お姫様と狼は一夜限り… 04

 甘い匂いを感じた。
 ……カラダを胎児のように丸めている。暗い意識の中、それだけは分かった。耳の後ろにか
かる温かい息。背後から優しく抱き包まれている。
「りんちゃん、起きた?」
 寝ぼけた鼓膜をくすぐるささやき。そっと肩を撫でてくれる手の平と、ビーズの感触。
 ほんの少しずつ意識が鮮明になっていく。唇に金属の硬さが触れる。口の中に潜りこんでき
て、とろりとしたジャムの甘さを舌に乗せる。
(おいし…)
 口内にまったり広がるイチゴジャムの味。りんがうっすらと瞳を開いた。まだカラダに絶頂の
余熱が残っているのか、気だるい。
(ん…?)
 目の前に自分の両手があった。右手に映える赤色は、のぞみが作ってくれたウェディングブ
レスレット。両手首を縛っていたビニールテープは綺麗になくなっていた。
(そっか。とってくれたんだ)
 ほっとして微笑した。汗ばんでいるのか、前髪が額にベッタリと張り付いていた。かき上げよう
とした指が、ぬめっ…と粘度のある何かに触れた。明らかに汗とは違う感触に、思わずりんが
手を離した。
(何これ……ジャム?)
 指先に付着した赤い粘着物。甘い匂い。そういえば、さっきから妙に甘い香りが鼻をくすぐっ
てくるような……。
(そういえば、あたし……色んな所にジャム塗られて……)
 もう片方の手が乳房に触れた。のぞみが丹念に舐め取ったはずなのに、またベッタリとした
感触が……と、その手を見て気付いた。
(これ、ジャムじゃなくて生クリーム!?)
「えへへー」
 のぞみが背中からひょっこり顔を覗かせて、無邪気に笑った。
「りんちゃんが気を失っている内に、またイタズラしちゃった」
 りんがバッと上半身を起こす。スポーティに美しく引き締まった少女の裸身は、ジャムの赤と
生クリームの白でまだらに染め抜かれていた。
「何やってんのおおおおおおおっっ!!」
 絶叫がりんの喉からほとばしった。
「冷蔵庫にあったケーキの生クリーム使っちゃった。明日、りんちゃんと一緒に食べるはずだっ
たのに……ゴメンね」
「そういう問題じゃないから! のぞみ、わかる? そういう問題じゃないからっ!」
「でも、ジャムだけよりもきっと美味しいよ?」
「だからッ、そういう問題じゃないって言ってんでしょうがぁぁッッ!!」
 りんがあらためて自分のカラダを見渡した。乳房はもとより、腕やお腹、脚のつま先のほうま
で、あちこちにジャムや生クリームをベタベタと塗りたくられていた。
 髪に手を伸ばすと、今度は生クリームが指についた。
「このっ ――― の〜ぞ〜み〜?」
 りんがギロリと突き刺すような眼光で、のぞみを射すくめた。その剣幕に驚いたのぞみが、少
しでも場を和ませようと笑ってみせた。
「え…えへっ…」
「何が『えへっ』かっ、この大馬鹿娘ッ! ここ見なさいっ。ベッドの上だってジャムでドロドロに
なってるじゃない!」
 りんが尻の下あたり、べっちょり濡れてイチゴ色に染まった部分を指差して、きつい声を上げ
た。それを見て、のぞみが言いづらそうに、
「えと、それは、りんちゃんが……いっぱい溢れさせたせいで……」
「うっ」
 りんが赤面して一瞬黙り込んだ。
「と…とにかく、先にシャワー浴びて、それから……」
「ダメッ!」
 のぞみがキッパリと言い切った。りんが呆れて溜め息をこぼしつつ訊いた。
「はぁ〜。のぞみ? まさか、この状態でエッチするなんて言わないでしょうね?」
「するよ」
 微塵の躊躇もない返事。りんがもう一度大きく溜め息をついた。
「あのねぇ、このカラダ見える? こんなジャムやら生クリームだらけの状態でしたら、ベッドが
大変な事になるでしょ」
「なってもかまわないよ! あたし、あとのコトなんて全然考えてない!」
 のぞみが真剣な光を瞳に宿して、りんへと訴えかけた。
「今、二人が一番気持ち良くなれることしか、あたし、考えてないもん! りんちゃん、あたした
ち、今夜だけだよ?」
 真っ直ぐ澄んだ真摯な眼差し。言葉よりも強く、その双眸に込められた願いがりんの心を揺
さぶった。
(…ったく、な〜にが『二人が一番気持ち良く』よ。のぞみがお腹減ってるだけじゃないのぉ?)
 りんが視線を和らげて、声に出さず茶化した。そして、軽く溜め息一つ。今日だけは、二人に
とって特別な ―― 大切な夜なのだから。

 のぞみが望むコトだったら、なんだって付き合ってあげるよ。

 りんが笑みを含ませた顔を、つんっと横に向けた。
「ベッド……めちゃくちゃに汚れてもあたし知〜らないっと」
「うぅ、あとで一緒にお母さんに謝ってぇ」
 泣き真似をしながらすがりついてくるのぞみの頬に、ぺとっと生クリームをつけてやる。
「ジャムと生クリームの国へようこそ、狼さま。この国の法律はただひとつ、夜が明けるまでに
あたしを食べちゃうことでございます」
 芝居がかった口調でそう告げて、深々と頭を下げる。そして、ちらりと上目遣いでのぞみの反
応を窺がう。のぞみがりんから離れて、深々と座礼で返してきた。
「はは〜。それではお姫様をありがたくいただきまする〜」
 かしこまった変な口調。頭を下げたまま、のぞみが「プッ」と噴き出した。つられて、りんもクス
クス笑い出す。
「で、どこから食べたい?」
 りんが両手をカラダの後ろについて、頬に羞恥の朱をうっすら乗せながらも余裕げに微笑み
かける。舐めまわされても、噛みつかれても、何をされたってかまわない。
 健康的な少女の裸身は、見た目にも甘ったるく、のぞみの眼差しを誘っていた。
「ん〜、おっぱいは食べたしぃ」
 のぞみの指先が、乳房の頂にこびり付いた生クリームを優しくぬぐった。乳首を這うヌメッとし
た刺激に、りんが上半身をくすぐったそうによじらせた。
「じゃあ、今度はこっち食べてみる?」
 のぞみの目を見つめたまま、ベッドに投げ出していた右脚をゆっくりと引き寄せた。ひざを立
てて両脚を大きく開き、ジャムと生クリームでドロドロに汚れた恥部を見せ付ける。
「言っとくけど、ジャムと生クリームだけじゃないよ?」
 その意味を察して、ごくり…とのぞみが唾を飲む音が聞こえたような気がした。恥ずかしい所
にまじまじと視線を受けて、ぶるるっ…と悦びの震えが背中を駆け抜けた。
(あっ…、のぞみに見られて熱くなってきた)
 早くも股間がジンジンと欲情のうずきを覚えていた。熱い蜜を溢れさせ、ジャムと生クリーム
を溶け合わせる。
 そんな自分のイヤラシさが逃げ出したいくらい恥ずかしくて、なのに、たまらなく感じてしまう。
もじもじと焦れる腰。いやらしい味の蜜の潤みがさらに増してくる。
「ほらほら、早くしないとジャムや生クリームの味がすっかり変わっちゃうよぉ?」
 りんが、「はぁ…はぁ…」と興奮で呼吸を熱く昂ぶらせつつ、挑発的な視線を送ってくる。
 のぞみが身を乗り出して、りんの耳たぶに唇を這わせた。
「でも、そのほうがきっと美味しいよ」
 甘いささやきに耳孔の内側をくすぐられて、りんがゾクッと身を震わせて両目を閉じた。耳た
ぶが『はむはむ』と優しく甘噛みされる感触。淫らな幸せが全身をくるむ。
「りんちゃん、口開けて」
 言われたとおり口を開けると、ジャムがたっぷり乗せたスプーンが滑り込んできた。舌の上に
べとっ…とこぼれる甘い粘塊。
「まだ食べちゃダメだよ」
 口から引き抜かれたスプーンと入れ違いに、今度はやわらかなキスが唇をふさいだ。
「んっ…んっ!」
 ただ唇を強く押し付けられただけで、りんがたまらなく身悶えた。両手でのぞみのカラダにす
がりつき、さざ波のような痙攣をカラダに走らせる。
(キスだけでイッちゃうくらい、あたしのことが好き?)
 弛緩したりんの唇から、舌を侵入させる。触れ合う舌先に、りんがピクッと反応した。かすか
に開いた双眸で、すぐ間近にあるのぞみの顔を切なげ見つめる。
(美味しいコト……して)
 こわごわと震える舌を、のぞみの舌にゆだねた。ねっとりとした熱い柔らかさが、りんに舌に
強く絡み付いてくる。
「ンッ…!」
 くぐもったうめきをりんが洩らした。二人が交わす生涯で一番甘いディープキス。むさぼるよう
な激しい舌使いで、ジャムまみれの舌が舐めまわされる。
 口いっぱいに拡がるジャムの甘さ。のぞみの舌先が、頬の内側や歯ぐきをチロチロと舐め洗
ってくすぐったい。でも、さっきみたいに舌をいじめてもらうほうが好き。
 二人分の唾液に溶けた粘液状のジャムを飲み下して、りんが舌を伸ばした。
「んん」
 ちろっ、と舌の裏に走ったこそばゆさに、のぞみが思わず舌を引っ込めてしまった。
(やだ、抜かないで。もっとイジメてよぉ)
 りんがおねだりするように、のぞみの唇を甘い舌で何度も舐めた。ジャムと生クリームにまみ
れたカラダをすり寄せて媚を売る。
(もおっ、ほら、早く可愛がって、あたしの舌)
 りんがガマンできずに、かすかに開いていた唇の隙間に舌をねじ入れた。
(んっ…、りんちゃん乱暴だよぉ〜〜)
 密着させあった二人の裸体が傾いだ。体重を預けてくるのぞみの身体を支えながら、りんの
上体がゆっくりと後ろに倒れていった。
 りんの願い通り、舌の表も裏も、のぞみの舌で丹念に舐め洗われた。すっかり綺麗になった
ところで、舌同士が抱きつくみたいに絡み合った。
(んんっ、大好き)
(りんちゃんっ)
 激しいキスのせめぎ合いが、『ぴちゃぴちゃ』と唾液の跳ねる音を背景に始まる。どちらもむ
さぼるように相手の唇を求めた。興奮して、二人の体温が上がる。
「ん……く」
 りんの呼吸が震えた。口の中にたまった唾液を嚥下する喉の動き。のぞみが唇を離して、陶
然となったりんの顔を見つめた。
「ちょっと待ってね、りんちゃん」
 スプーンにすくったジャムを一口。イチゴの甘さを口に中に転がしながら、唾液に溶かしてい
く。
「ん…」
 口を開かず声を出すと、餌の口移しを待つヒナみたいに、りんが口を開いた。口の中に溜め
ていたジャムと唾液の混合液を、とろり…と半分だけ垂らしてみる。
 りんが舌でそれを受けて口の中へ運ぶ。待ち遠しかったように喉が嚥下。ねっとりとした喉越
しにゾクゾクと興奮を昂ぶらせた。残りも早く欲しいと、りんの口が開かれる。
(美味しかった?)
 のぞみがクチュクチュと口の中でシェイク。ツバをたっぷり増量させ、今度は直接口移し。イ
チゴジャム味の粘っこい唾液を大量に流し込まれて、それを一気に飲み干そうとしたりんがむ
せた。
 咳きこみながら横を向くりんの唇の端から、赤い唾液が一筋垂れてベッドを汚す。
「りんちゃんたいへん。人工呼吸しなきゃ」
「おおげさだってば……」
 苦笑を刻む唇が熱く吸われた。口の中に送り込まれてきたのは、舌ではなく、興奮の色に染
まった熱い吐息。そして、りんの鼻がぎゅっとつままれた。
 強制的な人工呼吸。吸っていいのは、のぞみの口から送られてくる空気だけ。
 のぞみの口の中で蒸れた空気を、りんは何度も何度も深く吸い込み、呼吸した。ジャムのせ
いで甘ったるい味がついた空気。肺が悪酔いさせられそう。
(のぞみ……)
 少し息苦しいけど幸せ。のぞみが口移しで吐き出す酸素が、血液に乗って全身を駆け巡って
いる。愛されている嬉びが身体中に伝わっていく。
 りんが手探りで、ジャムのビンを掴んだ。指を差し入れて、ジャムをすくう。
(のぞみも甘くなっちゃえ!)
 ぺたり、と背中に乗せられたジャムの軟らかさに、のぞみが「んっ」とうめいた。りんの手の平
が、ゆっくりと背中にジャムを塗り広げてゆく。
(りんちゃんもあたしを食べたいの?)
 全身を熱い熱いキスで食べられてしまう自分の姿を想像して、のぞみが恥部を切なく疼かせ
た。りんの鼻をつまむのをやめ、キスを解いて顔を上げる。
「ふふっ、のぞみ、ジャムで化粧してあげる」
 ジャムをべったりつけた指が、鼻先や頬をいらってくる。新しいジャムをすくった指で、眉毛に
もたっぷりと塗りこまれた。
「りんちゃんっ」
 子犬が甘えて飛びつくように、のぞみがりんの唇へ顔をすり寄せた。りんの手からジャムのビ
ンが落ちる。ジャムに汚れた両手で、のぞみの頭を狂おしく抱き掴んだ。
 ぺろぺろと、のぞみが顔中を舐めまわされていく。
 ジャムと唾の入り混じった濃密な匂い。二人の鼻をくすぐって、より興奮させる。
「ふふっ、のぞみったら顔中べとべと……」
 りんがのぞみの頭部を掴み寄せて、やわらかな髪に鼻先をうずめた。ふわっと芳うシャンプ
ーの匂いを打ち消すように、ここもジャムの匂いで甘く染められていた。
「ほら、早くあたしを食べないと……逆に食べちゃうよ?」
 それでもいいけど……。うぅっ、とのぞみが心の中でうなって考え直す。やっぱりりんちゃんを
食べたい!
「朝が来るまで……狼は絶対にお姫様を許さないから」
 手の平を密着したカラダの間にねじ込み、りんの小ぶりな乳房を揉み転がす。生クリームの
せいで、滑りがいい。
「あはぁっ!」
 甘ったるい嬉びの声。乳首をひねってあげると、さらに声が高くなった。もう片方の手が、手
探りでジャムのビンを見つけた。指でたっぷりと中身をすくってやる。
(あたしだって、りんちゃんをもっと甘くしちゃうもん)
 その手がりんの腰のくびれを這い、尻の下へと潜りこんだ。そして、ジャムをなすり付けるよう
に尻肉を揉む。くすぐったいのか、ビクッと臀部が引き締まった。
 全身を美味しく可愛がられながら食べられる。溶けるような甘い幸せ。もっと、のぞみの舌で
甘く溶かされたい。
 言葉を塞がれた口ではなく、密着したカラダを悩ましげにくねらせて伝える。もうガマンできな
いと。 
 力の緩んだ両手から、のぞみが頭を抜いた。情欲に喘いでいる唇へ「ちゅっ」としばしのお別
れのキス。カタチのいいあごのラインに沿って唇を滑らせ、生クリームの塗られた白い喉へ。
「ああっ…」
 りんが喘ぎ声を震わせた。
 さらに唇が滑って、右肩をなめらかに這う。そこはジャムと生クリームが混ぜて塗られてい
た。のぞみが舌を伸ばして、チロチロと舐める。
「くすぐった……うっ…」
 りんが言葉を詰まらせて、全身をわななかせる。
 蛇行しながら降っていくのぞみの唇が、乳房のふくらみへと触れる。瑞々しい胸の果実は、ま
んべんなく塗りたくった生クリームと同じくらい軟らかな口感。小ぶりな乳房の内側には、未完
熟ならではの弾力もぎゅっと詰まっている。
 生クリームのついた皮膚を細かく舐め洗う舌の動き。くすぐったい。ゾクゾクッ ―― と湧き上
がってくる震えが止まらない。
(あっ…きちゃう……)
 とろみを帯びた恥裂の内側を、切なげな疼きが這いずっている。指を入れてかき回したいと
願うほどに。
 乳房の丸みに沿って、唇がゆっくりと焦らしながら、滑るように登ってくる。りんは、淫らな期
待だけで早くも達してしまいそうになる。
 しかし、のぞみの唇は、見事に乳輪の外側を円を描くように迂回。りんが潤ませた瞳から涙
を飛ばして叫ぶ。
「やだぁっ! ちゃんとそこも舐めてよぉッ!」
「だーめ。だって、りんちゃんイッちゃうでしょ?」
 りんが子供みたいに首をブンブン横に振って駄々をこねる。
「イカない……絶対ガマンするからぁ、おねがい……おねがいっ、ちょっと舐めるだけでいいか
らぁ」
 べたつく手で何度ものぞみの髪に手櫛を通しながらのおねだり。欲情に溶けた牝猫の声色
で、しつこく「のぞみぃ、のぞみぃ…」と呼びかける。
(もう、本当にちょっとだけだよ?)
 仕方なくのぞみが、ぴんぴんに充血して固く尖った乳首を、ぺろり、と一舐め。びくびくっと痙
攣がりんのカラダを走り抜ける。
「ああー……」
 りんが、弛緩した口から快楽の溜め息をこぼした。すでに目付きは、美酒に酔ったみたいに
蕩けてしまっていた。肌の下を這い上がってくる小さな痙攣の波が止まらない。
「ううー、りんちゃん軽くイッてるー」
「こんなの……全然イッてないってば……」
 弱々しく喘ぐりんの胸先を、のぞみの唇が『チュパチュパ』と音を立てて派手に吸い付いてき
た。くちびるの締め付けが、敏感な乳頭をキュッキュッと連続で吸い搾る。
「…ひぁっ!」
 りんの背がビクンッと跳ねて仰け反った。胸先にジンジン響く快感だけで理性が壊れてしまい
そう。のぞみが舌先をすぼめて、くりっ、くりっ、と乳首を転がしてきた。
「ふあ……あっ、く、それは……だめ、あぁ……ああっ」
 悩ましげな声で喘ぎ悶える。淫らな蜜を沸かす秘所が、ゾゾゾッ……と歓喜に満ちる。
 さんざん舐め転がされた乳首を、今度は『ぢゅうぅ〜っ!』と思いっきり強く吸引された。乳首
にジン!!と電気ショックにも似た激しい快感が叩きつけられる。
「くう…あぁっ」
 たまらず、りんが自分の髪を、くしゃっ、と鷲掴みにした。
(だめ……またあたしイッちゃ ――― ふあっ、やだぁ…気持ちいいのが止まんないよぉ)
 歯を食いしばり、眉間に険しくシワを刻んで、イクのを懸命にこらえようとするが、乳首を責め
抜いてくる快感に抗うすべなどなく ――― 。
(くうううッ!!)
 両脚をぎゅっと内股気味に閉じて、少しでも押し寄せてくる快感の波を軽減しようと努める
が、がくがくと震える腰の動きは隠しようもない。イッてるのがバレバレだ。
「もおっ、りんちゃんてば。ぷんぷんっ!」
 のぞみが可愛らしい怒り方で、りんの浅い胸の谷間にぐりぐりと顔を押し付けてきた。ぬめ
っ、と顔にクリームがべっとりつくがかまわない。
 熱くなった肌越しに、せわしく早鐘を打つ心臓の響きが伝わってくる。
 いつもは誰よりも頼りになる男勝りな大親友が、今は守ってあげたくなるほどに可憐なお姫
様。青春の汗を流して鍛え上げた手足も、キスひとつで簡単に骨抜きに出来てしまう。
「あたしだけの甘〜いお姫様。誰にも渡さない」
 両腕でしっかり抱き締めて、のぞみが今だけその身体を独り占め。りんが息を熱く乱しなが
ら、たどたどしく抱き締め返してくる。
「まだ……まだ終わらないで」
「続けて食べてほしい?」
「うん…」
「じゃ、もう少しだけ頑張ってみよっか」
 にゅるっ、とのぞみの顔が胸の谷間を滑った。抱き締めてくれるりんの両腕から、肩が滑り抜
ける。肌の上を滑り落ちていく先は、おへそのさらに下。
 ……と、その前に、かわいらしいヘソのくぼみに溜めたジャムを『ぢゅるぅっ』とすすって栄養
補給。くすぐったかったらしく、りんが小さく悲鳴を上げて身をよじらせた。
 顔のあとを追うように、わき腹を滑り落ちるのぞみの両手。りんがそのくすぐったさに反応す
ると、ワザと指をこしょこしょ動かしていじめてきた。
 たまらないこそばゆさに、りんの裸身が、びくんっ!と電気を通されたみたいに跳ねる。
「やっ…ひゃっ、こらぁ、なにやって……やめなさ…あひっ! あぁッ…だめ、つっついたら……
あっ、あっ、ごめんっ、許して……許してッ」
 一瞬だけ垣間見せたいつもの勝ち気もあっけなく崩れ、必死で許しを乞う姿が愛おしい。
(ふふっ、りんちゃんカワイイ。今からもっと気持ちのいい所イジメてあげるね)
 りんの腰のくびれを這った両手が、臀部の丸みへと到達。もっちりとやわらかな脂肪の肉感
を手の平で愉しみながら、肌ツヤなめらかな太ももへと撫で下がってゆく。
「りんちゃん、脚広げるね」
 ひざの内側に差し込まれた両手が、閉じていた両脚を、がばっと大きく押し広げた。いやらし
く汚れた秘所を隠すものは何もない。
 ジャムでべっちょり恥丘にこびりついた幼い陰毛も、生クリームをドロドロに塗りたくられた性
器も、処女とは思えないほどの淫猥さを醸していた。
「うううっ…」
 りんがカァーッと熱くなった顔をそむけて、ぶるるっ…と震えた。見られているという興奮だけ
で、また昇り詰めてしまいそうだった。
「りんちゃんのネチョネチョがお尻からベッドに垂れてて……ちょっと勿体ないなぁ」
 そう言って微笑しつつ、股間に顔をうずめようとしたのぞみの動きが一瞬止まった。ジャムや
生クリームの甘ったるい匂い。そして鼻の奥をくすぐる淫臭 ―― 愛液の匂い。
 その匂いでさらに興奮を高めたのぞみが、胸の内にそっと言葉をこぼした。
(りんちゃんのここ、いっぱい愛してあげるね)
 絶頂の余韻でまだひくひくしている恥裂に、生ぬるい息がかかる。
「ひっ」
 りんがベッドのシーツを引き千切らんばかりに強く掴んだ。「ハァハァ」と激しく乱れてきた呼吸
にあわせ、胸がせわしなく上下を繰り返す。
 待ちきれない。
(早く来て……早く……)
 祈るように念じながら、淫らな汗を滲ませた腰をのぞみの顔の前で揺する。恥裂に強く押し付
けられる、やわらかな唇の感触 ―― 握り締めたシーツがさらに深くシワを刻んだ。
「…………ッッ!!」
 全身が硬直して声も出せない。のぞみが「んんん〜〜〜っ」とくぐもったうめきを洩らしつつ、
強く、強く、唇を押し付けてくる。
(あはは、もう死んでもいいや、あたし……)
 横を向いたりんの表情が淫らにとろけて、法悦の色に染まっていた。弛緩した唇の端から、
涎が一筋垂れていた。
「ちゅぷっ」と唾液だか愛液だかが跳ねる小さな音。半ば放心状態のりんは無反応。
 のぞみがキスをいったん緩め、濡れそぼった恥裂の肉を指で広げた。ぴくんっ、とカラダは反
応するものの、りんは眠っているようにおとなしい。
(……いやらしくて、いい匂い)
 のぞみが目を閉じてスンスン嗅いだあと、恥裂の内側粘膜に直接唇を押し付けて『ぢゅぢゅ
っ!』と大きな音を立ててすすってやる。
「ひッッ!? あっ……はッ……」
 意識を一気に呼び戻されたりんが、目を見開いて、背を弓反らせる。呼吸もままならないの
か、かすれた喘ぎが喉から絞りだされた。
 処女のまま初めてカラダの内側で味わう快感は、あまり甘美すぎて……もはや陵辱的だっ
た。犯されているみたいにおぞましく、だからこそ、気高い少女の心の中で被虐的な悦びが炎
の如く燃え上がる。
 淫らな蜜でぐっしょり湿った粘膜を、いやらしく舐め上げる舌の動きに、りんがマゾヒズムな悲
鳴を上げた。
「あ……もっと、もっと激しくイジメてっっ!」