“ It's Magical Show Time ! ” 04


 魔法除去薬でぬめった肛門を、ゆったりとマッサージするかのように中指を動かす。
 みらいは最初みたいに恥ずかしがる素振りは見せなくなったものの、体温の熱くなったカラダ
をリコに預け、気持ちよさそうに腰をくねらせている。
 左の耳たぶが火照っている。幾度となく吹きかけられた、みらいの熱い喘ぎのせいだ。
「みらい……」
 いつのまにか閉じていた双眸をうっすらと開いて、リコが呼びかける。みらいもぼんやりと薄
目を開けて、小さく返事をした。
「…ん? どうしたの、リコ」
「…………」
 リコが指をとめて、顔の向きを右に逸(そ)らした。みらいは何も言われずとも、その行動の意
味を理解した。飼い主に頭を撫でてもらいたがっている犬のような仕草に対して、望むものをき
ちんと与える。

 ちゅ…。

 リコの左耳たぶで、柔らかい音が鳴った。
 甘やかなくちびるの感触は、耳たぶを一瞬捕らえただけで、すぐに離れてしまった。しかし、
そのくちびるから細く洩れる吐息のくすぐったさが糸を引く。
 わずかに指の一関節分程度の距離。
 みらいのくちびるの持つ熱が伝わってきそうだ。
(ううっ…)
 ゾクッ…、と来るこそばゆさに、顔を赤らめたリコが、閉じたまぶたを震わせた。
 背中でみらいの両腕が動く。リコの華奢な裸身をしっかりと抱きしめ、再びリコの左耳たぶに
くちづけを行った。今度は甘い音は鳴らさず、くちびるを軽く這わせるように……。
「あっ」
 びくっ、とリコの右腕に震えが走った。微妙に乱れた指使いで、みらいの可愛らしい尻穴を愛
撫。だが長くは続かない。
 はむっ、と銜(くわ)えられてしまう耳たぶ。くちびるの軟らかさだけで挟みこまれたそれが、優
しく引っぱられた。簡単にすっぽ抜けてしまうが、その瞬間に感じたくすぐったさは、リコの耳全
体をゾクリとなぞった。同時にリコの指からチカラが抜ける。
「ふふっ…、リ〜〜コ」
 耳の外側に、そっと這わされたくちびるの感覚。すーっ…と羽毛を滑らせるみたいな動きで、
左耳の輪郭に沿って上下に往復。リコが「ひゃあっ」と悲鳴じみた声を上げる。
 ……もうガマン出来なかった。
 ほそやかな両腕をみらいの背中に絡ませ、強くしがみつく。
「リコは、お耳をこうされると気持ちいいんだ」
 クスクスと笑う声が耳を撫でてくる。何か言い返したいが、言葉が出てこない。代わりに、ぎゅ
っとみらいのカラダを抱きしめる腕にチカラを込めた。
「かわいいね、リコ。もっと気持ちのいい御褒美を、お耳にあげる」
 濡れた生温かい感触が、ヌルリ…、と耳の内側に侵入してくる。微かに戸惑うリコ。数秒もし
ないうちに、その感触の正体がみらいの舌だと気付く。
「ひゃっ…あっ」
 ――― ゾクッ。
 妖しい感覚が、リコの背筋を駆け上がる。
 みらいが両目を閉じて、すぼめた舌先に意識を集中。つっ…、つぅっ…、と小さな動きで、耳
の内側の色んな所をなぞっていく。
「あっ…あっ!」
 さわられたコトの無い部分で感じるこそばゆさ。
 リコは耐える術(すべ)を知らず、そのこそばゆさに身も心も翻弄されるばかりだ。
「やっ、やめてぇ…、みらい、だめっ」
「ん〜〜?」
 抱きついたカラダを震わせるリコに対して、みらいはイタズラっぽい微笑を浮かべて、聞こえ
なかったフリ。
 次は、耳の内側に侵入させた舌先を、チロチロっ…とこまかやかな動きで躍らせた。
「くひぃぃっ…! だっ、だめっ……、ああっ、あ゛あ゛あ゛っっ」
 リコの白くなめらかな肌に、ぞぞぞっと鳥肌が立つ。
「あぁっ…んんっ、だめっ…、ほ…本当に……これ以上っ……ひぃっ!」
 ますます、みらいに強くしがみつく。
 けれど、それが引き金となって、耳の内側をくすぐり責める舌先の動きはスピードを増した。
 ――― いじわるく、リズミカルに。

 チロチロっ…、ちろっ…ちろっ、チロチロ……チロチロチロっ ――― 。

(ああっ、くっ…くすぐったすぎるっ、このままだと気がおかしくなっちゃうっっ!)
 まだ13歳のほっそりした裸身が、切なげに喘ぐ。
 熱くなった柔肌の下に、びくっ…びくっ…と甘い痺れのようなものが走る。
「あああっっ…、みらいっ、うっ、言……言う事を、あぁっ、…き、聞きなさいっ」
 なけなしの気力を振り絞って、強気に出てみるリコ。
 ……みらいの舌は、意外にも素直に引っ込んだ。

(よ…、よかったぁ、言う事を聞いてくれて……)
 くたぁっ…。
 みらいの背に回した両腕からチカラが抜けて、そのままズルズルとすべり落ちてしまう。
 ほっ、と安堵したリコが警戒を解いて、完全に気を緩めたタイミング ――― 狙いすましたみ
らいが、くちびるをすぼめて、細く、強く、耳の穴に息を吹きかける。
「……、フーーーーッッ」
「くひっっ!?」
 刹那、予測外のこそばゆさで耳孔の奥を撫で上げられ、リコの弛緩していた裸身が一瞬、感
電したみたいに激しく硬直。体の自由が利かない隙を突いて、みらいがくちびるを寄せてくる。
 
「嫌っ、嫌っ…、みらい、やめ ――― あぁっ」
 くすぐったさにさんざん嬲られた左耳が、再び捕らわれてしまった。
 ぴちゃっ…ぴちゃっ…。
 唾液で濡れた舌の感触。
 耳たぶの柔らかさを楽しむように舐める舌に続いて、くちびるがそこに吸い付いてきた。
 ちゅううっ…。
 わざと鳴らされたキスの音。恥ずかしさとくすぐったさの同時責めに、「きゃぁっ」とリコの口が
可愛らしい悲鳴を洩らした。
「リコのそういう所、すごく可愛くて……全部好きだよ」
 ……今度は、耳の内側を這う熱い吐息。
 その敏感な軟骨の凹凸を、ちろりっ、ちろりっ、と舐め洗う舌使い。
「ひっ、あっ…、あっ、…くっ、ふっ、あああっ……」
 優しくて、じれったい舐め方。全裸のリコが、ほそっこい肢体を悶えさせながら声を震わせ
る。みらいの背中を抱いて耐えようとしたが、もう両手にチカラが入らない。
 にゅっ…。
 耳の穴を、とろりとした唾液のぬるみで塞がれる。
 すぼめて固くした舌先が、リコの耳の穴を、ぐっ…ぐっ…と押してきた。まるで強引に小さな穴
を押し広げて、奥まで侵入しようとしているかのように。
「あっ…あああ……」
 サイズ的に入らないのは分かっているのに、少し怖い。でも、同時にドキドキと興奮してしま
う。耳の穴の入り口をクリクリと浅くほじくってくる舌の動き。熱くて……、ヌルヌルして……。
(時間をかけて柔らかくほぐしてくれたら、この感触がもう少し奥のほうまで ――― )
 想像した途端 ――― 、

 びくんっっ……!

 今までに味わったことのない恍惚感が、カラダの深い部分で跳ねた。
 肌の下が熱くとろけてしまうような甘い余韻。それが全身にじんわりと広がる感覚。そして、腰
の辺りだろうか、肉の軟らかい部分が、痺れにも似た気持ちよさにうずいているのを感じる。
「ううっっ…!」
 うっかり、みらいの背中に爪を立ててしまったが、そのことにも気付かない。みらいも痛がる
素振りはあえて見せず、リコの耳の穴に、舌先でねっとりと唾液をなすりつけるような愛撫を続
ける。
 リコの背中に回した両腕は、赤ちゃんを抱くみたいに優しく。
 密着した肌で、リコの薄く汗をかいた裸身に ぴくっ…、ぴくっ…、と甘やかな反応が走ってい
るのを感じているのだろう。みらいの表情に愛しさがにじみ出ている。
 つっ…と耳から離れるくちびる。「ふぅっ」と、いじわるく耳の穴に息を吹きかけたあとで、甘い
声音のささやきを、感じやすい孔(あな)の奥へ滑り込ませた。
「ねえ、リコ…、モミモミもしていい?」

 返事を待つ間に、彼女の背中に回した両腕を解いて、耳のそばを流れる黒髪をそっと指で
かき上げる。リコの弱点のひとつである耳を、大きく露わにしてみる。
 悩ましく乱れた呼吸を何とか抑えながら、リコがまぶたを上げて、うるんだ瞳をみらいへと向
けた。
「だめよ。寄り道ばっかりしていたら、いつまで経っても薬を塗れないじゃない」
「ふふっ、だいじょうぶだよ。こうして ――― 」
 みらいの手の平が魔法除去薬をすくって、ぬるぅっ…とリコの胸に垂らした。
 胸の浅い肉付き ――― 微かにカーブを描く程度のふくらみを、粘度のある魔法除去薬がゆ
っくりと垂れ流れてゆく。
 スッ…と、みらいの右手が、幼いふくらみの下を這う。薄い皮膚越しにあばらの固い感触に触
れながら、垂れ落ちてきた粘液を手の平で受けとめる。
 そして、その手の平で、リコの胸のふくらみをそっと撫で上げた。
「あんっ…」
 と、くすぐったそうに裸身を小さくよじらせるリコ。彼女の瞳に、さほど肉付きの無い胸を丁寧
に撫でまわしているみらいの、いたずらっぽい笑みが映った。
「あとはね、こうするのっ ――― 」
 唐突に胸から手を離したみらいが、代わりに身を投げ出すようにバッと抱きついてきた。びっ
くりして抱きとめるリコの両腕の中で、みらいが上半身をスリスリとこすりつけてくる動き。
 ……特に、胸と胸とをくっつき合わせた状態で。
 むず痒いような疼きを胸の先っぽに覚えつつ、リコは理解した。
 こうしてリコの胸に塗られた魔法除去薬が、みらいの肌にも塗りこまれていく。

(……いやいや、これって思いっきり遠回りだし)
 どう考えても自分が普通に手で塗ったほうが早い。
 しかし、みらいの楽しそうな雰囲気を前に言い出せない。
「ねっ? リコ、これだとちゃーんとお薬塗れるでしょ」
「そーねぇ。まぁ、いいんじゃない?」
 視線を逸らし気味にして答えるリコ。声の調子は平坦だが、カラダのほうは早くも求め始めて
いる。この塗り方だと、色々と気持ちのイイことも期待できそうで……。
 みらいがわずかにカラダを離した。密着していた二人の上半身の間に、隙間が生まれる。
「リコ」
 自分の名前を呼ばれる。別にたいしたことでもないはずのそれが、急に気恥ずかしくなって、
はにかんでしまった。
「…みらい」
 と、彼女の名前を呼んでみる。それだけでもう十分過ぎるほどこみ上げてくる幸福感。

 みらいの手が金ダライのプールから魔法除去薬をすくって、優しく撫で洗うみたいな手付き
で、リコの肌へとなすり付けてきた。くすぐったいけれど、心を満たしてくれる彼女になら、カラダ
を委ねてもかまわない。
 腰のくびれ、わき腹、ほっそりした両肩の丸み……。
 それらをなめらかに這う手の平の感触に、両目を閉じ、まつ毛を震わせ、熱く喘ぎながら何
度もみらいの名前を声に出した。
 リコに名を呼ばれるのが嬉しいのだろう。みらいが、ぎゅうっと、リコと頬をくっつけ合った。
(ああっ、みらい……、あなたとこうしているだけで……)
 二人とも生まれたままの姿で、いつまでも一緒に戯れていたい ――― 。
 ヒジをなぞって手首へと滑り落ちてきた手の平を、リコがそっと握りにいく。
 魔法除去薬でぬめった指同士が、優しく絡み合う。
「みらい……みらいっ」
 もう一方の自由な手で、彼女の背中を抱いた。それだけではガマン出来ずに、大胆に腕を動
かして撫でまわす。魔法除去薬を塗るのが目的ではなく、手の平で、熱くなったみらいの背中
の感触を味わいたかったのだ。
「わたしもリコのカラダが……もっと欲しい」
 繋がっていた手を解いて、みらいが再び両手をリコの裸身に這わせた。
 くすぐったくとも丁寧な手付きで、ぬめった液が、どんどんカラダに塗られていく。
 そして、胸にも……。 
 ふにっ、とした浅く柔らかな肉感。そこを這うヌメヌメした手の平の感触。可憐で幼い乳房をま
さぐる指は、リコが一番くすぐったがる場所を探していた。
「あ…、はぁっ、みらい、好きにさわっていいけど……いじわるするのは許して……」
 熱く湿った声音で、リコが懇願。
 すると、顔の右側に回りこんできたみらいのくちびるが、耳たぶのすぐ近くまで距離を詰め
て、こんな事をささやいてきた。
「ふふっ。リコ、お願い、いじわるなことをさせてほしいの。……いいよね?」
 そして、耳たぶへ熱い息が吹きかけられる。
 リコは思わず声を押し殺すが、みらいの責めはこれからだった。
 みらいの五指が、何もない宙を掴んでいるみたいに軽く内側に曲げられた。五枚の爪の感触
が、羽毛を柔肌の上に置いたという感じのチカラ加減で、あどけない胸のふくらみへと這う。
「リコ?」
 すぅーっと、その手が滑り出した。ほぼ平べったい乳房の丸みの上で、触れるか触れないか
といった絶妙の加減を維持しながら、右から左に……左から右に……と繰り返し往復。こそば
ゆい刺激を与えながら、リコが答えるまでじらすつもりだ。
「答えて、リコ」
 ちゅっ、とくちづけの音が耳たぶで鳴った。
 二、三秒様子を見てから、みらいの顔が動いた。すぼめた舌先がスゥ〜…スゥ〜…と耳の輪
郭をなぞって遊び出す。そのくすぐったさに、リコが短く、悲鳴のような喘ぎを洩らした。
「やっ…ああっ!」
 チカラの入らない両手で、みらいのカラダを掴んで耐えようとする。だが、リコを降参させたい
みらいが、胸先で可愛らしく尖っている乳頭を探り当ててきた。
 ぬめった指が、手持ち無沙汰にそれをもてあそぶ。
「リコ、きゅーーって引っぱちゃおっか? それとも、つねっちゃう?」
 甘く耳をくすぐってくる、カワイイ脅迫の声。
 リコは観念した。
(も…もうとっくに、いじわるなことされてるしぃぃ……!)
 せめて、睨みつけてやろうと思った。
 ……しかし、出来ない。
 みらいのほうへと向けたまなざし。しっとりと濡れた瞳は、愛おしいという感情にとろけきって
いた。
「ん、もうっ、わかったわよ。わたしのカラダにいじわるを……、ちょうだい」