逢 瀬 05


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 びくっ!
 ラブの細指が、かっ、と宙を引っかく。ひざを深く曲げさせられた両脚が、びくびくとわななく。
 手首足首を一(ひと)くくりに縛り上げるカタチで、右手首と右足首、そして左手首と左足首
が、細ロープによってきつく結ばれていた。
 まともに身動きの取れなくなった不自由なカラダは、強制的にガバッと開脚させられた姿で、
床の上に仰向けに転がされている。
「はっ、かっ…あ、ああああ……」
 ラブの裸身が、びくんっ!びくんっ!と強く痙攣してグッと弓反った。後頭部がぐりぐりと床をこ
する。
 その暴れ悶える下半身に顔をうずめていたせつなが、べったりと口もとを濡らして顔を上げ
た。
 手元にあるストップウォッチを見て、
「3ラウンド目が終了したわ。……じゃあ、続けて4ラウンド目 ――― 」
「やっ…許してっ、あたし、も…もうイッって……ッ」
「遠慮しないで。あんなにイキたがってたのに、これぐらいで満足なんて冗談よね? さあ、まだ
まだ時間はたっぷりあるわ。ふふっ、ラブが泣いて謝っても許さない」
 その宣告を鼓膜が拾った瞬間、ラブのカラダが、びくっ、と怯えるみたいに震えた。
(ゆるして、ゆるして……おねがいだから、せつな、もう助けて……)
 悲しげに開かれたラブの両目は、涙の潤みを帯びていた。
(でも、あたし、これでいいのかな? これって……せつなに愛してもらってるんだよね)

 もし自分が逆の立場だったら、
 東せつなという少女を、もっと自分だけの所有物(モノ)にしたくて、きっと……。

 そんなラブの思考は、せつなの呼吸が秘所をくすぐった途端に脳から弾き出された。
 熱くぬめった汁溜まりに、再びせつなの唇があてがわれる。ピチャ…と濡れた音を響かせ舌
が這い、ねっとりと糸を引くような淫らな動きでそこをかき回してゆく。
「ああっ、せつな…やめ ――― ぐっ!」
 まだ絶頂に達して間(ま)もない性器は、まるで感電した神経をむき出しにされたような状態
だ。舌による粘膜への愛撫は、今は拷問に近い。
(これっ、すご……駄目、これ以上されたら壊れる……こわれっ……ああぁっ)
 せつなの舌先を怖がるかのように、ヒクッ…ヒクッ…と膣穴が収縮する。そんな様子を面白が
るかのごとく、舌がゆっくりと嬲りにかかってくる。さらに、そのすぐ上を攻める指の動きも加わ
った。
「もっとよ。もっとラブを気持ちよく狂わせてあげる」
 ぷっくり充血したクリトリスを、バイオリンの弦を弾(ひ)くみたいな優美な指使いで撫でさす
る。その刺激を受けて、ラブの腰が右に左に、くねぇっ…くねぇっ、と軟らかに床の上をのた打
ち回る。
「くう…ふああぁぁっ……あっ、ぐっ……やめて……あ゛あ゛……指、やめて……」
 過敏な快感の芽(め)をいやらしい指使いでいじり転がされ、とても耐えられない。しかし、手
足を一緒に拘束された無様な姿では、逃げることも抵抗することもできない。
 めまいを覚えたみたいに、意識がぐらりと揺れた。
「だめ、もう…あっ…あっ……腰、来る……!」
 あどけなさを残す乳房の稜線が、ぶるるっ…と悩ましげに揺れた。ちろちろちろ…っと秘所を
細やかに舐め洗う舌使いによって、甘美な電気が全身に流れっぱなしになっている。
(またイカされるっっ……!)
 ラブが心の中で悲鳴を上げた。
 膣の内側 ――― けがれのない肉襞(にくひだ)を、わいせつな悦びが『ゾゾゾゾゾッッ…』と
舐め上げてくる。限界だった。ラブが意識を真っ白に飛ばしながら叫ぶ。
「だめ…無理、アアッ! これ…もおっ、ふあ゛っ、イグ…またイクッ……あ゛、くうううっ!」
 女の子にとって一番弱い場所を、延々と快楽漬けにされた上での陥落。
 びくんっっ、びくんっっ、と身体の芯が激しく跳ねて、なまめかしく汗ばんだ裸体をラブの意思
とは関係なく暴れさせた。


「……すごいイキ方したわね、ラブ」
 手首足首を結びつける拘束を解かれても、ラブは失神したままだった。少女の柔肌には、ビ
クビクビク…とさざ波のような痙攣が残っている。
 ぐったりと弛緩した両腕と両脚をなるべくそっと床に下ろしてから、せつなは優しくラブのカラ
ダの上に馬乗りになった。
 せつなの両腕が、ラブの顔へと伸びる。その左右の手を彼女の両頬に添え、自分のほうを向
かせた。
「あなたの負けよ。これでラブは正式にわたしの所有物(モノ)。
 ――― はじめまして、東ラブ。わたしが一生かけて可愛がってあげる」
 この先何が起ころうと、離れない。離す気もないし、誰かに譲る気もない。
「ラブ、あなたはわたしの心臓」
 ラブのまぶたが、ピクッ、と反応した。しかし、まだ目を覚ます気配はない。
 くすくす…。
 せつなが限りない愛しさを瞳にたたえて、ラブの顔を覗き込む。
「これはもう、好きとか愛してるとかいうレベルじゃないの。言葉じゃ語れないくらい、今のわた
したち二人のつながりは強い。……そうでしょう?」
 やわらかな頬に当てた左手でラブの顔を支えつつ、ゆっくり持ち上げた右手の指を…。
「…ん…んっ……ん、ん」
 意識の無いラブの口から、微かな声が洩れる。
 せつなの悪戯な指が、ラブの顔のあちこちを這い回って、こしょこしょとくすぐっているのだ。
「くすぐったいの? それとも感じてるの?」
 上唇をスー…と右になぞった指先が、今度は下唇の上をすべって、スー…っと左に戻ってき
た。びくっ、とラブの顔が反応して、目覚めの予兆を見せた。
(……くすぐったい、これ…せつなの指だ……)
 ちゅっ。
 唇を撫でていた指先に、軽くキス。
 ゆっくりとラブのまぶたが上がって、せつなと視線を絡ませあう。
「おはよう、せつな。……まだ夜だけど」
「気分は?」
「こわいよ。……あたし、これからどうなるの?」
 せつなが静かに両目を閉じて、少しの時間考えた。
「そうね。わたしのカラダにしたいイジワルをたくさん想像して。
 そして、それを教えて。 ――― わたしはそれを全部、ラブに対して行う」
 所有物に拒否権などない。ラブの両手が、せつなの右手を包んで自分の唇まで運んだ。
 その手の平に添えた唇の動きで『はい』という意志を伝える。
 なまめかしい、忠誠の誓いの仕草。
 手の先から『ゾクゾク…』と官能的な歓びが這い登ってくる。それだけで軽く達してしまいそう
になる。せつなが表情をうっとりと上気させて、かすれた声でラブに命じた。
「でも、その前にまず、この喉の渇きを癒して。ラブ、あなたがいやらしく股の間に垂らしている
それで……」
「はい、せつな」
 従順な返事と共に、手の平を吐息がくすぐった。せつなの唇が「ああ…」と桃色にかすみそう
なつぶやきに震える。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「やっぱり、ラブにはこれがあったほうがいいわね」
 ラブがせつなを責めるのに使った細ロープを手に取る。
 短く切った二本の細ロープを使って、ラブの髪の両サイドを縛ってアップにする。いつも彼女
が使っているシュシュの代わりとしてはあまりにも安っぽいが、
(今のあたしには、こっちのほうがお似合い)
 所有物(モノ)に堕ちた自分を省みて、ラブの口もとが微笑のかたちに緩んだ。

 全裸の立ち姿を晒すラブの両手首が、後ろ手にきつく縛られる。
 自由を奪われたとたん、淫らにとろけていた白い肌が粟立った。
 それなりに発育の良いバストやヒップが、ふるふる…と小刻みに震えている。怯えているわけ
ではない。待ちきれないのだ。
「手、きつすぎない?」
「ん、きついぐらいのほうが、かえって興奮するかも…」
「問題ないわね」
 両手首を縛ってなお余りある長さの細ロープの端を取って、せつなの手がそれをラブの両脚
の間へと通した。そして、グイッと引っぱり上げる。
「ン゛っ…」
 やわらかな尻肉の谷間を割る細ロープの刺激は、そのまま濡れそぼった恥裂にも繋がる。
熱く潤う内側の粘膜にも食いこんできて、痛い。
 ……だが、その痛みの感触に、責められる被虐的なヨロコビを学習しつつあるラブが、腰と
両ひざをガクガク…と震わせ、その場にへたり込んでしまいそうな気配を見せた。
「駄目よ、ラブ。わたしの許可もなく立った姿勢を崩さないで」
 細ロープが容赦なくギリギリと股間を責め立ててくるが、せつなの命令に従いたいという『想
い』が、ラブの両ひざに鞭を入れる。
「そうよ。いいわ、ラブ。それでこそわたしの所有物」
 奴隷以下の名称を使って、せつなが褒めてくれた。うれしい。

 裸身の前方に回った細ロープが、ラブの口もと近くまで引っぱられてきた。
 せつなの眼差しに瞳を重ねて、小さくうなずく。自分からその細ロープをくわえようとするが、
あとわずかな所で届かない。どうしても細ロープに口が届かず、もどかしげに舌を伸ばしてロー
プの端を絡めとろうとまでする。
「どうしたの、ラブ? 早くくわえれば? ふふっ」
 そんな彼女の無様な姿を、せつながなぶるように眺める。
「うっ…う……」
 首を深く曲げ、限界まで伸ばされたラブの舌が、細ロープを捕らえようと懸命に泳ぐ。しかし、
細ロープの端に舌先がかろうじて届くものの、とうてい口まで持ってこれそうにない。
 無理な努力を続ける健気な姿に、せつなの嗜虐性が刺激される。わざと冷えた声音を吐き
出した。
「さっきから何をしているの、ラブ。まだなのかしら? このロープをくわえるだけ……そんな簡
単なこともできないの? わたしの所有物として認めてあげようと思ったのに、失望した」
 突き放したような言い方に、ラブが悲しげなシワを眉間に寄せた。
「そんなっ…お願い……もう少しだけ待って」
「……待って? 所有物(モノ)の分際で、所有者であるわたしにお願い?」
「ごめんなさいっ、すぐに…すぐにっ……」
 このやりとり。今すぐにでもラブを力いっぱい抱きしめたいという愛しい感情を抑えて、せつな
がさらに声を冷えさせた。
「いつまでかかるのかしら、これ」
「も…もうすぐ……あぐ…」
 舌がつりそうになってくる。でも、ラブはやめない。
「うっ、届かない…よ……、ううっ」
「さっきから何一人で遊んでいるの、ラブ。さっさとしないと、ラブを捨ててラビリンスに帰るわ
よ」
「やだっ、捨てないで…あたし、もっとがんばるからっ…」
 いくら舌を伸ばしても届かないのに……。愚かしいチャレンジを続けるラブを見ていると、せ
つなの秘所が欲情で熱く沸いてきて、たまらなくなる。
「ほらっ、こうすれば届くでしょっ!」
 細ロープをつかむせつなの手が、グッ!と乱暴に持ち上がった。反対側の端 ――― ラブの
両手首が強く引っぱられ、股間の食いこむ痛みも一気に強烈になる。
「……ッッッ!!」
 処女の部分をこんなに激しく責められるのは、ラブにとって初めての体験だった。
 それでも、顔を歪めながら、必死に細ロープの端にかじりつく。
 最初のゲームの時とは違い、端に結び目がないせいで、細ロープが簡単に口からすっぽ抜
けてしまいそうだった。ラブがあごに力をこめて、ギリッ…と細ロープを強く噛む。
「ラブ、わかってるわね。そのロープを口から勝手に離したりなんかしたら……そうね、お仕置
きとして、ラブのお尻の穴にすりおろしたニンジンを浣腸しちゃうなんてどうかしら?」
 
 ゾッ ―――― 。
 ラブの両目が大きく見開かれる。

 ラブの背後に回ったせつなが、静かにカラダを寄せて、ぽん、と両肩に手を置いてきた。それ
に対するラブの反応は、ビクッ、と跳ねるような震え。明らかに怯えていた。
「ラブはお尻の穴が好きなのよね。ふふっ、口から食べるのが苦手なものでも、こっちからだと
意外に美味しくいけるんじゃないかしら」
 そう言って、せつなの手の平が、尻肉の丸みをスッと撫でる。
(そんなことされたら……あたし死んじゃう)
『きゅうぅぅっ』と胃が縮こまるような感触に襲われ、顔を蒼ざめさせてきたラブの背中で、せつ
なが天使みたいな笑顔を浮かべた。
「じゃあ、今からラブがすることを説明するわ。このきつく食いこんだロープを使って股間を刺激
するの。……こんな風に」
 せつなの右手がラブの後頭部に添えられ、ぐりぐりと動かされる。
(だめっ、ロープが口から外れるっ)
 本当にギリギリの所で細ロープをくわえているというのに、こんなに頭部を振ったら……。ラブ
の首にグッと力がこもり、その動きに抵抗を示した。
「………………」
 せつなが黙ったまま、さらに手の力を強めてきた。抵抗は無駄だと悟る。ピンッ、と張った細
ロープがラブの頭の振れ具合と連動して、秘所の恥肉を乱雑に擦(す)ってくる。
「ほら、こっちもよ」
 今度は左手が腰に。そして動きを強要される。
「どんな感じ? ラブ。このきつい刺激で、あなたの股の間から、いやらしい体液をいっぱい搾
り出すの。出来そう?」
 後頭部に添えた右手の平に、微かに上下する動きが伝わってきた。

 せつながラブの背中から身を離す。
 さっそくラブが頭や腰を揺すって、細ロープの食いこみのきつさに悲鳴を上げている性器をな
ぶり始めた。
 噛み締めたロープの端っこが、いつ口からすっぽ抜けてもおかしくないような状態なので、そ
れほど大きくは動けないが、頭部や腰のダンスにあわせて、乳房や尻の柔肉が微細に揺すら
れる様(さま)は、見ていてとてもいやらしい。
「誰に習ったの、こんなダンス」
 せつなの手が、パシッ、とラブの尻肉を打った。
「んんっ!」
 ラブが鼻にかかったうめき声を不自由な口から洩らした。
 本当に軽く叩いただけで、痛かったはずもない。せつなが女の勘を働かせて、ラブの心理を
読み取った。
 確かめてみようと、また手の平で、パシッ、と軽く尻の柔肉をたたく。ラブが嬌声にも似たうめ
き声を洩らす。
(そう…。そうなのね、ラブ)

 細ロープがぐっしょり濡れた性器を休みなく擦りあげる。その動きが徐々に激しくなってきた。
そして、尻、肩、背中のあちこちでパシッ、パシッ、と鳴っていた軽い音もペースを速める。
 せつなは手首のスナップを利かせてぶつだけで、決して強く叩かない。
 けれど両手首を緊縛され、そんな自由奪われた状態で叩かれるという行為自体が辱めとな
って、ラブをある種の興奮へと導いていた。
「次はどこをたたいてほしいの? ここ? それとも…ほら、もっと腰を揺すっておねだりして」
 パシッ、パシッ、と肌の上を跳ねる音は鳴り止まない。たたかれるのに合わせて裸身を気持
ちよさそうにくねらせる動作が、中学三年生の少女とは思えないほどに卑猥だった。
 せつながたたく手をとめずに、ゆっくりとラブの正面に回った。
 今度のパシッ、という音は、ラブの頬で鳴った。
「んーっ…!」
 細ロープを噛み続ける不自由な口が、苦鳴っぽいうめき声を吐き出した。
 再びせつなの手の平が、ラブの顔をたたく。「ううーっ!」と洩らすうめき声に、微かな怯えが
混じっているのを、せつなの耳は聞き逃さない。
「ふぅん、顔を叩かれるのは嫌なのね、ラブ。……でも、叩かれている自分に興奮してしまう。そ
れってとてもみじめで、なのにすごく感じてしまうでしょ?」
 その言葉の間にも、パシッ、パシッ、という軽い音がラブの両頬で鳴っている。せつなの両瞳
は、まるで自分がぶたれているかのように恍惚と潤んでいた。この責めを味わえる今のラブが
うらやましくて仕方がない。
「ラブ、ロープの動きが止まってるわよ。気持ちよすぎて何も考えられなくなってしまったの?」
 実際ラブは失神寸前だった。
 延々と途切れることのない快楽の責めに、精神がぐったりと疲労してきている。ぼんやりと霞
がかった頭の中は、恥辱的な性欲の信号によってぐちゃぐちゃにかき乱されている最中だ。
 
(出来上がりは上々ね)
 ラブの股の内側に手を這わせて、指先に粘液を絡みつかせながら状態を確認したせつな
が、ごく…と小さく喉を鳴らした。
 続いてラブの口に手を伸ばし、きつく噛み締められた細ロープをそっと引き抜こうとする。
( ――― ッ!)
 途端にラブの意識が覚醒。細ロープを噛み破らんばかりにあごの力を強めてきた。
「ラブ、落ち着いて」
 そんなラブに、せつなが微笑みながら優しく語りかける。
「準備は終わりよ。今からは、ラブの腰で沸かせた美味しいスープを……」
 ラブの顔の前で大きく口を開き、自分の口腔の奥を指差しながら、
「……………………」
 せつなが熱く潤んだ眼差しをラブの瞳に重ねた。
 しゃべれないけれど、意味は通じる。
 せつなの喉の奥は、ラブのねっとりした愛液で汚れたがっている。
 ようやく細ロープを外してもらえたラブの口が、自然に「はい」と返事する。


 はらり…。
 せつなの手によって解かれた細ロープが床に落ちる。自身の汗ばむ黒髪をかき上げ、ラブ
の太ももに腕を絡めながら、ズルズル…とその場に伝い落ちる。
 つー…っと、こわばった乳首が皮膚をなぞってゆく感触がくすぐったく、ラブが「ああっ…」と立
ったまま身悶えた。
「ふ〜ん、ラブはコレがいい? でも、わたしは ――― 」
 せつなが床に尻を着いて、顔を上向かせる。その端麗な面立ちは、淫らに溶け崩れて、熱く
上気した息を吐いている。
「こっちが好きよ」
 両脚の間に伸びてきた手が、ラブの猥褻な部分を愛しげに愛撫する。粘つく体液の、鼻をつ
く媚臭(びしゅう)に昂ぶったせつなが、喘ぐような声で命じた。
「さ、早く飲ませるのよ」
「…ハイ」
 陶然とした眼差しをこぼすラブが、白い太ももを開いて、その間にせつなの顔を招き入れた
状態で腰を落とす。せつなはゆったりと全身を弛緩させて座りながら、顔に押しつけられた卑
猥な濡れ具合を堪能する。
「ああ…せつなの顔が……また汚れちゃうよぉっ」
 ゾクゾクッッ…と背筋を震わせ、ラブが感極まった喘ぎ声を洩らす。まだ身体の芯には絶頂
の余韻が微かに残っているというのに、
(あたし、またイキたがってる……。せつなにいっぱい飲まれちゃうのを想像したら、もう…ガマ
ンできない……)
 せつなの頭部にそっと両手を添え、身体のバランスを保つ。ぬるっ…とせつなの舌が秘所を
這うのを感じて、尻部の丸みが、ぶるぶるっ、とわなないた。
「はあっ……う…」
 悩ましげに色気づいた瞳が天井に向けられる。
(舐められてる……ゆっくり脚の付け根のほうに移動しながら…せつなの舌、くすぐったい…)
 せつなが舌を引っこめて、『ちゅっ、ちゅっ』と小刻みなキスで、皮膚を濡らす愛液を吸い上げ
る。舐められるのとは違う刺激に、ラブが腰をくねらせて、なまめかしく下半身を悶えさせる。
「ひ、ひぁ…だめっ、う、くすぐったいっ」
 キスの音が『ぢゅっ、ぢゅっ』と力強さを増して、よりきつく肌に吸いついてくる。びくんっ、とラ
ブの腰が跳ねる。ラブの股の間に潜りこんだせつなの頭部がぐりぐりと動く。
 せつなが額にかかる前髪をべったり濡らしつつ、愛液を漏らしている恥部の周辺から、唇と
舌を使って丹念に味わっていく。淫らな粘液の味に酔いしれて、吸いつき方も舐め方もいやら
しくなってくる。
「だめ、せつな、そんな風にイジワルしないでっ……」
「イジワルじゃなくて、ご褒美よ。ラブを気持ちよく……させてあげる、はむっ…んっ」
「噛んじゃ…ダメッ……あ、くっ」
 太ももの内側を軽く甘噛みされ、ラブの背筋に電流のような痺れが走る。ビクッ!と跳ね上が
った右手のこぶしが、口もとに当てられる。
「だめ、このままだと……イッちゃう」
 その言葉にせつなは何も言わず、ただ、ラブの足の甲をキュッとつねり上げた。所有物の分
際で、勝手にイクなんて許可していない。「ひっ!」と声を上げたラブが、ガクガクと首を何度も
縦に振ってうなずく。
「が…がまん…するから……あっ、うぅ…」
 口をふさぐように当てた右のこぶしが、ぶるっ…、と震える。つねられる痛みに『ゾクッ』と感じ
てしまったのだ。
「せつな…美味しい?」
「ええ…」
 秘所の周辺にあふれた愛液を全部舐めつくしたせつなが、ねっとりと恥裂を濡らす処女の蜜
を舌先ですくう。ごくっ、と飲み干しても、粘っこさが口や喉の奥に残る感じだ。

 ちゅぢゅ…ぢゅるっ…ちゅううううううううううっっ…………。

 とろけた恥裂の肉唇にくちづけして、思いっきり愛液を吸い出す。ラブの両ひざの裏が、感電
したみたいにピンッ!と張り、上体が倒れそうなほど前のめりになる。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!」
 眉間に険しいシワを寄せ、必死で快感をこらえるラブ。しかし、裏腹に白い裸体の隅々までが
快楽に嬉々としている。
(ごめん、せつな。あたし、このままだと……耐え切れな ――― あ゛あっ!)
 長い吸引が終わったと思ったら、今度は舌による卑猥な動きが、しどけなく濡れ喘ぐ性器の
上を這い回ってきた。腰から下が甘美に溶けてしまいそうな気持ちよさに、ラブが尻の丸みを、
びくんっ、びくんっ、と弾ませる。
「ふふっ、今からラブのここを泡立ててあげるわ」
 侵入(はい)ってくる ――― と感じた瞬間、粘液にまみれた秘貝をにゅぷり…と割った舌先
が、ラブの内側をなぞり上げてきた。その動きに沿って、敏感な恥肉が『ビクビクビクビクッ』と
感じさせられる。
「くうっ! うううう……ううぅぅーーー」
 せつなの黒髪をぐしゃっと乱暴に鷲掴みながら、真っ赤に上気した顔で耐えるラブ。しかし、
愛液でぐっしょりぬれた膣口を丁寧に舐め回されると、たちまちその表情が崩れる。
(すごいっ、気持ちよくて……すごいのっ、せつなの舌が…あぁんっ!)

 ぞぞっ…ぞぞぞっ……。

 ラブの左足がつま先立ちになり、それに伴い腰の位置も微妙に高くなる。少しでもせつなの
舌から逃れようとする、無駄なあがきだ。
「だっ…だめ…あっ、あぁぁああ……あっ、嫌っ、アッ! やっ、かき回しちゃ……だめぇっ!」
 にちにちにちにち……、愛液をこびりつかせた舌先が、一番感じやすい場所でこまやかに踊
る。ラブの気持ちよくなるポイントを熟知した舌使いに攻め立てられて、ガマンできるはずもな
い。
 ラブは観念したように両目をつむって、乙女の秘所が甘美に沸きあがってゆくのを感じた。
 びくっ……びくっ……。
(だめ……あたしのカラダ……、もう、半分イッちゃってる……)
 つま先立ちのまま、ぷるぷる…と震えていた左足が、かかとを床に着けた。
 背筋を、ビクンッ、という強い痙攣が駆け抜ける。
(せつなの舌使い……どんどんイジワルになってく……だめ、狂わされるっ)
 ラブの内側を徹底的に責め抜いてくる舌の動きに、我を忘れて降伏の悲鳴を口走った。
「ごめんなさいっ、せつな、イクッ! イクのっ…あたしイッちゃうの!」
 ガクンッと背筋をそらせて、「ごめんなさいっっ!」と泣きそうな声を大きく放った。
 絶頂の波が、骨の芯に叩きつけられる。
 激しいめまいの感覚と共に、自分を抱き支えてくれる柔らかいカラダを感じた。
(せつな…)
 その名前を脳裏に浮かべて、ゾッ ―― と全身に鳥肌を立たせた。
(せつなの許しがないままイッちゃったから……絶対ひどい目に合わされるんだろうな)
 愛する人のお仕置きに怯えながら、それでもラブは、せつなのカラダが発する熱い体温に身
をゆだねて、幸せなまどろみに浸った。