、快楽の慰めを欲している濡れ肉から指を離す。
 ベッドに座るラブの前に立ち、左右の乳房に下から手を添えて、その魅惑的なボリュームを
差し出すように前かがみになった。
 興奮のためにかすれた声で、せつなが尋ねる。
「どっちにする?」
 ミルクのたっぷり詰まった白いふくらみの先端では、メラニンの付着で色付けされた乳首がな
まめかしく尖っている。右と左、どちらも早くラブの口に含んでもらいたくて、待ちきれない。
「うーーん」
 わざとらしく悩んでみせるラブ。両手が持ち上がって、真っ直ぐに立てた人差し指が同時にそ
れぞれの乳房の真ん中へ ――― 硬く尖った乳頭がラブの人差し指に突かれて、『クニュッ
…』と乳肉に軟らかくめり込んでしまう。
「えっ…?」
「さーて、どちらから先に飲んであげようかなぁ〜♪」
 感じやすいバストの先っぽが『フニフニ…』と人差し指で交互に突かれ、遊ばれ始めた。
「こ…こらぁ、ラブ〜〜〜っ」
 乳房の軟肉に押し込まれた乳突起は、濃い目の乳輪から姿を見せることなく、ラブの指の下
で延々と押し転がされていた。もどかしいような気持ちよさで、せつなの性器が、じわっ、と潤
う。
「もう、あんまりいじると母乳が勝手に漏れちゃうかも……」
 せつなの尻が、小さな電気に何度も打たれているみたいにピクピク跳ねる。それが時折大き
な震えとなって、ビクンッ、と腰を痙攣させた。
「お願いっ、ラブ、早く…早くママのオッパイ、全部飲んでっ!」
 膣の奥が熱くたぎってきてガマンできない。胸の先がジンジンと猥褻な響きにうずいて、頭が
おかしくなりそうだった。