お姫様と狼は一夜限り… 02
「のぞみのほうこそ降参しちゃえば〜?」
正直、もうあと十秒ほども指の付け根の間を攻められたら、ふにゃっ…と腰が崩れてしまい
そう。しかし、持ち前の負けん気を奮い、気丈に表情を塗り固めて攻勢に打って出た。
りんの右ひざが優しく、巧緻な動きで乙女の秘所をさすってやる。フィールドでサッカーボール
を自在に操る業師(わざし)の脚使いは、ベッドの上でも有効だった。
「ここをこうされたら……さらにこ〜んなコトまでされたら、ねっ、たまんないでしょ?」
愛液にネットリ濡れた恥部を、りんの右ひざが舐めるように愛撫する。上下左右のなめらか
な動きに加え、フェイントも織り交ぜて、女の子最大の弱点を狙い打つ。
「あっ、りんちゃん……やだっ、足でなんて……うくっ」
のぞみの白い喉が仰け反って、言葉を詰まらせた。
スリスリ。敏感に感じきった恥裂の筋に沿って、右ひざが柔らかくこすり付けられる。クリトリ
スへの刺激も優しく行われる。のぞみの腰が何度も小さく跳ねた。
「りんちゃ……はぅっ、や……あッ、あっ、そこ、だめ…そんなに……あっ、やだっ、あんっ、りん
ちゃんっ、…ひっッ、やだっ……くぅ……りん…ちゃん…」
のぞみの両目の端から、小さな涙の粒がこぼれ落ちた。
カラダが快感に抵抗する気配をちょっとでも見せれば徹底的に攻めてくるのに、逆に、快感
を求める姿勢を少しでも見せれば退いてしまう。のぞみには、りんのイジワルな攻め方にただ
ただ翻弄される ―――― それ以外の選択肢がなかった。
右ひざが余裕を持って恥肉をこねまわす。ぐりっと強く押し付けると、恥裂から愛液が『くちゅ
っ』と溢れてくる。
「りんちゃん、だめだよ……ひあっ…あっ、やだっ、りんちゃん、りんちゃぁんっ」
濡れた声音で媚びるように、のぞみがひたすら喘ぎ続ける。りんの右手も掴んでいられなく
て、ぽろりと落としてしまう。敏感な性器にとめどなく快感を注ぎ込まれるのは、拷問に近い。
また、のぞみが涙をこぼして、もう耐えられないという風に頭を左右に振った。
りんが両目を細めて、そんな彼女の様子を愛しげに眺める。
―――― そろそろトドメ刺してあげようか。
りんの瞳が気まぐれな色を浮かべ、唇を笑みのカタチにゆがめた。
のぞみの股間から、右ひざが離れる。呼吸を乱したのぞみが、どうして?という表情で、りん
を見返してきた。
汗で蒸れたスリップが肌に張り付き、なだらかなカラダの凹凸をくっきりと浮かび上がらせて
いてなまめかしい。大きな瞳が涙で潤んで、捨てられた子犬みたいにりん見つめる。
「……やめちゃうんだ」
「ちがうちがう。最後まで足じゃ、かわいそうでしょ?」
のぞみの顔の前に、さんざん舐めしゃぶられて、てらてらと唾液に濡れた右手をかざしなが
ら、
「せっかくだから、のぞみが舐めて綺麗にしてくれた手で気持ち良くしてあげる」
「りんちゃん……」
のぞみの頭がベッドから持ち上がって、りんの肩にすり寄せられた。子犬の可愛らしいおね
だりに、りんの表情が優しく緩む。
「素直な子は好き」
のぞみの髪にくちづけを添わせ、右手をそっと脚の間へ ――― 。
「あ……、ああッ!」
のぞみの声が大きく跳ねた。『くちゅ』と愛液が糸引く粘っこい音に続いて、りんの指が恥裂を
浅く割って、その内側に滑り込んできた。ぞぞぞっ…と、のぞみの背筋を初めて味わう類の快
感がなぞり上げた。
「どう? スゴイ?」
濡れた媚肉を内側からゆっくりと擦り上げる、なめらかな指の往復。敏感すぎる粘膜への刺
激は、その程度の指の動きで十分に女の子を狂わせられる。イヤラシイ疼きが、容赦なく無垢
な性器を沸かす。
「…………ッッ!!」
喘ぐ声も出ない。のぞみが、りんの肩にすがりつく。ゾクッ、ゾクッ、と背筋を這い上がってくる
快感が止まらない。
「もっと指の動き速くしてみよっか?」
のぞみが、りんの肩に頭を密着させたまま、慌てて首を横に振る。なのに、指の動きは速さ
を増し、ますますのぞみを逃れられない快感で責め立ててきた。
(いじわるぅっ!)
のぞみが心の中で叫んだ。りんは最初から、のぞみが首を縦に振ろうが横に振ろうが、おか
まいなく指の走りを速めるつもりだったのだ。
(ふふっ、のぞみをイジメるの……クセになりそう)
りんが、興奮で上気した表情を、サディスティックな嬉びに輝かせた。快感が欲しいのなら、
気が狂うまで流し込んでやろうと思う。りんの指を受け入れている、女の子の一番大切な部分
に。
(あははっ、イッちゃえイッちゃえ、のぞみっ!)
のぞみの腰が、りんの指に対して許しを乞うように『ビクビクッ!』と痙攣した。かわいそうだ
けど、許してやるつもりなんてない。なまめかしく腰をくねらせ、なんとか逃げ場を探そうとする
が無駄なあがき。むしろ抵抗したお仕置きとして、りんの指使いがイジワルさを増す。
(やだっ、こんな……こんな激しくっ……!)
愛液の粘っこい水音が部屋に大きく響き続ける。自分の股間が立てる卑猥な音に、のぞみ
が恥ずかしそうにギュッと眉根を寄せて、顔をしかめた。
「くうぅっ!」
食いしばった歯の間から、うめき声が洩れた。やわらかく蕩かした性器を舐めまわす指の動
きが変化して、膣の入り口をクニクニといじってきた。
「んー? ここ? のぞみが大事に守ってる処女の部分は」
りんの口元に、とびっきり底意地の悪い薄ら笑いが浮かんだ。
「……ふ〜ん、ちょっとだけ指入れちゃおっかなぁ?」
「やっ……ダメダメダメダメッッ!」
のぞみが、今まで以上に激しく首を横に振る。そこだけは ―― 。
「お願い、りんちゃん……」
「お願い?」
「うん、お願い……お願いだから……」
「うんうん、そっかそっか。仕方ないなぁ。のぞみのお願いだもんねぇ」
物分りよさそうな笑顔になって、りんがクスクスと忍び笑いを洩らした。
「ホント仕方ないよねぇ。そこまで入れてほしいなんて『お願い』されちゃったら」
そんなこと言ってな ―――― !?
のぞみが愕然とするよりも早く、背中に回された左腕が、彼女の身体をガッシリと抱き寄せ
た。鉄の檻みたいに固く、きつい抱擁。
密着した胸から伝わってくる鼓動が、情熱的にのぞみを口説き落とそうとする。
熱い吐息が、のぞみの唇を強く強く求めてくる。
(ごめんね、りんちゃん。こんなことしてくるりんちゃんを、ちょっとだけ軽蔑しちゃうね)
だからね、あたしのことも軽蔑していいよ。
のぞみが唇を許す。わざと乱暴に、むさぼるように押し付けられたキスが、のぞみの興奮を
昂ぶらせる。本当に心から愛している人に捧げるべき大切な大切な場所なのに、それを犯そう
とする指が恋しくて待ちきれない。
のぞみの目尻からこぼれ落ちていく、宝石のように綺麗な涙。キスで唇同士が繋がったま
ま、のぞみが首を縦に振った。いいよ、と。
キスを解かないまま、りんが、わかった、と頷き返してきた。
優しい指使いで性器を愛撫し、膣口に這わせた中指にゆっくりと力を込めていく。『にゅぷっ』
と粘つく愛液が潤滑油となって、指の先っぽが小さな穴に滑りこんだ。
「う゛っ!」
のぞみの腰が、びくんっ!と後ろに引かれた。りんが唇を離して、優しく話しかけた。
「大丈夫……? こわくない?」
「…うん。ちょっとビックリしただけだから」
りんちゃんとだったら大丈夫、こわくなんてない、と自分に言い聞かせる。
「でも、奥まで入れたら絶対にダメだよ?」
「えー? ダメなんて言われたら、逆に入れたくなっちゃうなー」
「もう、りんちゃ〜ん…」
ちゅっ。甘えるようなキス。たくさんイジワルしてきて、たくさん優しくしてくれるりんが大好き。
りんのほうからも、ちゅっ、とキスを返す。のぞみをいっぱいイジメてしまうのは、好きっていう気
持ちの裏返し。
秘所を優しい愛撫で落ち着かせてから、再び指に力を込めた。のぞみの腰がやっぱり怖が
る反応を示したが、それでも今度は逃げない。
淫らな蜜で潤んだ小さな肉穴に、りんの指が第一関節まで押し込まれた。
「……っ!」
のぞみが悲鳴を呑み込む。今まで触れられたことのない、敏感すぎる性感帯をいきなり刺激
されたのだ。電気でも流されたかのごとく、のぞみの全身が硬直する。
(は、入ってる、りんちゃんの指っ)
体の内側から初めて味わう刺激に、戸惑いと快楽が混じり合う。腰の震えが止まらなくて、泣
きそうな顔になってしまう。
「のぞみ、あたしの指……ほらっ、わかる?」
りんが、右手を軽く動かしてきた。膣口から膣内へのゆっくりとした往復。出たり入ったり……
緩やかな指のスピードに合わせて、甘美な快感が狂ったように突き上げてくる。
興奮の汗であやしく色付いた腰がひくひくと悶える。
「ふあぁ……りんちゃ…ん」
腰の奥が快楽で煮える。全身が溶かされてしまいそう。のぞみがブルブルッと震えながら、り
んの肩につかまった。
(これすごいよう……。奥まで入れられたら、絶対気持ちよすぎて死んじゃうよう……)
指が出入りする回数に比例して、分泌される愛液の量も増えた。のぞみの尻の下で、ベッド
のシーツがぐっしょりと水気を吸っていく。
「のぞみぃ〜、おしめりが激しくなってきたけど、もしかして漏らしちゃってる?」
耳たぶに唇を触れさせながら、いじわるなささやきで鼓膜をくすぐってくる。汚い子だと思われ
るのが怖くて、慌てて首を横に振って否定した。
「じゃあ、これは全部のぞみが感じて溢れさせたものなんだ……。すごいじゃない、お尻の下に
大きな池が出来ちゃってる」
耳たぶを『かぷっ』と噛まれたのぞみが、顔を真っ赤にした。羞恥と快感による二重責め。
「内側(なか)って、そんなに感じるの?」
りんの指が膣壁をコシコシとこすってみる。その度、膣がキュキュッと収縮して、濡れた襞で
気持ちよく指を締め付けてきた。
「あぁっ! りんちゃん指動かさないで〜〜っ」
のぞみの表情が強張る。もう限界。腰にも脚にも、絶え間なくさざなみのような痙攣が走って
いた。当然、それはりんの右手にも伝わっていて、
(そろそろかな?)
もう少しだけ、指をぐりっと奥までねじ入れてみた。
「ああああっっ!?」
のぞみの大きく目が見開かれ、涙のしずくが飛び散る。膣をより深くこじ開けられる感触だけ
で達してしまった。がくんっ!と激しい痙攣が全身を襲った。
延々感じさせられた挙句、一気にトドメを刺されたショックで意識が持たない。文字通り、頭の
中が真っ白になって、身体の感覚がなくなる。
それでも、背に回された腕の力強い感触だけはずっと感じていた。
りんちゃん……。
疲れ果てた、幸せな失神顔。
しばらくしてから、りんがもぞっ…と動いた。ベッドに左腕のヒジをついて、軽く身を起こす。
(のぞみ、天使みたいな顔してる)
そして、右手の指と繋がったままの下半身のほうへ視線を滑らせて、
(…ったく、こっちはまだひくひくして悦んでる最中だっていうのに)
苦笑する。せっかくのウェディングブレスレットもびしょびしょだ。
ヒジをついたまま、左手で優しく彼女の乱れた髪に手櫛を通してやる。
(眠り姫は、王子様のキスで目を覚ますんだっけ)
薄桜色の唇がひっそりと色付いていた。そこにジッと視線を這わせていたりんが、「いやい
や」と首を横に振った。
(あたし、王子様ってガラじゃないし……てゆうか、お姫様をたぶらかす悪い狼?)
よし、それでいこう。今日は王子様なしのストーリー。悪い狼がお姫様を食べちゃうお話だ。
(がるるる〜、のぞみ〜? 目覚まさないと食べちゃうぞぉ)
りんの口が、のぞみの鎖骨を這った。この夜のウェディングドレスであるスリップの肩ヒモを
口に咥えてずらす。そして、もう一方も。
汗で肌に張り付いたスリップが、のぞみの上半身の起伏を、裸以上に詳(つまび)らかに浮き
上がらせていた。
おわんを平べったくしたような肉付きの浅い胸は、二人共通。
(感じやすいのも一緒?)
スリップの上からでも、左右の胸の頂点で、つぶらな突起がツンっと硬くなっているのがくっき
り見てとれた。
まずは、右胸の先っちょをペロリ。スリップ越しでも、強張った乳首の固さがはっきりと舌に伝
わってくる。
「ンッ…」
のぞみが小さく反応する。睫毛が震えて、今にも目を覚ましそう。
(ふふっ、今度はこっちこっち)
左胸の先端で、ちろりちろりっと素早く舌を踊らせてやる。ビクッとのぞみが身体をくねらせ
た。
「やだ……りんちゃんダメ……」
寝ぼけた声で、のぞみが目を覚ました。まだ体が重く、まぶたは上げられない。りんの舌が
乳首をくすぐるたび、ベッドに横たえたカラダがなまめかしい動きで悶える。
「のぞみの食いしん坊」
りんがくすっと笑って舌を休める。
「あたしの指、食べちゃう気でしょ。ほら、この指」
りんが右手を軽く揺すった。それでも、イッた後の特に敏感になっている膣には痛いほどの刺
激。りんの指が『きゅうっ』と締め付けられる。
「あっ、ダメ」
のぞみが熱い吐息をこぼしながら、汗ばんだ額に張り付く前髪を左腕で拭った。気だるげな
色香漂う悩ましい仕草だ。
「のぞみも、ちょっとは大人の女になってきたかな」
でも、もっと大人にならないと、あの人には釣り合わないよ。りんが口元に笑みをたたえた。
「ねえ、のぞみ、二本目にチャレンジしてみる?」
りんの言った『二本目』という言葉が優しく鼓膜を叩いてからしばらくして、指がもう一本膣に
滑り込もうとする気配を感じた。
のぞみが悲鳴を上げて『びくんっ!』と腰を引く。意識も完全に目覚めたらしく、泣きそうな顔
でりんを見つめる。
「やあっ! 無理無理! 二本も入れられたら壊れちゃうっ」
「てゆうか、指抜けちゃったじゃない」
りんが、愛液で濡れそぼった右手を自分の顔の前まで持ってくる。クスッ、と笑い声をこぼし、
その手で顔の下半分を隠す。イジワルな眼差しだけが覗いていた。
「舐めちゃおうかな。のぞみのエッチなおツユが、どんな味するか」
「やっ…」
のぞみの顔が恥ずかしそうに歪む。その表情を愉しみながら、まずはゆっくりと匂いから味
わってゆく。指の先から手首までを舐めるように嗅ぐ。青々しい発酵臭。酸っぱさがうっすらと
鼻孔の奥を突いて、鼻の感覚を麻痺させてくる。
(いやらしい匂い……)
りんの背筋をぞくぞくと淫靡な震えが這い上がってくる。手にこびり付いた愛液へ、こわごわと
舌を伸ばす。
(んっ…)
うす酸っぱい、生々しい体液の味。淫らな快楽を与えて搾り出した蜜だから、やっぱり味もイ
ヤラシイ。大好きなのぞみの味。
「無理して舐めなくていいよ、りんちゃん」
「無理してないよ。美味しいもん、のぞみの味」
「本当?」
りんが自分の股間に左手を潜りこませ、指でたっぷり蜜をすくってから、のぞみの唇の前に
持っていった。
「舐めてみる?」
のぞみが「はむっ」とその指を咥えた。
「美味しいでしょ?」
のぞみが、りんの瞳を見つめ返しながらうなずく。りんの蜜をキレイに舐めきった後も、指を
口から放さない。彼女の指先を、飴玉を舐め転がすみたいにしゃぶり続ける。
「あはっ、のぞみぃ〜、くすぐったいってば!」
りんが、右手にこびりついた愛液と舐めとる作業を中断して、こそばゆそうに上半身をクネク
ネさせて笑う。
「このっ」
りんがベッドにひざをついて、のぞみの腰をまたぐような姿勢で身を起こす。
制空権の確保。そして、真っ直ぐに伸ばされた右手の人差し指。
ちょんっ、ちょんっ、ちょんっ、と連続で降り注ぐ人差し指が、のぞみの身体を突っついてき
た。
「ひゃっ…」
身をよじらせたのぞみの口から、左手の指が解放される。その手も即座に攻撃へと参じた。
二本に増えた人差し指が、のぞみのボディに無差別突っつきの雨を降らす。
ちょんっ、ちょんっ、ちょんっ、ちょんっ、ちょんっ…………。
「あん、だめ、つつかないで、あっ、ひゃっ、あははっ、くすぐった……だめっ」
ちょんっ、ちょんっ、ちょんっ、ちょんっ、ちょんっ、ちょんっ、ちょんっ……。
「ダメだからっ、ホント、許っ…あっ、もう…ダメ……つつかないで、あッ」
上半身をガードする両腕が、りんの突っつき爆撃をガードしようと上下に慌しく動く。が、りん
はその動きを見切った上で、フェイントも織り交ぜて、しつこく突っついてくる。
「さっきイッたばっかりだもんねぇ。この程度の刺激でもたまらないくらい感じるでしょ?」
りんの言うとおり、絶頂後の興奮状態がまだ醒めず、全身の神経が快感に対して過敏になり
すぎている。わざわざ性感帯を狙わなくても、肌を軽くつついてやるだけで十分な効果は得ら
れた。
「のぞみ、また濡れてきちゃったでしょ」
彼女の脚の間を確かめなくても、その潤んだ瞳を見れば分かる。のぞみは、好きな相手にい
じめられて悦んでしまう女の子だから。
「りんちゃんのいじわるぅ」
「あはは、それ、褒め言葉」
のぞみに、両手を頭の後ろで組むよう指示する。
「五分間」
まず、制限時間を提示してやる。
「のぞみが声を出さずにガマンできたら、許してあげる。でも、ガマンできずに声上げちゃった
ら罰ゲーム」
「罰ゲーム?」
不安そうなのぞみを見下ろして、りんがサディスティックな笑みを楽しげに口許に刻んだ。
「とっても恥ずかしい所を、のぞみが気絶するまでイジメちゃう」
「うっ」
のぞみが脚を固く閉じる。とっさに怯えをみせた彼女に、りんが笑いながら続けた。
「……指でじゃないよ。今度は、あたしのキスと舌で。気持ち良さ特盛り大サービス」
「ええぇ〜、口の中にバイキン入っちゃうよ〜〜っ」
「大丈夫大丈夫。入らないから」
りんの指が、のぞみの唇に封をする。
「いい? 声出したら本当に後悔するよ。なんたって『気絶するまで』だもん。一回目で気絶でき
たらいいけど、できなかったら連続で二回三回……」
「…………ッ!」
りんの言葉を理解して、のぞみが言葉を呑みこんだ。意識ある限り、何度イッても許してもら
えない。
(そんなのって……)
想像して、のぞみがカラダを震わせた。りんが「くすっ」と小悪魔な笑い声をこぼす。意地悪げ
に細められた瞳には、本気の色が湛えられていた。
「ま、声上げさせてみせるけどね。絶対に」
胸先で、スリップの薄い生地をツンッと突っ張らせる硬い突起を、りんの指が軽く弾いた。
「…ッ!」
びくっ、と電流を流されたみたいに、のぞみのカラダが小さく跳ねた。
「さすがにこれぐらいじゃ……あっ、言い忘れてたけど、頭の後ろから手を離したら即座に罰ゲ
ーム行くから」
つまり、抵抗できない相手を、五分間好き放題イジメ倒してしまおう、という事だ。
スリップ越しに、両方の乳首がつままれた。クニクニと敏感な突起が揉み転がされる。
―― ゾクゾクッッ。
「……ッ…っ……っ!」
声が出そうになるたびに、呼吸を止めて耐えるのぞみ。敏感な乳首が、たっぷりと、いやらし
く弄ばれている。まだ30秒も経っていない。
「のぞみぃ? ガマンすると身体に悪いよぉ?」
イヤラシイ指使いに乳首をこねられて、耐えているのぞみの表情が崩れそうになる。声が洩
れそうになるのを必死で息を止めてこらえる。
「ほら、息なんか止めたら苦しいでしょ?」
りんの指が、つつーっ…と、のぞみの白い喉をなぞり上げた。
(くすぐった ―― ッ!)
危うく声を洩らしてしまいそうになる。
(ふふっ、のぞみったら頑張る頑張る)
その頑張ってる顔が見えなくなるのは惜しいけれど……。
りんの両手が、のぞみのスリップの裾にかかった。ゆっくりと、胸の上までめくり上げていく。
かわいらしいおへそ。あまり肉付きのない乳房。そして、イジワルな指の刺激に喘いでいる乳
首。花嫁の裸身が、りんの視線に嬲られる。
(いきなり乳首で落とすのも、イジメ甲斐がないよね)
りんが四つん這いの姿勢になって、顔の位置がおへその上に来るまで後退。そっと降りた唇
が『ちゅうっ』と吸い付く音を立てて、おへそにキスする。
「……ッ」
のぞみが顔をそむけて耐える。『ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ』と小刻みな吸引が続いた後、りんの
舌先がおへそをほじくろうとしてきた。のぞみのお腹がビクビクッ!と震える。
(のぞみのお腹、肌がプニプニしててやわらかい……)
おへそを中心に、円を描くように舌を這わせた。そのくすぐったさに、やわらかい肌の下で、
腹筋がヒクヒクと跳ねているのが舌に伝わってくる。
(ふふっ、のぞみ、まだ頑張れるんだ)
りんの口がわき腹まで滑る。「はぐっ」と甘噛み。のぞみの上半身がビクンッと反応した。
(美味し……)
優しく歯を立て、のぞみの肌に軽く歯形を残す。続いて、舌を素早くチロチロ這わせて、敏感
なわき腹を舐め回してやる。
「…ッ!! ……ッ! …ッ!」
のぞみが狂おしくカラダをくねらせて悶える。それでも声だけは洩らさない。舌を止めてやる
と、「フゥーッ…フゥーッ…」と荒くつく呼吸音が聞こえてきた。
ギュッときつく目を閉じて、ただ早く時間が過ぎてくれるのを待つ。今にも快感に負けてしまい
そうな表情が、最後の一線で必死に踏みとどまっていた。
(そろそろ、のぞみの声聞かせてもらおうかな)
りんが蠱惑的な流し目を、なだらかな二つの乳房に這わせた。その淫らな視線を感じたの
か、のぞみの上半身がブルッ…と震えた。
のぞみの肌を舌でなぞりつつ、野性味を帯びたしなやかなカラダがわずかに前進。舌が乳房
の山裾に届くと、のぞみが微かに抵抗する気配を見せた。
でも、どうやって?
両手は頭の後ろで組まされたまま。抵抗の手段なんて無い。結局、このままりんの好きなよう
に嬲られ続けるだけ。
りんのキスが左右の乳房の表面に『ちゅっ』『ちゅっ』と交互に音を立てた。のぞみが覚悟を
決めるも、トドメの一撃はなかなか来ない。
(りんちゃん……)
のぞみが脚の付け根をすり合わせて、焦れてきた熱い部分をさらに潤ませた。気持ちいいの
に声を出せないというのが、こんなにもツライなんて……。
焦らしているほうのりんも、背筋にゾクゾク来るのを抑えられない。もっとたっぷりとイジメてや
りたいけれど……。
(でも、うぅ……あたしのほうが先にまいっちゃいそう……)
のぞみにバレないよう、腰をモジモジと悶えさせた。のぞみがイク前からガマンしているのだ。
こちらもけっこう限界である。
りんの指が、つっ…と乳首をなぞり上げた。のぞみのカラダが今まで以上に大きく震えた。
「のぞみ、大きな声で『キモチイイ』って言ってみて。そしたら、ご褒美に思いっきり強く吸ってあ
げるけど?」
のぞみがプイッと必死に耐えている顔をそむけた。
「あー、かわいくないなぁっ! でも、ふふっ、そのかわいくない所が可愛いんだけど」
今度は反対側の乳首がなぞり上げられた。一定の間隔を置いて、乳首が交互になぞり上げ
られる。けれど、それ以上の刺激はあげない。のぞみの乳首が延々と焦らされる。
(うぅっ)
りんの言ったとおり、「キモチイイ」って声に出して叫べば……。
「……ッ」
声を上げようとして口を開きかけたのぞみが、すんでのところで唇を噛んでこらえた。
「ああっもうっ、じれったいっ!」
りんの唇がコリコリと固くなった乳首をついばんだ。『ぢゅっ』と強く吸い付く音。びくっ!と、の
ぞみがカラダをすくめるが、まだ声を上げない。
こうなったら無理やりにでも声上げさせてやる、と『ぢゅぅ〜ッッ』と強く吸引して乳頭を引っ張
り伸ばす。のぞみが腰を痙攣させながら、両ふとももをきつく閉じた。
りんの口から、唾液まみれの乳首が『ちゅぽっ』と滑ってすっぽ抜ける。コリコリとした舌触り
を追いかけて、すぐにまたりんの唇が胸先の頂点を這う。
(うううぅぅぅぅぅぅ……ダメだよっ、りんちゃん!)
敏感な乙女の乳首を、快楽で嬲り責めされながらも、のぞみはルールを守って声を上げな
い。頭の後ろで両手を組んだ姿勢も崩さない。
乳輪をなぞるように、りんの舌先が何度も円を描き、敏感な乳首を丹念な舌使いで舐め転が
す。舌攻めにあっていないほうの乳首も、りんの指が執拗にクニクニと揉みほぐしている。
(あッ ―――― 、あッ ―――― )
無音の喘ぎがのぞみの口を割った。胸先に甘々しい微弱電流でも流されているかのごとく、
両脚をバタつかせたり、何度も背をビクン!ビクン!と反らせたり。それでも声だけはこらえ続
ける。
(まさか本当に五分耐えるつもり? ……てゆうか、今何分?)
当初のシナリオでは時間など計る必要もなかったのに、大きな誤算が生じていた。のぞみが
ここまで耐えられるとは完全に予想外。
(こんちくしょっ!)
乳首を咥えこんだ唇が『ちゅちゅッ、ちゅッ、ちゅッ…』と吸いしゃぶる音をせわしなく響かせ
る。とにかく乳首への刺激を重ね、その快感で畳み掛けてしまおうという魂胆だ。
けれど、のぞみは折れない。汗ばんだ肢体をどんなになまめかしく悶えくねらせても、声だけ
は封じ続けた。
コリッ!と乳首に歯が立てられた。断末魔のような痙攣がのぞみのカラダを襲う。
(やだやだやだっ、きちゃうきちゃうきちゃうーっ)
ゾクゾクッ! ――― と甘美な痺れが全身の神経を駆け巡る。
敏感さの塊である乳房の先端で、やわらかな舌がいやらしく這い回り、硬い歯の感触が甘い
痛みをもたらす。
(もう無理……もう無理だよおぉっ!)
のぞみが狂おしく頭を左右に振り乱した。屈服の証しである涙の飛沫が無残に飛び散る。
唾液の糸を引きながら、りんの口が乳首から離れた。すぐさま指が入れ替わり、のぞみの乳
首をいじり続ける。
「のぞみ、あたしのこと愛してるって言ってッ! そしたら一晩中かわいがってあげるから……
ほらっ、愛してるって言うのよッッ!」
「りんちゃんッ、愛してるよぉっ……あたし、りんちゃんを愛してるよおおおッッ!!」
発情しきった雌猫みたいな濡れた声音で叫びながら、のぞみが絶頂に達していく。
「りんちゃんも愛してるって言ってぇ、あたしのこと愛してるってっ」
「愛してるッ! のぞみのこと愛してるッ!」
「あたしもだよっ、あたしもりんちゃんを愛してるッッ!」
その言葉は、鼓膜を甘く蕩かして、脳内に直接響いてきた。
どんな愛撫も、のぞみの『愛してる』という叫びにはかなわない。死んでもいいと思えるほどの
情欲の歓喜が、真っ直ぐ背筋を貫いて駆け登ってくる。
「ひッッ!!」
りんが腰を『がくがくがくっ!』と激しく痙攣させた。のぞみの下半身をまたぐ両脚の間から、
愛液の雨が降り散った。
(なにこれっ、あたしイッてる!? のぞみに愛してるって言われただけで……!?)
まぶたの裏にフラッシュを焚かれたみたいな目眩(めまい)。りんの意識が徐々に遠ざかって
いく。
やわらかで熱い肌が、崩れた身体を受け止めてくれた。
「りんちゃん…」
愛しい声が自分の名を呼ぶ。優しく耳朶を振るわせ、溶けていく意識に心地良く響いてくる。
(のぞみ…)
おぼつかない舌が彼女の名を紡ごうとしたが、まぶたの気だるい重みに耐え切れない。
いつ自分が気を失ったのかも分からぬまま、りんは深いまどろみに意識を落とした。
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